IMAGE by: changsu
朗らかで溌剌とした“好青年”を絵に描いたような2人は、共通の友人からもらったパリ土産だという揃いのチャームを下げたネックレスをつけて撮影現場に現れた。
同じ時期にモデルとしてのキャリアを歩き始めた栗原颯人(くりはら・はやと)と日高由起刀(ひだか・ゆきと)。2人は偶然にも同じ映画作品への出演をきっかけに俳優業をスタートし、同時に銀幕デビューを果たした。初共演作である映画「HAPPYEND」は、第81回ヴェネツィア国際映画祭に正式出品され、共にヴェネツィアの土を踏んだ2人。モデルとして、そして俳優として2人は今ピュアで鋭い眼差しで何を臨むのか。
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【仕事】
⎯⎯ モデルを始めたきっかけは?
栗原:元々地元でファッションの専門学校に通っていました。自分にあった形で服に関わる仕事に就きたいと考えて、人前に出る仕事にも興味があったので、モデルを目指して上京しました。自分自身を表現をするという意味で俳優にも漠然とした憧れがありました。
日高:中学、高校でずっと陸上競技をやっていて、大学にも進学したのですが、色々な都合で陸上に専念することが難しくなり。元々頭の片隅でモデルという仕事にも興味があったので、陸上をやめて事務所に応募したんです。
⎯⎯ 「俳優」と「モデル」には、どのような違いを感じましたか?
栗原:モデル業にもごく稀にムービーの撮影がありますが、基本はスチール撮影なので、画面越しに喋っている自分を試写でみた時は、「全部見られている」という気恥ずかしさがありました。モデルはあくまでも外見を見られ、服をいかに良く見せるかだと思いますが、俳優は中身を見られているんだなと。全て見透かされているような感覚でした。
日高:モデルはあくまでも服をよく見せるための「良いマネキン」を目指すイメージですが、俳優は僕ら自身の人物にフォーカスされるので、本当に全く違いました。
⎯⎯ 逆に、俳優・モデルどちらの自分でも変わらない点を教えてください。
栗原:共通して言えるのは、自然体でいることです。表情ひとつとっても、固まらずにのびのびとできているか、自分の「在り方」は意識するようにしています。
日高:僕は、周りに対してオープンな性格で、あまり周囲から影響を受けないタイプ。それが演技にとってプラスなのかマイナスなのかはまだわかりませんが、どんな環境でもぶれずに相手の懐に飛び込めている気がします(笑)。
栗原:本当にグイグイくるんです(笑)。でもおかげで素の自分を出しやすかったし、影響を受けた点もたくさんあります。
⎯⎯ 俳優という仕事の、どんなところが1番面白かったですか?
日高:まだ始めたばかりなので、監督の頭の中にあるイメージと自分が表現したものが合っていた瞬間など、今はとにかく自分が納得したものが周囲の方に評価していただけた時にやりがいを感じます。映画が公開されたら、その反応次第でまた感覚が変わるかも知れません。
栗原:作中の1つのシーンを挙げるとしたら、渡辺真起子さん(栗原が演じたユウタの母親役)と2人で歩く引きのシーン。演じているうちに真起子さんが本当に自分の母親のように感じて、ユウタそのものになった感覚がありました。そして、カットがかかった瞬間に大泣きしてしまって。実体験と重なった部分もあったと思うし、自分自身の感情を抑えられなかったことに若干の悔しさもあるんですが、その時「もっと俳優をやってみたい、突き詰めて勉強したい」と心から思いました。
【友情】
⎯⎯ お互いの第一印象を教えてください。
栗原:年齢が4歳離れていて、この世代の4歳って結構大きいと思っていたんですが、最初から「お互い同じものを持っているな」という感覚がありました。会う頻度が増えるうちに自然と距離は縮まりましたね。
日高:彼の方が年齢は上ですが、普段から年上の方と関わる機会も多いので、特に「抵抗感」もなくて。自分とは違ったものを持っていたり、ルックスも含めて「かっこいいやつだな」という印象の方が大きかったです。
⎯⎯ 「幼馴染で大親友」という役柄を演じる撮影期間を通じて、実際に友人になられたお二人。私生活の中で他人に対して「この人と友達になりたい」と感じるのはどんな時?
栗原:「自分の中身を知って欲しいな」と思った瞬間でしょうか。一緒にいたら楽しい、とかではなくてお互いに相手のことをよく知った上で一緒にいるのが友達だと思います。
日高:僕は自分にないものを持っている人間にすごく惹かれるので、そこにまず興味を持って深く関わっていくうちに、自分の弱い部分も見て欲しいなと思えるようになったら友達だなと思います。はやぴー(栗原)も、日々の行動や仕事に対する考えをより理解できるようになりましたし、共通する部分に気がついていきました。
栗原:役柄的にも、2人にしかない感情の共通認識があったことも仲良くなれたきっかけだったかも知れません。
【夢】
⎯⎯ 俳優として、モデルとして、これから目指すものは?
栗原:僕がやること全てに意味があると思ってもらえる俳優、モデルでありたいです。僕にしか出せないものを表現したいし、演じたキャラクターの存在をしっかりと意味のあるものとして表現できたらいいなと思います。
日高:周りから見て、どういう人か言葉で表現できないような人間になれたら面白いかもなと思っています。でもちゃんと自分のスタイルは確立していたい。何を考えているのかわからない魅力的な人というか、奥深さのある人になりたいです。
photographer:changsu | text&edit: Chikako Hashimoto、direction:Mina Jokoji (FASHIONSNAP)
栗原:エンブロイダリーボクサーシャツ 4万4000円、ハイウエストパンツ 5万9400円(いずれもIRENISA)/日高:ウールテーラードブレザー 9万6800円、ウールワイドパンツ 6万3800円(いずれもKANAKO SAKAI) directed by F/STORE
◾️映画「HAPPYEND」
公開日:2024年10月4日(金)
監督・脚本:空音央
出演:栗原颯人 日高由起刀 林裕太 シナ・ペン ARAZI 祷キララ 中島歩 矢作マサル PUSHIM 渡辺真起子/佐野史郎
配給:ビターズ・エンド
公式サイト
◾️あらすじ
ユウタ(栗原颯人)とコウ(日高由起刀)は幼馴染で大親友。いつも仲間たちと音楽や悪ふざけに興じる日々を過ごしている。高校卒業間近のある晩、忍び込んだ学校で2人が仕掛けたいたずらは、学校全体を巻き込む大問題に発展し、その事件をきっかけに2人の価値観にはすれ違いが生じていく。人種差別や政治、権力者への不信感、地震が日常化した世界、AIによる日々の監視、ありえるかも知れない未来を舞台に、揺れ動く高校生たちの友情を描いた青春映画。
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