左からCEO ファビエンヌ モニー氏、Senior Vice President ローランス セミション氏
Image by: FASHIONSNAP
3人のアーティストにより誕生した「ディプティック(Diptyque)」。1963年にフレグランスキャンドルを発売し、実用的な機能しかなかったフレグランスキャンドルをデコラティブなオブジェへと昇華させ、その後、今日まで伝統と革新が交差する感度の高いフレグランスやキャンドルが世界中の人を魅了する。このほどポップアップイベント「アンエール ドゥ パリ/パリの空気(Un Air de Paris)」が、世界に先駆け東京・表参道で行われ、ディプティックの歴史が彩られた会場に多くの人が来場した。来日した、CEO ファビエンヌ モニー氏とSenior Vice President ローランス セミション氏に、改めて“ディプティックの香り”について、そしてビジネスの現状について聞いた。
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ー香りの話の前に、今回のポップアップでは、メゾンの起源から歴史を彩るフレグランスやキャンドル、さらにはフランスの工房から運んだという、ものづくりの工程が理解できる数々の道具や陶器の展示など、ブランドのサヴォアフェール(匠の技)を感じられる空間が印象的でした。
CEO ファビエンヌ モニー氏(以下、モニー):日本には約20年前に上陸し、アジアで1番最初に根を張った地域でもあります。そんな日本からこのポップアップを開催できることにとても思い入れがあります。
思い入れのあるこの日本のお客さまに、ポップアップを通してパリ発のブランドであるディプティックの世界観、3人の創立者のストーリーやメゾンのインスピレーション、そして香りを体感していただけたと思います。メゾンの歴史を改めて紹介できる機会を作ることができ嬉しいです。
世界に先がけ東京で行われたポップアップイベント「アンエール ドゥ パリ/パリの空気(Un Air de Paris)」
ーそれでは香りについてお聞きしたいのですが、たくさんある香りは1つひとつが違いながらも、“ディプティックらしい香り”だと感じます。改めてディプティックとはどういうブランドでしょうか?
モニー:ディプティックの香りの考えは、ハーブやフワラーからなどの1つの香りを、さらに豊かに、その香りの周りをさらに美しく作るというのが、ディプティックのサヴォアフェールだと感じています。
ー香りの周りをさらに美しく作る?
モニー:例えば「ミュゲ」ですが、ミュゲ(スズラン)の摘みたての香りを表現し、白い花の繊細な香りに茎や葉のグリーンノートがニュアンスを添えた香りです。ただ単体のミュゲ(スズラン)の香りに仕上げるのではなく、ミュゲがどれだけすばらしい香りなのか、深みをもたらしていることがディプティックならではのアートなのです。夢を感じてもらえるような、旅をさせてくれるような香りを、1つひとつ作り上げてるのが特徴だと思います。
ー素材にもこだわっているように思いますが。
モニー:「ローズ」であれば、一番すばらしい薔薇を選んでいますし、そのほかもちろんオーガニックな素材も大切にしていますが、それ以上に香りを包む世界観をも表現し、香りというものを美しく“魅せる”のが、ディプティックらしさなのだと思います。
ーホームフレグランスでは別のアプローチもあるとか?
モニー:香り1つずつに、パノラマのような形でストーリーが確認できます。1つのストーリーが、1つの原料をもとに夢のように膨らんでいくところがディプティックの世界観です。さまざまな原料を紡ぐように、つないでいくように作られていますが、そこにディプティックらしい香りのアクシデントがあるんですね。さまざまな調香師のサヴォアフェールによる香りのツイストが、夢を見させてくれるような香りに仕上がり、「あ、ディプティックの香りだ」と思ってもらえていると思います。
モニー:さらに言うと、ディプティックの香りは完全にユニセックスで、誰にまとっていただいてもとても豊かに感じてもらえる、先駆者的なメゾンだと思います。それもディプティックのこだわりの1つかもしれません。
ーそのほか、ほかのフレグランスブランドとの違いは?
モニー:創立者 3人の友人で、友情から生まれたブランドであるということです。3人がリンクしていたクリエイションに対する情熱が現在まであり続けていることでしょうか。それは商品だけでなくディスプレーの豊かさや、そしてサヴォアフェール、さらに常に驚かせるイノベーションだと思います。
ー多くの人が愛しているディプティックですから、売上も好調ですよね。
モニー:そうですね。過去4年ぐらいは毎年約20%の成長と伸長していますが、香りにおいてはとても小さい市場だった日本が、ヨーロッパに近づくほどの強い成長を感じています。フレグランスキャンドルやフレグランス、ボディケアアイテム、さらにはインテリアとしても使っていただけるフレグランスアイテムと、幅広い商品が人気を集めていますね。
ーキャンドルとフレグランスの売り上げ比率は?
Senior Vice President ローランス・セミション氏(以下、セミション):ほぼ50%、50%です。
ー今後、注力するカテゴリーは?
セミション:引き続き、このバランスを保ちながら、ボディケアやハンドケアも強化していきます。特にハンドケアはコロナ禍で大きく伸長したカテゴリーです。フレグランスやキャンドルを維持しながら、デイリー使いとしてディプティックを選んでいただけるようにしていきたいですね。
ー選んでもらうためには?
セミション:商品を通じて想像力をかき立ててもらうことが大きな目的です。香りを五感で体感することで、夢を広げ、非日常を楽しんでもらえるような発信していきたいですね。
ー今後の成長戦略について教えてください。
モニー:これまで日本市場は都心を中心に成長してきましたが、Eコマースを含めたオンラインの充実で地方の方々にもディプティックをファンに思ってくださる方が増えました。今後、オンラインだけでなく、地方都市にもリアルの店舗を出店し、香りの体験を楽しんでもらいたいと思います。
■ディプティック:公式サイト
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