JW アンダーソンの2023年春夏メンズウェア
Image by: JW Anderson
「JW アンダーソン(JW ANDERSON)」の2023年春夏メンズコレクションと2023年リゾートコレクションが6月19日、ミラノ・ファッション・ウィーク期間中に発表された。ミラノデビューを飾った今回のコレクションは「自撮り棒の先から見た世界」がキーワードに。画家レンブラントによる約400年前の"セルフィー"とも言える自画像を引用し、現代社会をジョナサン独自の視点で描き出した。
ショーの舞台となったのは、大きな廃倉庫。BMXのハンドルバー、壊れたスケートデッキ、空き缶の蓋など、意表をついたモチーフが次々と登場する。工業用ゴム手袋を貼り付けたニットや、ヒンジ(蝶番)で裂け目を繋いだTシャツなどもキャッチーで型破り。インダストリアルな要素を取り入れながら、ストリートカジュアルを巧みにアレンジした。デザイナー曰く、「ウェアラブルなものとノン・ウェアラブルなものの衝突」を表現したという。
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Image by: JW Anderson
メンズ、ウィメンズともにダメージデニムや破れたニットなど、90年代のグランジを彷彿とさせる要素も。また、破れ目から覗くストライプは、よく見ると現在の消費社会を象徴するかのような巨大なバーコードになっている。
Image by: JW Anderson
アイコニックだったのはなんと言っても、レンブラントの作品を取り入れたインターシャニットやパンツ。1630年に描かれた自画像には、目を見開いたレンブラントのユーモラスな表情が描かれている。SNSに載せるセルフィーを撮影する現代の若者たちも、客観的な視点からはこのような表情に見えるのかもしれない。人間の承認欲求は、今も昔も変わらないようだ。
また、ポップな小物類も印象的。足元は厚底のスライドサンダルやスニーカーでボリュームをプラスした。旅行用のネックピローを連想させる「バンパー(Bumper)」バッグシリーズは、クリスタルをあしらった新作も登場。きらびやかなディテールが、装いに彩りを添える。
インスピレーション源の一つとなったのは、イギリスの劇作家フィリップ・リドリー(Philip Ridley)による90年代の戯曲「ピッチフォークディズニー(The Pitchfork Disney)」。これは、両親を失った兄妹2人が夢や恐怖を語るシュールな内容で、俳優志望だったクリエイティブディレクターのジョナサン・アンダーソンにとって思い出深い作品だそう。
過去と現代、主観と客観、夢と恐怖、ウェアラブルとノン・ウェアラブルーーそんな多くの対比を取り入れた今回のコレクションは難解ではあるが、ジョナサンらしいひねりと示唆に富んでいた。
会場にはJWアンダーソンの新作に身を包んだAMIAYA、kemio、よしみち(MICHI、YOSHIAKI)の姿もあった。
AMIAYA
Image by: SASKIA LAWAKS
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