須藤紫音さん/サニタリーブランド「ライムライム」の製品
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ここ数年で大きな注目を集め、大小さまざまな企業が参入し盛り上がりを見せているフェムテック市場。吸水ショーツや月経カップをはじめ、女性の健康課題を解決する新たなプロダクトやサービスが続々と展開されてきた中で、現在も大多数の人々が使っているのが「生理用ナプキン」だ。
そんな身近で当たり前の存在であるがゆえに、「実は何も知らずに妥協して買っていた」という気づきに衝撃を受け、女性が本当に欲しいと思える“妥協しない”生理用品を作ろうと一念発起しブランドを立ち上げたのが、VVV 代表取締役兼CEOの須藤紫音さん。ファッション・コスメのマーケティング職から、サニタリー用品ブランド創業者へと転身した異色の経歴を持つ須藤さんに、起業の背景や、日本の生理用品や業界が抱える知られざる課題、デザインも健康も環境も妥協しないサニタリーブランド「ライムライム(limerime)」について話を聞いた。
■須藤紫音
株式会社VVV代表取締役。複数の外資系アパレルブランドにて、マーケティング・ブランディング業務に携わり、出産を機に独立。2023年に竹の繊維を表面素材として使用した、からだにも環境にも優しいサニタリーブランド「limerime」をローンチ。商品開発・運営を行う。
目次
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「自分がやるしかない」経験0からサニタリーブランドを立ち上げ
⎯⎯ファッション・コスメのマーケティング職から生理用品ブランド創業者に転身。まずはその背景や経緯を教えてください。
4年ほど前、私があるクライアントから「新しいコスメブランドを立ち上げたいので、ブランディングを担うブランドマネージャーとして携わってほしい」という依頼を受けたことが最初のきっかけでした。それで、いざ市場調査を行ってみると、コスメ業界は当時から既にかなりの飽和状態で。優位性がある成分やコンテンツなどがない限り事業としてやっていくのは難しいと感じ、そこに信念を見出すことができずに迷走していた時期がありました。
偶然同時期に開催した7〜8人の女性を集めた座談会で、「今自分たちが本当に欲しいものや満足していないものは何ですか?」と訊ねたところ、「生理用品は毎月買っているのに、あまりいい商品やサービスがない」という意見が出て。私自身も自分の購買行動を振り返ってみると、ファッションやコスメ、インテリアにはこだわりを持って選んでいるのに、なぜか生理用品は「パッケージデザインはあまり好みじゃないけど、とりあえず『オーガニック』と書いてあるから」という理由でなんとなく買っていた。その事実にすら気づいていなかったことに衝撃を受けました。
そこで、国内外の生理用品のマーケティングリサーチを始めてみたら、海外にはオーガニック素材で肌や環境に優しく、しかも魅力的なデザインのプロダクトがたくさんあって驚いたんです。
⎯⎯確かにお菓子のパッケージみたいで可愛いですし、手に取りやすい、選ぶのが楽しくなるようなデザインですね。
そうなんです。だから、「日本にももっと選択肢があってもいいのでは?」と感じて、コスメブランドの立ち上げを依頼されていた企業に「新規性もあって面白いので、コスメではなく生理用品ブランドをやるのはどうですか?」と提案してみました。ところが、社長が男性だったこともあり、その必要性や可能性を全く理解してもらえなかったんですよね。
でも同時に、生理の経験がない男性に生理用品のアップデートの必要性を理解してもらう難しさがあることにも納得して。他の多くの中小企業でも決裁権を持つ方は基本的に男性であることを考えると、誰かにお願いしてやってもらうのではなく、自分たちでやらなければ開拓されていかないんじゃないかと思いました。
⎯⎯それで、「もうこれは自分でやるしかない」と。
そのほかにも、これまで私が携わってきた仕事の中では、例えばシーズンごとのプロモーションに膨大な費用をかけて豪華なポップアップを開催した後、さらに車一台購入できるような金額をかけてその残材を廃棄するようなことも稀ではなく、そのことに違和感を抱いてもいて。大規模なビジネス自体を否定するわけではないのですが、自分が携わるなら、もう少し世の中が良くなるような違ったお金の使い方をしてみたいという思いもありました。それもあって、ブランディングやものづくりの仕事に少なからず携わってきた自分ならできることがあるのではないかと考え、自ら起業しようという答えに辿り着いたんです。
⎯⎯全くの未経験から“使命感”でスタート。実際やってみていかがでしたか?
