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日々のスタイリングを彩るファッションジュエリー。リングやブレスレット、ネックレスなど様々な種類があり、ジュエリーなしで自分のお洒落は始まらない!という人もいるでしょう。一方で、使用によって新品の頃の輝きが失われてしまうのがジュエリーの常。ケアをしたいと思っても、店舗に持ち込むのが面倒でついつい放置してしまう人もいるかもしれません。
しかし、そんな人たちに朗報です。自宅で用意できる物を使ってケアすることで、ジュエリーの日々の汚れはある程度までは落とすことができるそう。本記事では、英国宝石学協会公認ジュエリー工房 夢仕立でジュエリーデザイナーとして働く山本菜摘さんに話を聞き、自宅で毎日手軽にできるジュエリーのケア方法を素材別に紹介します。
目次
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ファッションジュエリーに主に使用される素材と特徴
一口にファッションジュエリーと言っても、使われる素材は様々。素材が違えば、見た目や耐久性、価格も異なります。ジュエリーに使われる素材にはどのようなものがあるのか、代表的な4つを見ていきましょう。
シルバー(銀)
広くファッションジュエリーに使われる貴金属。可視光線の反射率は約90%以上で、金属の中で最も高い数値を誇ることから「見た目が白に最も近い金属」と言えます。また「いぶし銀加工」など、手を加えることによって様々な表情を見せるほか、使っていくうちにエイジングを楽しむことができるのも銀ならではの特徴。ジュエリーに使う金属としては柔らかく変形しやすいので、銅など別の金属を少量混ぜて強度を保つ場合が多く、銀の割合に応じてシルバー925(92.5%が銀)、950(95%が銀)などと分類されます。
ゴールド(金)
世界中で価値が認められている貴金属。変色しづらく金属アレルギーも出にくい上、美しい黄色の光沢を持つため、ジュエリーに使われることが多いです。修理や磨き直しなども比較的容易なので、一生モノのアイテムにオススメ。シルバー同様柔らかいため、他の金属と混ぜて加工してジュエリーに用いられるのが一般的で、それぞれの金属の割合によって「イエローゴールド」「ピンクゴールド」「ホワイトゴールド」などに分類されます。なお、金の純度は24分率で表され、単位はK(カラット)。純金(100%ゴールド)が24K、金の含有量が約92%のものが22K、約75%のものが18Kと呼ばれます。
真鍮(しんちゅう)
真鍮とは、銅と亜鉛を混ぜ合わせて作られる合金のことで、別名「黄銅(こうどう・おうどう)」とも呼ばれています。熱によって加工がしやすくなるため、アクセサリーはもちろんインテリア用品や文房具、5円玉などの素材として使用されています。また、音色の響きがよくなる性質をもっているためトランペットなどの金管楽器や仏具に使用されることが多い金属です。銅と亜鉛の配合によって種類が分かれており、アクセサリーに使用される真鍮は、銅が6〜7割、亜鉛が3〜4割の配合のものが多いそう。
プラチナ
日本では婚約指輪や結婚指輪に使用されることが多い貴金属。落ち着きのある白い輝きが特徴で、和名では「白金(はっきん)」といいます。南アフリカやロシアなどごく一部の地域で採れるレアメタルと呼ばれる希少性の高い金属の一つで、産出量ではゴールドよりも少ない傾向にあります。プラチナの純度は、全体の値を1000とした場合の割合を意味する千分率で表記。国内で流通しているプラチナは主に4つの種類に分けられ、純度99.9%以上のプラチナが「Pt999」、純度95%のものが「Pt950」、純度90%のものが「Pt900」、純度85%のものが「Pt850」とそれぞれ呼ばれています。
ジュエリーのデイリーケア、なぜ必要?
ジュエリーは日頃身につけるものなのでどうしても皮脂や汚れがつきやすくなります。そのため、黒ずみが出てきたりくすんでしまったりして、気づいたらなんだか買った時より魅力がなくなってしまっているなんてことも。こまめにケアをして、お気に入りのアクセサリーを美しく保ちましょう。
【原料別】手軽なデイリーケア方法
「ジュエリーは専門店に持ち込んで綺麗にしてもらわないといけいのでは?」と考えている人も多いと思いますが、実は自宅にあるもので簡単にケアすることができます。ここでは、それぞれの素材に対する注意点なども交えながらケア方法をご紹介します。
お手入れの準備
まずは準備から。コップやボウルなど、アクセサリーが入る大きさの容器を2つ用意して、水のみを入れたものと中性の食器用洗剤を入れたものに分けます。洗剤の量は、コップ一杯の水の量に対して1〜2プッシュが適量です。
水を入れた容器
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シルバージュエリーのお手入れ方法
シルバーがくすんだり黒ずんでしまったりするのは、硫化や塩化が主な原因です。空気中に微量に含まれている硫黄や人間の皮脂によって、ただ置いておくだけでも変化してしまうことがあるので、ジュエリーに使われる素材の中で最もこまめにお手入れする必要があります。
まずは洗剤の入った容器にアクセサリーを入れ、表面の汚れが落ちるように手でもみ洗いをしていきます。今回使用したのは編集部員Mの私物 「ナチュラル インスティンクト(NATURAL INSTINCT)」のバングル。このように凹凸が多く細かいところまで指が届かないような場合は、柔らかい歯ブラシを使って優しくこすることで細部まで綺麗になります。
手で揉み洗いをする。
