
JUNYA WATANABE 2025年秋冬コレクション
Image by: FASHIONSNAP(Koji Hirano)
20世紀初頭、フランス・パリで誕生した芸術運動「キュビズム」。ポール・セザンヌが生み出した、モチーフを複数の視点から描いた独自の構図から影響を受け、パブロ・ピカソが「アヴィニョンの娘たち」を完成させたことで始まったとされる芸術運動は、それまでヨーロッパで主流だった「遠近法」を使った絵画手法とは一線を画した。渡辺淳弥が手掛ける「ジュンヤ ワタナベ(JUNYA WATANABE)」の2025年秋冬コレクションは「キュビズム」にスポットを当て、世に流通する服の形を再考。ありふれた服を、さまざまな視点で捉え直した。

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「キュビズムの視点から身近な服を考え直してみました」という渡辺の言葉通り、ショー序盤はライダースジャケットをキュビズム的に再構築する。「ジュンヤ ワタナベ マン(JUNYA WATANABE MAN)」の2025年秋冬でも見られた、既成服への深い造詣を持つ渡辺だからこその手法だが、ウィメンズでは新しさを求めてより飛躍させる。
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立体造形されたコートなど、パブリックアートを軸に、造形物と服とのコントラストを表現した2024年秋冬コレクションと重なる部分でもあるが、複数の三角柱が付いたライダースにはじまり、キュビズムの言葉の由来となっている「CUBE」の立体造形を用いたもの、ジップやベルトなどのライダースのディテールを複数の視点から捉え、一つのアイテムに集積させることで生まれた見たことのない形のライダースジャケットはキュビズム的アプローチを体現している。また、袖がブーツになっているライダースは「ドクターマーチン(Dr.Martens)」とのコラボレーションによるものだ。

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ショー中盤からは、同じくキュビズム的発想のもの、トレンチコートやチェスターコート、MA-1を再構築。ある地点からの視点を複数組み合わせて、歪みや誇張、立体造形で表現したほか、終盤には、視点の分割を表すかのように、光沢ある素材を幾重にもパーツで切り替え仕立てたジャケットやコートが登場。ボリュームあるトップスとのバランスをとるよう、ボトムスはブーツカットやパイソン柄のパンツ、「リーバイス(Levi’s®)」とのコラボによるシアリングで切り替えたデニムパンツでスタイルを構築した。

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