実際にやってみると、本当に“沼”でしたね。まずは「生理用品」を作るための基本的な知識もなかったので、「アパレルやコスメと違って10万個超えの大量ロット生産になる」といったことも含め、ものづくりについてとにかくいろいろな方から教えていただきながら勉強しました。また、自己資金は微々たるものなので、同時に資金調達も並行してやっていく必要があったんです。
⎯⎯資金調達はどのようにされたんですか?
銀行や日本政策金融公庫などに融資の相談にも行きましたが、とても融資だけで賄えるような金額ではなかったので、合計数十社当たって、出資していただけるエンジェル投資家やベンチャーキャピタルを探しました。当時は、フェムテック市場もようやく言葉が広がり始めたばかりだったため、まだまだ風当たりが強くて。さらに、投資会社でもやはり決裁権を持つのは男性が多いこともあり、ニーズが理解されずにお断りされるケースがほとんどでした。
最終的にはベンチャーキャピタルさんに出資してもらえることになったのですが、とにかく根気でなんとか資金を調達したような感じでした。
実は知らないことだらけ、日本の生理用品業界が抱える問題
⎯⎯スタートから早速苦労されたんですね。その後ブランドの立ち上げを進めていく中で、日本の生理用品や業界が抱える課題にはどのようなものがあると感じましたか?
一番大きな問題は、プレイヤーが完全に固定されてしまっていることですね。今、生理用品の業界は大手メーカーのほぼ独占状態なのですが、薬事申請にまつわるコストや時間的なリスクが非常に大きく、新規参入障壁が高いんです。
⎯⎯同じ生理用品の中でも、吸水ショーツや布ナプキンなどは大小さまざまな企業や個人も出していると思うのですが、「生理用ナプキン」だけ何か違いがあるのでしょうか?
実は、吸水ショーツや布ナプキン、月経カップ、パンティライナー、おむつ、尿漏れパッドなどは全て「雑貨」扱いなので誰でも作って販売ができるのですが、用途は同じであるにもかかわらず、「使い捨ての生理用ナプキン」だけが「医薬部外品」の分類になっていて。私たちの製品も現在薬事承認申請中のため、まだ「生理用ナプキン」とは表記することができません。
そして、医薬部外品の製造販売には都道府県または厚生労働省への承認申請が必要なのですが、その際には専門的な書類作成なども必要となるため、申請費用に加えて専門家の工数を含めると、膨大なコストがかかってしまうのが現状です。
⎯⎯「生理用ナプキン」だけ時間的・金銭的コストが大きくかかるとなると、確かに新規参入のハードルは高そうです。
さらに課題だと感じているのは、定められている材料規格自体の細かな修正などはあっても、大幅な見直しがされていないことです。例えば、生理用ナプキンは「表面材は白色でなければならない」という決まりがあるので必ず漂白されているのですが、現在一般的に用いられている「塩素系漂白剤」はダイオキシン発生の原因や肌への刺激となる恐れがあるため、より肌に優しく安全なものを使いたいという需要は高まっているように思います。
⎯⎯生理用ナプキンに使われている素材とその安全性については、どこかで確認できるのでしょうか?
それが、開示されていないから確かめられないんです。生理用品のパッケージの「構成材料」の欄を見ていただくとわかるのですが、記載義務があるのが「表面材」と「色調」のみなので、それしか書いていないものが大半で。だから、表面材以外の「吸水体」や「防漏材」と呼ばれるパーツの素材はもちろん、素材の漂白にどんな薬剤が使われているのかについて、消費者は情報を得ることができない状況です。
⎯⎯これまで注意して見たことがなかったのですが、ほぼ何も書かれていないという事実に驚きました。
正直な話、私もブランドを立ち上げようと思うまでは考えたこともなかったです。でも、「医薬部外品」として承認されたものだし当然安全かと思いきや、実際は製造販売の基準となる法律で定められた内容自体に、疑問や不明瞭な部分がある。日本では、情報が開示されていないこともあって消費者はよく知らずに使っていますが、1枚や2枚ではなく約40年間毎月使い続けることを考えると、「本当に安全かどうか」ということをもっと注視していく必要があると思っています。
⎯⎯確かに、使われている素材とその安全性に意識を向けることはとても重要ですね。健康面以外にも、何か課題はあるのでしょうか?