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洗剤入りの水で洗ったら、何も入っていない水ですすぎます。洗剤を残すとアクセサリーが傷む原因になるので洗い残しが無いようにしっかりと落としましょう。
洗い終えたら柔らかい布で水分をしっかりと拭き取ってください。ティッシュでも◎。
布で水分を拭き取る。
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洗って乾かした後は、ジップロックなどに入れて空気に触れないように保管するのがおすすめです。
ジュエリー工房 夢仕立 山本菜摘さん
シルバーは本当に変色しやすい金属です。デイリーケアをこまめに行っていれば、黒ずみやくすみは出にくくなりますが、やはり細かい部分の汚れは落ちにくいもの。「これ以上は自分では無理だ」と思った時は、是非プロにお任せください。
ゴールドジュエリーのお手入れ方法
ゴールドは、ジュエリーに使われる素材の中でも比較的強くて扱いやすい金属。ケアとしては、シルバー同様に中性洗剤の入った水につけてこすり洗いやもみ洗いをして、表面の汚れを落とす方法でOKです。
今回用意したゴールドのアクセサリーは、編集部員Oの私物で「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」のピアス。中身が空洞で見た目より軽く出来ている「中空」という作りになっています。
「中空」のアクセサリーは、軽く作られているので長時間の着用を可能にします。しかし、小さな穴が空いていることが多く、水につけて洗ってしまうと内部に水が入り乾かすことが困難になってしまったり、乾かすのが不十分で逆に錆びてしまったりする原因に。こうした「中空」構造のアクセサリーは、水をつけずに拭くだけに留めるのがおすすめです。
ジュエリー工房 夢仕立 山本菜摘さん
ゴールドは、研磨剤を使って磨くことでとてもきれいになりますが、金の含有量が多いほど柔らかく傷つきやすいのでケアも慎重に丁寧に行うことが重要です。
赤焼けなど変色してしまった場合は、電気を通したりイオンの力で元に戻すしかないので、お店に持ち込むことをお勧めします。
シルバー×ゴールドジュエリーのお手入れ方法
シルバーとゴールド、2種類の素材を組み合わせたアクセサリーもあります。今回は、「エルメス(HERMÈS)」のリング(編集部員M私物)と「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」のネックレス(編集部員A私物)を用意しました。
ケアの仕方は、シルバー、ゴールド単体と同じように中性洗剤入りの水につけ、手もみと柔らかい歯ブラシを使って汚れを落としていきます。
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使用によってくすみが見られたリングとネックレスですが、2点とも一目見て分かるほどに輝きを取り戻しました。
ジュエリー工房 夢仕立 山本菜摘さん
ネックレスでは、金具の部分に稀に別の金属製のバネが使用されていることがあります。そこに汗や皮脂が入り込んだ状態でそのまま放置してしまうと、錆びて使用に支障をきたしてしまうことも。こういったことを防ぐためにもこまめに洗ってあげることが大切です。
真鍮ジュエリーのお手入れ方法
真鍮はジュエリーに使われる金属の中で特に水に弱く、汗がついたまま置いておくだけでもすぐに空気中の水分や塩分と反応してサビの一種である「緑青(ろくしょう)」が生えてきてしまいます。
用意したのは、編集部員Hが長年愛用しているというシンプルな真鍮製のバングル。真鍮は、水につけて洗うのではなくメガネ拭きのような乾いた柔らかい布で拭きましょう。
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ジュエリー工房 夢仕立 山本菜摘さん
特に汚れがひどく、水で洗い流した場合は、布などで水分を拭き取り、すぐにドライヤーで乾かしてください。
プラチナジュエリーのお手入れ方法
ゴールドと並んで扱いやすい素材のプラチナ。手入れの際はシルバーやゴールド同様、中性洗剤を溶かした水ですすいでいきます。今回は編集部員O私物のピアスを用意しました。ピアスは特に汚れが溜まりやすいアクセサリーなので、定期的なケアが必要になります。
プラチナのピアスを用意
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プラチナも、比較的柔らかい金属なので水分を拭き取る際に細かいゴミや砂などが混じると傷ついてしまう可能性があります。拭き取る際に使用するのは、綺麗な布やティッシュペーパーなどを使用していください。
ジュエリー工房 夢仕立 山本菜摘さん
中性洗剤入りの水で洗った後、水道などの流れている水で洗うのももちろんOKですが、ピアスやリングなど小さいアクセサリーは流れてしまう可能性があるので、そういった細かいものはボウルやコップですすぐのが安全です。
また、プラチナはお手入れが頻繁に必要ではない金属。汗をかいた日や特に汚れてしまったなと思う日にケアしてあげる程度でも美しさが持続します。
まとめ
シルバーやゴールドなどの貴金属が意外と手軽に手入れできることに驚いた方も多いのではないでしょうか?おすすめは容器に入れて中性洗剤で手洗いですが、面倒くさがり屋の方にはお風呂場に持ち込んでボディソープ(中性)で手洗いするという裏ワザもあるそう。その場合はジュエリーが排水溝などに流されないよう細心の注意を払ってくださいね。汗をかいた日や長時間の外出があった日はこまめにケアをして、お気に入りのジュエリーを長く綺麗な状態に保ちましょう。
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