Emily
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今や日本のビューティ業界でもトレンド発信源のK-POPアイドル。使用コスメや担当ヘアメイクによるメソッド情報はバズツイートとして目にしたことがある人も多いはず。K-POPアイドルのメイクや韓国のコスメ情報に注目した投稿を続けるエミリー(Emily)は、「将来韓国カルチャーに携わる仕事がしたい」と思ったのがSNSを始めたきっかけだ。ツイッターのアカウント名に「코덕のえみり=コスメオタクのえみり」と付ける通り、コスメとK-POPアイドルのオタクのフィルターで情報を発信。そんなエミリーに夢に対する現在地と、発信の原動力は何かを聞いた。
Emily
韓国コスメや韓国アイドルのメイクに精通し、主にYouTube/Twitterにて活動中。16タイプパーソナルカラーアナリスト®︎の資格を活かして、コスメの色味や発色について分かりやすくレビューする動画が人気。3月から韓国に留学中。
Twitter/YouTube
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ーSNSを始めた時期は?
2019年の年明けからです。新年のタイミングで新しいことをしようと思ったんです。Twitterが最初で、その後にYouTubeとInstagramも始めました。
ー当初からK-POPアイドルについて発信していたんですか?
アカウントを作る前に遡りますが、2017年くらいに韓国カルチャーにハマって、将来韓国カルチャーと関わる仕事をしたいと考えるようになったんです。普段の仕事は韓国に関係するものではなく、将来の夢に向けた足掛かりが全くない状態で。だから、まず自分ができるところからと思い、SNSを始めました。SNSでは最初からK-POPアイドルに関することを発信しようと考えていました。
ーちなみに、最初に好きになったグループは?
セブチ(SEVENTEEN)です!昔から音楽が大好きで、セブチのたまたま聞いた曲からハマりました。メンバーが作詞作曲をしていたり、ダンスのクオリティやアイドルとしてのメンタリティなど、プロフェッショナルであり続ける姿に感銘を受けて。日本のハロプロなども好きだったこともあって、アイドルを応援したくなる傾向はあったのかなと。ちょうど同じ時期に「Produce 101」(韓国の公開オーディション番組)が始まったり、韓国語は全然分からなかったのに、参加者が切磋琢磨する姿を見て女性アイドルグループも見るようになって。そこからはもうどっぷりです(笑)。
ーコスメ・メイクアップ情報に特化しようと思ったのはなぜでしょう。
自分がK-POPアイドルについてどんなことを発信できるだろう、と考えた時に、元々好きだったコスメやメイクアップだったら熱量を持ってちゃんと伝えられるなと。あとは自分が好きで女性アイドルを見ていて、「このメイクどうやってやるんだろう」と思って調べてみると、日本ではあまり見かけない種類のグリッターを使っているらしいというのが分かって。今でこそ日本でも普通に買えるようになって、日本ブランドからも同様のグリッターが販売されていますが、当時は新大久保に行くか韓国のサイトで買うしかなかったんです。そういう、日本にまだないアイテム・メイク方法があって面白いって思ってもらえる実感があったので、コスメやメイクアップの魅力を伝えていきたいなと。
ー普段の発信で意識的に投稿していることや、伝え方で心がけていることは?
私の発信の根底は、「K-POPアイドルや韓国コスメやメイク方法の布教」なんです。だから変に「韓国コスメって難しいな」と思って欲しくない。見てくれているフォロワーさんの中には、軽く知りたい人と詳しく知りたい人とどちらもいて、どちらの方々にも面白いと思ってもらえるように、投稿内容は大きく2種類あります。軽く知りたい人向けには、アイドルの愛用コスメだったり、紹介するアイテムも日本で買いやすいものにするとか。深く知りたい人向けには、新しくデビューしたばかりのグループのメイクについてや、韓国コスメでもニッチなものを紹介したり。
ーエミリーさんの発信の代名詞ともいえる「#推しの誕生日リップ」について教えてください。
これは推しているアイドルの誕生日と、リップのカラー番号を掛け合わせたもので、例えば誕生日が9月25日のアイドルの「推しの誕生日リップ」は色番号が「925」のものであれば、ブランドは何でも良いんです。「推しの誕生日リップ」を見つける楽しさもあるんですよね。私自身、フォロワーさんたちが「この人の誕生日リップはこんなのがあるよ」って投稿してくれるのを見るのも楽しくて。シェアすると「探してました!」というファンの方々のコメントがくることも多いです。
ー色ではなく、色番号で選ぶとなると、普段は買わないような色になる可能性もありますよね?
「推しの誕生日リップ」は誕生日と色番号で選ぶので、イエベ・ブルベなどは一旦無視して、お守りコスメのように、「推しの誕生日色のリップを持っている」ことでまずは楽しめる。実際に、フォロワーさんから「普段は買わない色だけど塗ってみたら意外と似合った!」という感想をいただけたことで、完全に誕生日と色番号だけで選ぶからこそ、メイクの幅が広がったっていう二次的な楽しさもあると私自身も後々思うようになりました。
私は「16タイプパーソナルカラーアナリスト®︎」の資格を持っていて、最近カウンセリングを受け付けるようになったのですが、お客さんとの話の中で「推しが使っている色を真似したいけど、自分はイエベだから似合わない」とか、パーソナルカラーでのお悩み相談が多いんです。そういう時は、こういう風に使えば大丈夫とか細かく説明できるのですが、SNS上で不特定多数の人に丁寧に教えてあげるのは難しいのが私の悩みでもありました。でも「推しの誕生日のリップ」をやってみて、イエベ・ブルベにこだわることなく楽しんでくださっている皆さんからの投稿を見て、カウンセリングで直接関われない人にも、こういう形であればK-POPとコスメの両方の楽しさを発信できるんだなと、私にとっても発見でした。
ー皆さんからの「推しの誕生日リップ」投稿の中で、特に人気のブランドはありますか?