これも日本ではまだ全く意識されていないのですが、生理用品には健康課題だけでなく「環境課題」もあるんです。実は、生理用品(タンポン含む)は世界の海洋プラスチックごみの第5位にランクインしていて。2019年のG20大阪サミットでその結果が発表されてから、世界では生理用品に対する意識や動きが変化しつつあります。
例えば、インドでは2022年から使い捨てのプラスチック製品の製造・販売・使用が全面禁止となったり、EUやアメリカの一部の州でも生理用品の材質表記が義務化され、パッケージにはプラスチックの使用の有無が一目でわかるようなマークが付くようになったので、消費者側もそのマークを見て買う、買わないを選択できるようになってきました。その結果、メーカー側も徐々に天然素材や生分解性素材にシフトしていくという流れが生まれたりもしています。
⎯⎯世界ではそんな動きがあるんですね。日本ではどうなのでしょうか。
まだまだそうした意識は薄いと思います。国内でも2020年からレジ袋有料化がスタートしましたが、実は一般的な生理用ナプキンにはレジ袋4枚分に相当するプラスチックが含まれているので、それを毎月約5日間・40年間使うと考えると、1人あたり約3万8400枚のレジ袋を消費しているのと同じ計算になるんですよね。
「日本は焼却処分だから海洋プラスチックごみは関係ない」と思う方もいるかもしれませんが、プラスチック製と天然素材製では、焼却時のCO2排出量も全く違ってくる。だから、天然や生分解性の素材で作られた生理用品を使うことで環境問題の改善にも繋がるということを、日本の消費者の皆さんにも少しずつ知ってもらえたらと思っています。
「女性=フェミニン」から脱却し、「身体にも環境にも優しい」を追求
⎯⎯ここからは、須藤さんが手掛ける製品についてお伺いできたらと思います。そもそも「ライムライム」というブランド名の由来は?
いくつかの意味を込めています。まず一つは、生理用品のパッケージデザインに付きまとう「女性=フェミニン」や「ピンク」というイメージから脱却するためにパッケージカラーに真逆のグリーンを選んだのですが、これまではネガティブやマイナスであったものを、ポジティブでプラスなものに変えていきたいという意味を込めて、フレッシュな「ライム(lime)」をイメージしていて。さらに、私がヒップホップが好きなので、ラップで韻を踏むことを意味する「ライム(rhyme)」と、月経が毎月“繰り返す”ということを掛けています。その3つを組み合わせて、「ライムライム(limerime)」という名前にしました。また、「覚えやすく、ポップな響き」である点にもこだわりました。
⎯⎯素敵なネーミングですね。ライムライムの製品には、具体的にどんな特長やこだわりがありますか?
