ラフォーレ原宿店
Image by: JUNRed
デビューからまもなく15年が経とうとする今も若者のファンが絶えないという「ジュンレッド(JUNRed)」。今春にはラフォーレ原宿に新店舗をオープンするなど、堅調に推移している。ブランドの好調を支えるのは、ブランドのターゲットと同世代の若手メンバーで構成された企画チームの存在があった。Z世代に刺さるブランドの作り方を、若手メンバーの1人である鈴木琢磨氏に聞いた。
「現場の声」が強み ブランドを支えるのは販売員出身の若手メンバー
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ジュンレッドは、2009年当時に台頭してきたファストファッションブームに対応する形で、メンズブランド「ジュンメン(JUNMEN)」(2014年秋冬シーズンをもってブランドを休止)のセカンドラインとして誕生。トレンド性を重視しながら自己流のスタイルミックスを提案している。10代後半から20代前半をターゲットに設定し、デビューから14年間近く経った今もZ世代の若年層を中心に支持されている。
ジュングループ内の他ブランドと比較して特に若い世代をターゲットにしているジュンレッドは、流れが早いマーケットのリアルなトレンドとニーズを把握するため、ブランド発足当時から若手メンバーを中心に結成した企画チームが運営。約10人で構成している企画メンバーの多くは販売員出身だ。SNSでのリサーチだけではなく顧客や店舗の声を重視し、実際に顧客の声を直接聞いている店舗スタッフに対してヒアリングを欠かさず行うことで、リアルな意見を企画に反映しているという。古着との組み合わせを提案するコンテンツや、メンズブランドでありながらユニセックスで着用できるアイテム提案などは、現場の意見から生まれた。
現在はオリジナルラインに加え、ウェブ限定ブランドである「レクバイジュンレッド(re_k by JUNRED)」、アクセサリーブランドの「アイタル フロム ジュンレッド(ital.from JUNRed)」、ファッションインフルエンサーtaiがディレクションするレーベル「イージー(iisy)」の4ラインを展開。様々なインフルエンサーやアーティスト、媒体とのコラボレーションなど、ターゲットを尖らせた多様なアプローチを重ねることで、多方面からの認知拡大に繋がっているという。「常に新しい顧客層の獲得を狙った発信をしていることが好調の理由」だと鈴木氏は分析する。
SDGsは、ちゃんとかっこよく
ブランドデビュー当時と環境が大きく異なる点が、若者世代の「ブランドが社会貢献することへの期待や関心の高さ」。様々なブランドがいかにそのブランドらしさを損なわずに、社会的価値のある活動をすることができるかを模索している中、ジュンレッドも若者世代の視点に立つことができる強みを生かし、様々な施策を打ち出している。
鈴木氏が特に手応えを感じたというプロジェクトが、ZEN-LA-ROCK、G.RINA、鎮座 DOPENESSからなるヒップホップユニット「FNCY」を起用した施策だった。2022年10月に実施された同施策では、ダウンジャケットブランド「ファーストダウン(FIRST DOWN)」の在庫を、クリエイティブ集団「ICHIRYU MADE」がハンドペイントや縫製で加工を施し、一点物に生まれ変わらせたリメイクアイテムを発売。アイテムはFNCYが新曲のMVで着用した。ファーストダウンは若者からも人気の高いブランドだが、高価格帯を理由に若年層に強いジュンレッドの顧客層には手に取られにくいという課題があった。その中で同コラボアイテムはデザインの独自性やMVの反響が大きく、消化率83.3%のヒットアイテムとなった。鈴木氏は「Z世代にとっての人気のブランドとトレンドのヒップホップブームを掛け合わせ、SDGsの枠の中でターゲットが魅力的に感じる方法で表現することができた」と振り返る。
今年4月からは、ファッションを通して地球環境のためにできることを考え、アイテムに落とし込んでいくSDGsプロジェクト「GO TOGETHER」を始動。サステナブルな未来を目指す他社とのコラボも交えながら、年間を通して継続的にジュンレッドの公式YouTubeを中心に発信を続けている。7月7日からは第3弾として、沖縄で風化したサンゴでコーヒー 豆を焙煎し、売上の3.5%でサンゴを海に植える活動を行う「サンゴコーヒー(35COFFEE)」とのコラボがスタートしている。沖縄をイメージしたアイテムを発売し、売上の一部をベビーサンゴの移植活動へ活用するという。
デビューからある程度の年数を重ねたブランドは顧客の平均年齢が引き上がっている状況に加えて、「シーイン(SHEIN)」など中国の格安ネット通販の台頭もあり、若年層の取り込みに四苦八苦している。一方で、若者のサステナビリティへの関心は年々高まっている。そういった背景の中、ジュンレッドは、SDGsを考慮した活動に一過性にならず継続的に取り組みを続けること、そしてターゲットの刺さるヴィジュアルやアイテムを届けていくことを基本姿勢に掲げる。「ちゃんとかっこいいSDGs」を体現することで、5年、10年先も若者に支持されるブランドを目指す。
■JUNRed:公式サイト
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