色番号が3桁のブランドさんはよく選ばれている印象です。例えば色番号が「108」だったら10月8日生まれと1月8日生まれのどちらでもOKなので、「10X」の番号は重宝されているかも。肌感ですが、「イヴ・サンローラン・ボーテ(Yves Saint Laurent Beauté)」のリップはよく見かけます。韓国コスメの中から探す方も多いですね。
ー最近メイクが気になるグループはいますか?
有名どころだと去年デビューしたばかりの「アイヴ(IVE)」の子たちのメイクは見ていて飽きないです。このグループっぽいメイクっていうのが良い意味で固定化されていないので、露出のたびに今日のメイクはどんなのだろう?って気になります。
ー最近使って良かったコスメは?
古典文学にインスパイアされた「ディーント(Dinto)」が素敵だなと思いました。韓国コスメってショップの世界観が作り込まれているものとか、ユニークなものが多くて。伊勢丹新宿店にできたセレクトショップ「イェップス バイ シーズマーケット(Yep’s by SEEDS MARKET)」でも取り扱っているので、要チェックです。
日本人でも使いやすいなと思うのは、「アミューズ(amuse)」。化粧品って肌のトーン、厚さ(血管が透けているかどうか)で発色が左右されることが多いんですが、アミューズの発色は日本人の肌トーンになじみやすいですね。韓国コスメを初めて買う人にもおすすめです。
ーYouTubeではミュージックビデオからインスパイアした「MV世界観メイク」を投稿していますよね。実際にメンバーがしていたメイクとは違うんですか?
楽曲の雰囲気を自分なりにメイクに落とし込んだものなので、必ずしもメンバーのメイクを真似するものではないです。先ほどもお話ししたように、私の発信の根底には「推しの布教」引いては「K-POPアイドルや韓国コスメが面白い」と思ってもらいたいというのがあって。メイクきっかけで音楽に触れて欲しいし、音楽きっかけで韓国メイクを知って欲しいと思って始めたものです。
昔から音楽を聴きながら何かするっていうのが自分にとっては当たり前で。今日はこの服を着るから、この服装やテンションに合う曲はこれで、と選ぶんです。その曲を聞きながらメイクをするのが日常だったので、そこから思いつきました。
ーMV世界観メイクがしやすいグループや楽曲は?
特定のグループでやりやすいというのはないですが、真似のメイクではないので、実は男性グループの方がメイクを考えやすいですね。女性グループだと本人たちのメイクがやっぱり可愛くて、寄せたくなってしまうので(笑)。
ー16タイプパーソナルカラーアナリスト®︎の資格を持っていますが、発信に活かされていることは?
実を言うと、資格を取ったのは留学の費用が浮いたからなんですよ。留学の準備を進めていたらコロナが蔓延してしまって、ステイの状態になってしまった。元々メイクが好きだったし、知見を深めたいと思っていたこともあったので資格を取得しました。結果的に発信内容の説得力も増しましたし、個人的にもアイドルメイクを違った視点で見れたりして楽しみの幅が広まったので取って良かったです。
例えば、理論的な知識をベースに、「〇〇タイプの人が××タイプのアイドル風にするにはこうしたら良い」という、なりたい像に向けた方法を提案できるようになりました。SNSをやっていて気がついたのが、見たまま真似しようとしたら思ったようにいかず、自分はイエベだからブルベのアイドルのメイクはできないって避けるようになってしまう人が多いこと。私自身、好きだったら真似したいって気持ちはとても理解できる。パーソナルカラー目線の、理論的な部分と、オタク目線をかけあわせることで、「同じコスメを使いたい欲」「メイクを真似したい欲」に応えていけるかなと。
ー今後は資格を生かした仕事をしていくのでしょうか?
単体で生計を立てようとは思っていなくて。「推しの誕生日リップ」とパーソナルカラーでの視点って、よく考えると正反対なんです。タイプは関係なく推し活として買うリップと、理論的に似合わせるメイクなので。理論が分かった上で、韓国コスメとK-POPアイドルを楽しんでもらえるようなコンテンツを発信したいと思っています。
ーでは、これから挑戦したいことは?
韓国カルチャー、コスメ、アイドルなどのイベントでMCをするのが夢です。長年K-POPの普及に携わられた古家正亨さんは、ラジオパーソナリティやイベントMCなどで活躍されていますが、今や韓国アイドル好きなら知らない人はいないくらいの有名人。知識もそうですし、韓国カルチャーに対する愛情も深くて、ロールモデルとして憧れている方です。
3月からの韓国生活で、まずは語学をしっかり身につけたい。留学中に韓国コスメ企業さんを見学させていただく計画も立てていて、韓国にいるからこその発信もできたらなと。韓国コスメを楽しめる発信は続けていきます。
それから自分のコスメも作りたいと思っています。ただ、良いものが既にたくさんあって、知れば知るほど私が作る意味があるのかな?と悩みますね...。韓国コスメが好きだからこそ、日本人が使ったときの発色にもこだわりたいですし。知識、アイデア、クオリティが自分の納得がいくレベルになったら挑戦したいです。
(聞き手、編集:平原麻菜実)
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