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東南アジアの最新情報を綴るコラム「ジャラン ジャラン アジア」。1年間の3分の2以上を東南アジア諸国で過ごし、契約バイヤーのほか、ポップアップショップ、展示会出展、ファッションショーの代理店などを行う横堀良男氏が現地の情報をレポートします。
(文・横堀良男)
いよいよ海外旅行を受け入れる国々が増えてきました。日本では団体ツアー客の受け入れが始まりましたが、他国ではコロナ前と同様に海外旅行ができる国が増えています。今年の夏は、今まで自粛していた海外旅行を解禁する人も出てきそうです。東南アジアには、たくさん素晴らしい旅行先があります。タイのバンコクや、インドネシアのバリ島など。そして、シンガポールも有名な旅行先の一つです。
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シンガポールは、人口が600万人弱で、日本の人口1億2000万人と比べると非常に小国です。面積は東京都23区や淡路島くらい。もともとはマレーシアから独立し、1965年に建国されたシンガポールはまもなく60周年を迎えます。
シンガポールと聞けば、現代的な建築や整備された街並みが綺麗で、東南アジアの中でもとびきり安全で、インターネットが発達していて、一番の先進国!というイメージがあると思います。シンガポールへ行ったことがなくても、ホテル「マリーナベイ・サンズ」の屋上にあるプールの写真を見たことがある人も多いのではないでしょうか。
シンガポールは、ショッピング天国でもあり、世界的なブランドは東南アジアでまずシンガポールに出店します。そんな日本人にも馴染み深い人が多いシンガポールですが、「シンガポール発のファッションブランド」についてはほとんどの人が知らないと思います。
近年、世界中どこでもストリートファッションが人気ですよね。シンガポールも他国同様、ストリートファッションが主流になっています。ストリートファッションと言えば、まさに街(ストリート)から生まれたファッションカルチャー。シンガポールには、どのようなストリートカルチャーがあるのでしょうか?
個人的には、シンガポール国内にスケートパーク(スケボーができる場所)が多いことに好感を持っています。「TheSmartLocal」によるシンガポールのスケートパークをまとめた記事を見てもらえるとわかりますが、意外と数が多く、私もたまに通りかかった時にボーっと見たりしています。
TheSmartLocal:スケートパークのまとめ記事
綺麗に整備されたスケートパークで若者たちがスケボーを楽しんでいる様子は、階段や手すりを使ったスリルのあるスタイルとは違った面白さがあります。そして、見ているだけで「シンガポールにもストリートカルチャーが根付いているんだなあ」と感じられます。ドラッグや喧嘩があまり存在せず、非常にヘルシーなストリートカルチャーとして、私は好意的に見ています。
◇ ◇ ◇
さて、そんなヘルシーなストリートのシンガポールで、(勝手に)注目しているストリートファッションブランドを紹介したいと思います。
■Youth in Balaclava
シンガポールの若者たちが2015年に立ち上げたブランドです。現在は世界各地のドーバーストリートマーケット(DOVER STREET MARKET)で購入でき、すでに世界中のバイヤーと取引しているようです。シンガポールの若者なら誰でも知ってるブランドと言っても過言はないでしょう。最近、「Gショック(G-SHOCK)」ともコラボしていました。シンガポールで今最も勢いのあるブランドです。
Stone For Gold
高級車のキーや高級腕時計をモディファイする小物ブランドです。最近、存在を知ったのですが「実にシンガポールっぽいブランドだな」と思いました。というのも、世界中からシンガポールに集まった富裕層が高級車や高級時計をたくさん買うので、そこに目を付けたのではないでしょうか。シンガポールだからこそ、存在し得るブランド、という点に注目しています。
Biro
シンガポール人デザイナーによるアパレルブランドですが、アイテムは全てメイドインジャパンです。岡山のデニムや吊り裏毛のスウェットなど、まさに日本製のヴィンテージカルチャーを体現しているブランド。現在、デザイナーは日本在住です。メイドインジャパンのアパレルメーカーの人は、このブランドを参考にすると見えてくるものがあるかもしれません。
Beyond The Vines
シンガポール発のバッグブランド。今、爆発的に人気のようで「シンガポールに出張に行くよ」と社内で言うと、「ここのバッグを買ってきてくれ」とスタッフに頼まれます。ファッション関係者からの支持も高く、ジャカルタで打ち合わせをする際は相手がここのバッグ持っていることが多いです。どうやら卸売りをしていないようで、他国では買えないため「シンガポールに出張に行く人だけが持てるバッグ!」といった位置付けなのでしょうか。国内外問わずに人気を集めているD2Cブランドのようです。
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いかがでしたか?もし、次回シンガポールに遊びに来たら、ぜひシンガポール発のブランドを探してみてください。これからは東南アジア発のデザイナーが続々出てくる時代が到来しますから、要注目です!
東京都江東区出身。高校在学中からアパレル業界で働き始め、 その後、アッシュ・ペー・フランス株式会社に入社。27歳で若手ブランドの営業代行業、showroom SIDEを設立、代表に就任。 32歳で海外進出、現在は1年間の3分の2以上を東南アジア諸国で過ごし、契約バイヤーとして活動。 日本からアジア・アジアから日本のポップアップショップ、展示会出展、ファッションショーの代理店も行う。
■コラム「ジャラン ジャラン アジア」バックナンバー
・vol.1:そうだ、東南アジアで生きていこう。借金抱えて自分探しの旅
・vol.2:高級モールは世代交代?ジャカルタのアシュタはなぜ成功したのか
・vol.3:なぜ東南アジアでは合同展示会が少ないのか
・vol.4:イスラム教徒のファッションは?人気の新興3ブランドも紹介
・vol.5:シンガポールのストリート事情、人気のブランド紹介
【最新話はこちら】
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