製品全体として、「環境にも身体にも優しい」ということにこだわっています。一番の特長は、表面材に天然素材である「竹」を使用していることですね。私の息子は生まれた時からアトピー性皮膚炎などのアレルギーがあり、肌に触れるものの重要性や影響を実感しながら生活してきた経験から、ケミカルフリーでオーガニックな、肌にも環境にも良いものを作りたいという思いがあって。そんな中、竹は自分で使ってみてとにかく肌触りが良かったんです。
さらに、コットンや石油由来の素材は製造時に環境負荷がかかりますが、竹は自生力が非常に強く、肥料や人の手を加えなくても簡単に育つので、適切に管理すればとても良い資材で。そういった理由から、ライムライムでは竹を素材として選んでいます。
⎯⎯肌触りも良く、環境課題の点でもメリットがあるというのは魅力的ですね。
そのほか、内側の「吸収体」にウッドパルプのみを使用していることも特長の一つです。一般的な生理用ナプキンは、内側の「吸収体」にポリマー(高分子吸収材)と呼ばれる石油由来の素材が入っているのですが、これがまさしく海洋プラスチックごみであるマイクロプラスチックの原因で。
同じように、通常はプラスチック製である「防漏材」や個包装の外側のフィルムにも、トウモロコシ由来のPLA(ポリ乳酸)という生分解性の素材を用いています。マイクロプラスチックは分解に数百年かかると言われているところ、ライムライムの製品は半年〜1年ほど(*温度や湿度、微生物の種類、土壌の状況などにより変動)で土に還るようになっています。また、表面材の漂白にも塩素系ではなく酵素系の薬剤を用いているので、製品の本体からパッケージ、製造工程にいたるまで、全てにおいて環境にも身体にも配慮して作っています。
⎯⎯パッケージデザインのこだわりについても教えてください。
あらゆる人が手に取りやすい「ニュートラルなデザイン」を意識しました。既存の生理用品のパッケージには、ファンシーなイラストが入っているものやフェミニンなデザインのものが多いですが、そういったデザインが好きではない女性もたくさんいると思うんです。
そして、トランスジェンダーの方からの「もっとフラットなデザインのものが欲しい」という意見や、男性のパートナーが頼まれても買って来やすい、紙袋などで隠さずにそのままバックに入れて持ち運びやすい、といったことも考えていて。この製品を手に取ったことをきっかけに、異性のパートナーや友人同士で生理に関して話す機会が生まれたりするような、現状に一歩踏み込んでいけるプロダクトになったらいいなと願っています。
実際、仕事でお会いした取引先の20〜30代の男性の方たちが、「これだったら買って帰れます。買ってもいいですか?」とご自身のパートナーのために自発的に購入してくださったケースも何度かありました。とても嬉しかったですし、「なんていい時代になったんだ」と思いましたね。
⎯⎯素敵なエピソードですね。でも本当に性別問わず手に取りやすい、スタイリッシュでニュートラルなパッケージだと感じます。今、ライムライムの製品はどこで手に入るのでしょうか?
自社のオンラインストアはもちろん、今年に入ってから「コスメキッチン(Cosme Kitchen)」さんや「ビープル(BIOPLE)」さん、先月からは一部の「ナチュラルローソン」さんで、4枚入りタイプの展開がスタートしました。そのほか、ナチュラル・オーガニック系のオンラインショップやサロンなどでもお取り扱いいただいています。今年はさらに展開を広げる予定なので、より手に取っていただける機会が増えると思います。
まずは大人の知識のアップデートから、ライムライムが発信する理由
⎯⎯ライムライムでは、サニタリー用品の開発・販売に留まらず、専門家を招いた座談会の開催やホームページのコラムの更新、本や映画の紹介など、啓発活動や発信を継続されているのが印象的です。その内容や背景にある思いについて教えてください。
ブランドを立ち上げるにあたって「生理」についていろいろと知っていく中で、「MHM(月経衛生対処)」という課題の重要性を感じたからです。MHMとは「Menstrual Hygiene Management」の略語で、「女性と思春期の女子が経血を吸収する清潔な生理用品を使い、それをプライバシーが確保される空間で月経期間中に必要なだけ交換でき、石鹸と水で必要な時に体を洗い、使用済みの生理用品を廃棄するための設備にアクセスできること*」を意味する、ユニセフとユネスコが提唱した言葉。全部で8つの項目があるのですが、衛生面が優れている日本では「発展途上国の課題」と思われてしまいがちなこともあり、あまり浸透していなくて。
*WHO and UNICEF. 2012. "Consultation on Draft Long List of Goal, Target and Indicator Options for Future Global Monitoring of Water, Sanitation and Hygiene." p.16(大阪大学 杉田映理准教授による日本語訳)
でも実は、日本にも「生理の貧困(*経済的な理由等で生理用品を購入できない女性や女の子がいること)」はあるし、知識や性教育、専門家へのアクセスといった部分では他国と比べてかなり遅れている部分もあります。生理がタブー視されたり知識がアップデートされていかない背景には、やはり「性教育」の問題が大きいと思っていて。欧米や北欧などでは、3〜4歳の頃から絵本などを通して段階的に性教育に触れていく環境があるのですが、日本では小学校4〜5年生の頃に、ある日突然男女別に分けられて、女子だけが月経についての教育を受けるといったような状況が今でも続いている。でも、男女が本当の意味で相手の心身に思いやりを持って接するためには、性や互いの身体についての適切な知識や情報が必要だと思うんです。
そして、そういった教育や情報に触れずに育ってきたのは今の親世代や20〜30代もほぼ同じ状況なので、まずは大人たちの知識のアップデートがされないと何も変わっていかない。だから、幅広い年齢層に対して情報を届けることで、一人でも多くの人が気づいて意識や行動が変化すれば、少しずつ状況が変わっていくはずだという思いから、ホームページやSNSなどを通じてさまざまな発信を行っています。
⎯⎯今年3月には長尾悠美さんが手掛けるシスター(Sister)とともに、渋谷PARCOで展示「limerimeと辿る生理の歴史」も開催。反響はいかがでしたか?
