黒ミツバチって何？　ゲラン「アベイユロイヤル」新美容液の魅力とともにボンテ博士に聞く

　2010年の誕生以来、約15年にわたりミツバチが生み出すハチ由来成分と、肌への有効性を研究し続けてきた「ゲラン（GUERLAIN）」の「アベイユロイヤル」シリーズ。自然のめぐみと先端のテクノロジーを融合したシリーズから、スターアイテムである美容液が進化し、「アベイユロイヤルウォータリーオイルセロム」（50mL 1万9800円）として2月10日に登場し、新たな歴史を刻む。ブランドが大切にしている黒ミツバチの可能性とは？美容液の進化ポイントとともに、ゲランだけでなく、業界でも名高いサイエンティックコミュニケーションディレクターのフレデリック・ボンテ薬学博士に聞いた。

◾️**フレデリック・ボンテ**：薬学博士ゲランサイエンティックコミュニケーションディレクター　50以上の特許の発明者であり、科学関係の広報物や出版物への寄稿は共著も含めて200件を超える。ゲランのサイエンティフィックコミュニケーションディレクターとして、2つの研究プラットフォーム「オーキダリウム」と「BEE LAB（ビー・ラボ）」のコーディネートを行う。フランスのリモージュ大学と築いたパートナーシップが、「アベイユロイヤル」スキンケア製品の鍵となり、数々の科学的進歩をもたらした。

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⎯⎯近年の研究で、肌の修復・再生に着目したとうかがいました。その中で、間葉系幹細胞に着目したのですよね？

　ゲランは4年ほど前からフランスの研究施設「RESTORE研究所」において専門チームを作り、肌の修復・再生の要となる細胞として、間葉系幹細胞の可能性について研究を始めました。その中で、間葉系幹細胞は加齢や酸化ストレスを受けると本来の機能を失い、肌の再生能力が低下し、シミ・シワ・たるみなどのエイジングが加速することを突き止めました。健康的で美しい肌を維持するためには、間葉系幹細胞の働きを活性化し、それを維持し続けることが欠かせないのです。

⎯⎯なぜ、間葉系幹細胞だったのでしょうか？

　私たちはこれらエイジングサインを修復するための秘策を講じていたのですが、美容医療でおこなわれる「脂肪注入法」から偶然発見されました。美容医療を手掛ける専門家から、「脂肪注入の施術後の肌状態を確認したところ、肌質にも変化をもたらす」という話を聞き、興味を抱きました。実際、術後の経過観察をすると、肌のハリ・なめらかさなど、まるで肌が“若返った”かのような変化が見て取れたのです。これらに関与しているのが間葉系幹細胞で、そこからインスピレーションを受け、エイジングサインが現れた肌の自己回復力を高めるアプローチを化粧品に応用できないか？と考え始めたのです。

⎯⎯今回の研究では、アベイユ ロイヤルの根幹ともいえる「ブラックビーハニー」の新たな可能性についても明らかにしています。進化ポイントを教えてください。

　アベイユロイヤルシリーズには稀少性の高いブラックビー（黒ミツバチ）のハチミツを配合しています。ミツバチのルーツをたどると、ブラックビーは約100万年の歴史を継承し、遺伝的にも血統が濃くてピュアなのです。

　実は1830年に、ゲランの創立者であり科学者でもあったピエールフランソワ・パスカル・ゲランが残した書にもブラックビーについて記載があるほど。ゲランとブラックビーの歴史は長きにわたるのです。既存の美容液には1ヶ所で採取したブラックビーハニーのハチミツを採用していますが、新美容液にはヨーロッパの異なる3つの地域からそれぞれブラックビーハニーを採取し、フランス産のロイヤルゼリーとともに配合したことが大きな進化ポイントになると思います。

⎯⎯ブラックビーハニーにはどのような効果があるのでしょうか？

　氷河期を始め、過酷な気候変動を生き抜いたミツバチの中のサラブレッドとでもいいましょうか。特筆すべきは、セイヨウミツバチとは異なる圧倒的な生命力です。そのため、ブラックビーが生み出すハチミツは、世界有数の豊かな品質を誇っています。食以外には、肌の保護機能も期待できます。

⎯⎯今回、3種のブラックビーハニーを採用した理由は？　

　ブラックビー自体は1種類ですが、その生態系が独特なのです。人間の手が届かない環境で生息することが多く、力強く生きています。今回の進化ポイントは、既存のウエッサン島産のブラックビーハニーに、新たにアイルランドとノルウェーのブラックビーハニーを加え、計3ヶ所で生息するブラックビーハニーを配合したことです。それぞれに異なる分子構造を持ち、それらを合わせることで計り知れない効果が生まれることがわかったのです。

　ただ、その地域だから良質なブラックビーハニーが採取できるということではありません。日の当たり方や温度などを考慮して、採取する場所を決める必要があり、それも成分の品質に大きく関わってきます。　

**①フランス・ウエッサン島産ブラックビーハニー（ウエッサンハニー）**：ゲランのアベイルロイヤルシリーズの要として欠かせないハチミツ。ユネスコ生物圏保存区の環境保護プロジェクト「Natura2000」の対象地区であるブルターニュ沿岸の島で採取。肌再生率を約50％促進することが新たに確認された。

**②アイルランド・コネマラ産ブラックビーハニー（コネマラハニー）**：極めて特異的な独自の生態系が保たれているアイルランドの西部に位置するコネマラ地方で採取したハチミツ。ヒアルロン酸の生成にアプローチ。

**③ノルウェー・トログスタッド産ブラックビーハニー（トログスタッドハニー）**：手つかずの自然が残されたノルウェーのトログスタッドで採取したハチミツ。アミノ酸を豊富に含み、肌の修復をサポート。

⎯⎯新美容液にはブラックビーハニー以外、どういった成分で構成されているのでしょうか？

　新美容液には、３種のブラックビーハニー、そして独自のルートで調達したフランス産ロイヤルゼリーをブレンドした独自の処方を採用しています。この“ハニーブレンド”が肌にアプローチし、美を底上げするようにブーストします。

⎯⎯使用感についても大きな変化がありましたね。オイル感を感じない、唯一無二のテクスチャーのこだわりポイントを教えてください。

　なめらかで肌のすみずみまで広がり、ベタつきを感じないテクスチャーには、かなりこだわりました。肌に触れた瞬間は水のようなテクスチャーなのですが、リッチなオイルを内包したマイクロビーズが肌上で弾けるとシルクのように伸び広がります。みずみずしいテクスチャーから柔らかなヴェールで肌を包み込む変化をぜひ、お楽しみください。

⎯⎯これだけの機能があれば、見た目の若返りも可能になりませんか？

　ブラックビーハニーの肌効果については“ハニーブレンド”によって、さまざまなエイジングサインにアプローチするデータが取れています。エイジングは肌の中で起こっていて、表面には見えないエイジングが進んでいます。エイジングサインを感じる前から使用していただくことで、美肌をキープできると思います。このような意味も含めて、「若返り」という表現がふさわしいかどうかはわかりませんが、継続することの意味は十分にあると感じています。