”グッチ コスモゴニエ”コレクション
Image by: Alfredo Albertone
アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)が手がける「グッチ(GUCCI)」が5月17日、イタリア・プーリア州にあるカステル デル モンテ(Castel del Monte)で"グッチ コスモゴニエ(GUCCI COSMOGONIE)"と題したランウェイショーを開催した。コスモゴニエとは宇宙論、あるいは宇宙進化論のこと。ショーは満月の夜に開催され、ゲストには銀河系の星がプレゼントされたという。
■パールと星座に込められたメッセージ
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今回のコレクションは、思想家であるハンナ・アーレント(Hannah Arendt)とヴァルター・ベンヤミン(Walter Benjamin)へのオマージュ。ユダヤ人である二人はそれぞれ、ナチスから逃れるためにドイツから亡命。1930年代にパリで出会い、深い絆で結ばれた。
後にアーレントはベンヤミン論を上梓し、彼のことを「パール ダイバー(真珠採り)」と呼んだ。見失われてしまうようなものを掬い上げ、光を当てたベンヤミンの能力をそう形容したのだという。
パールを使ったルック
Image by: Alfredo Albertone
ルックではパールのアクセサリーが多用され、エリザベスカラーのドレスとも相まってクラシカルなムードを演出。また、ベンヤミンが哲学的概念に転用した「星座」という言葉もキーワードとなった。
■宇宙飛行士たちの挑戦、人類の夢を再現
ショーは、宇宙飛行士の音声からスタート。これは、人類初の月面着陸を成功させたアポロ11号のミッション時にやりとりされた音声データだ。古城の階段を厳かに降りてくるモデルたちの姿は、人類の夢が叶った歴史的瞬間を思い起こさせる。
ラストには、月面歩行をした宇宙飛行士、ニール・アームストロング(Neil Armstrong)が残した名言「一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍である」の言葉が引用され、星座をまとったドレスがクロージングルックとして登場した。古城の壁面にも星座が投影され、壮大な宇宙旅行のようなフィナーレに。
■会場は、世界遺産でもある中世のお城
会場となったカステル デル モンテは、アンドリアの丘にある13世紀の城塞。ユネスコの世界遺産(文化遺産)にも登録されており、1ユーロセントの裏面に描かれてることでも知られる。
八角形のデザインが特徴で、古代ローマ、イスラム、そして北方ヨーロッパゴシック的な建築様式が見事に調和している。多様な歴史や文化が交差する古城は、アレッサンドロの世界観にふさわしいロケーションとなった。
■無数に煌めく、夜空の星のように
コレクションルックは、オプティカルパターンやトランスパレンシー、スパングルやクリスタルといった煌めくディテールが特徴的。レトロなサングラスや唇に引っ掛けるジュエリー、左右で違う色の靴など、アレッサンドロならではのキッチュな味付けも目立っていた。
一見、さまざまな要素が混在しており、捉えづらいコレクションかもしれない。しかし星座のあり方と同じく、すべてが全体で繋がり構成される。そのような存在こそが闇を照らすのだ、とアレッサンドロのクリエーションは強く訴えていた。
グッチ コスモゴニエ
Image by: Alfredo Albertone
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