歴史社会学者の田中ひかる先生監修のもと、アカデミックな視点から生理にまつわる社会史を紐解くような展示内容だったのですが、期間中に新聞に掲載されたことで幅広い年代の方から大きな反響がありました。新聞を見た70〜80代の女性たちが、たまたま家に残っていた1960年代当時の紙ナプキンを持って足を運んでくださったり、1980〜90年代に広告に携わっていた方や、研究者や関連する内容の本の著者の方たちが来場してくださったりもしました。
最終的には700人ほどの来場があったのですが、「昔は生理について話せる場所がなかったけど、公に語れる場所が渋谷の真ん中にできたことに驚いたし嬉しかった」「こういったアカデミックな形式での展示は今までなかったからとても良かった」「生理用品にまつわるさまざまな問題に気づくことができて、考えるきっかけになった」といった声をたくさんいただいて。私たちとしても嬉しかったですし、大きなやりがいを感じました。先日も5月28日の月経衛生デーに合わせて、6月1〜2日に心斎橋PARCOで巡回展を開催しました。
連帯しながら目指す、持続可能な在り方
⎯⎯まさに今日お伺いした通り、日本のサニタリー用品・フェムテック市場は、業界や構造の問題などから小さいブランドが生き残りにくい現状があると思います。ブランドを長く続けていくために心掛けていることはありますか?
まだ始まったばかりなので偉そうなことは言えませんが、まずはとにかく勉強すること。特に、経営者としての知識が圧倒的に不足していると実感しているので、専門家やコミュニティーを頼ってアドバイスをもらいながら、必死で勉強しています。
また、自社だけでやれることは限られているため、同じ課題に取り組んでいるサニタリー・フェムテック関連の事業者の方たちと協力・連携することも大切にしていて。共通の課題に対して連帯して声を上げていくことで、業界全体として持続可能な在り方を作っていくことが必要だと思うので、これからも連携を止めずに続けていきたいです。
そして、単に商業的な面だけでなく、ビジネスと教育の両方を絡めながらブランドを運営していくことも重要だと考えているため、大阪大学や歴史社会学者の田中ひかる先生をはじめとした、アカデミックな分野の方たちとの情報交換や取り組みも積極的に行っています。
⎯⎯最後に、これからブランドや会社として挑戦したいことなど、今後の展望について教えてください。
現時点で考えていることは3つあります。まず一つは、製品に用いている原料の竹を日本産のものに切り替えること。本当は国産のものを使いたかったのですが、現状国内では竹をパルプにする技術を持っている会社が1社しかなく、中国の工場で製造されている素材を採用していて。中国では竹を有効活用する仕組みや管理体制が昔から根付いているのですが、今日本では、食用としても日常の道具としても竹をほとんど活用しなくなってしまった結果、放置竹林などによる「竹害」が問題になっているんです。だからゆくゆくは、日本国内の竹を用いることで竹害の解決にも繋げていけたらと考えていて、方法を模索しているところです。
2つ目は、生理用品のその先のプロダクトとして、おむつなどの商品開発に取り組むこと。最後に3つ目として、子宮内環境に関する健康課題の解決デバイスの開発にも取り組んでいます。いずれも実現に向けて現在準備や開発を進めているので、今後もプロダクトを通して環境課題や健康課題を解決していけるような事業や取り組みを展開していけたらと思っています。
(聞き手:佐々木エリカ)
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