デザイナー近藤悟史が手掛ける「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」が、2024年春夏コレクションをパリ・ファッションウィークで発表した。会場となったのは、パリ5区の地域交流のための複合施設「Césure」。中に入ると、まるで森の中に入り込んだかのように風の音や鳥のさえずりが聴こえてきたが、それらはすべて特殊な楽器によって即興で奏でるライブ演奏だった。
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インスタレーションとパフォーマンスで表現
シーズンテーマは「Grasping the Formless__見えない形が見えるまで」 。風や光など、自然の中に存在する輪郭のないものや、偶発的な儚いものをつかもうとする発想からコレクションを製作した。
会場の天井には、和紙にひだを入れてできた「膜」のようなものが漂う。テーマと呼応し、美術家・田中義久との共同企画で作り上げたインスタレーションで、服作りとは異なる側面からコレクションとの親和性を図ったものだという。その空間に、パフォーマーたちが奏でる音楽とダンスとが融合し、音と動きがまるで風のように行き交う。
着る人の身体になじむ、曖昧な形のドレープ
ショーの序盤は、自然にねじれるソフトなドレープが印象的なコットンニットのシリーズ。身体にしなやかに馴染む曖昧なフォルムが、ニットの表情を引き立てている。
続いて、ねじれた旗を表現した布帛のシリーズへ。ハリとボリュームがありながらも軽やかな仕上がりは、イッセイ ミヤケならではのクリエイションだ。
フィルムを感光させた、ノスタルジックなプリント柄
中盤に登場したのは、フィルムをわざと感光させた、幻想的なプリントシリーズ。こちらもコレクションテーマを反映させた、自然が生み出す色彩が特徴だ。柄をより効果的に見せるため、ドレープやシームを最小限にしたというミニマムなシルエットにも注目。
一枚の布をねじって留めた布帛のシリーズは、和紙とポリエステルで織り上げた素材で、かすかな光沢感としなやかな風合いが印象的。ドレープの陰影のおかげで、生地の美しさが際立っている。 さらに、プレス加工を施した、大胆なビッグシルエットのセットアップやコートなどが続く。
自然が持つ強さを感じさせるパフォーマンス
フィナーレでは、パフォーマーとモデルたちが一堂に会した。点々と佇むモデルたちの合間を縫うように、パフォーマーが軽やかにランウェイを舞うさまは、まるで風や水のよう。今シーズンらしい、ゆとりやしなやかさが感じられた。
ニューバランスとのコラボスニーカーが登場
「ニューバランス(New Balance)」の名作「MT10」に、イッセイ ミヤケらしいデザイン性と配色を取り入れたこのフットウェアは、裸足に近い軽やかな履き心地。足下もコレクションとの親和性を図っている。
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