「ディーゼル(DIESEL)」2024-25年秋冬コレクションのショー参加のためイタリア・ミラノに降り立ったYouTubeクリエイター コムドットのやまと。ディーゼルの服が最もリアルかつエナジェティックに映る"ストリート"と、クリエイティブ・ディレクター グレン・マーティンス(Glenn Martens)のヴィジョンが生々しくむき出しに表現される"ファッションショー"の会場とで、2日間にわたるシューティングを行った。
車やバイクで交通量の多い街の中心部。凸凹な石畳の道路に、ミラノの市民の足でもあるトラムのレールが敷かれている。はたまた一本道を入ると歴史ある教会がそびえ立ち、街の騒音をかき消すかのような静寂な時が流れている。厳格さが漂う古い街並みの中に、新しい建物やものが共存し、多様な側面を持つミラノの街。
今回初のヨーロッパ、そしてイタリアの地に足を踏み入れたやまと。ショー前日のフィッティングのため、ディーゼルのショールームに向かうまでの道のりも新鮮に映る。「YouTubeを始める前から新しい出会いや違う文化に触れられるのが好きで、海外旅行にもよく行ってました。最近は仕事で海外に来れる機会も増えて嬉しいですし、合間の時間で街を歩くのが楽しみの一つ。仕事のモチベーションにもなっていると思います」(やまと)
服が並べられたショールームのエントランスには、翌日に控えたショーの日付が記載されたディーゼルを象徴する真っ赤なスクリーンが設置。今回ディーゼルは、ショーの裏側をおよそ72時間にわたってライブストリーミング配信するという、前代未聞の試みを実施。アトリエやキャスティング、モデルフィッティング、会場設営、そしてこのエントランスの様子を計5台の固定カメラを使い、これまでファッションの世界では"トップシークレット"として一般には公開されてこなかったショーの裏側を包み隠さず全世界に配信した。
ショーに参加する際の衣装に選んだのは2024年春夏コレクションからタイト目なジップアップのトップスに、膝下が大胆に露出するボリューミーなカーゴパンツのセットアップ。「ディーゼルを着るようになったのは、雑誌の撮影衣装として袖を通したのがきっかけでした。グレンが手掛けるようになってから自分の思っていたディーゼルのイメージが刷新されて、奇抜さがありつつも、日常でおしゃれを楽しみたい時に選びやすいアイテムがたくさんあるので、私服でも着るようになりました。トップスだけでも10着くらいは持ってます。個人的に上はタイトなトップスを着て、ボトムスはボリュームを出すコーディネートが最近好きなので、今回の衣装もそこが気に入って選びました」(やまと)
衣装が決まったところで再び街へ。ディーゼルの、ほつれたようなデザインがあしらわれたカーキのタイダイトップスとレザーライクな加工が施されたデニムルックにマッチするのは、落書きで覆い尽くされたダスティな地下鉄の出口。視界に飛び込んでくる人工的な色彩や、生々しい臭いが立ち込めるのも五感でしか感じられることのできないこの街のリアルだ。
ショー当日の朝。ホテルを出発し、車を走らせること30分弱でショー会場に到着。会場には世界中からテレビ電話で繋がれた約1000人の一般客の姿がスクリーンに映し出され、"フロントロー"のゲストとして招待された。オンラインとフィジカルの両軸でのショー参加を可能にし、"民主的なファッション"を掲げるディーゼルらしいインタラクティブなショー演出に。
会場内ではショー開始までの間、様々な撮影やゲスト同士の交流が行われるなどして忙しない時間が流れる。どこの国からやってきたかも互いに知らない相手だったり、画面越しに見ていた人気アイドルだったり。ショーという特殊な状況下で同じ時間を共に過ごしているからこそ、何気ない会話でも自然と距離感が近くなる。
ゲストの着席が一通り落ち着きショーがスタート。まるでロケットが発射されるかのようなカウントダウンとともに、名前が点呼されモデルが次々ランウェーに登場。単なる「ダメージ加工」の一言では括れないデヴォレやバーンアウトといった特殊加工は今シーズンも健在で、複雑さはシーズンごとに凄みを増している。「隠された側面がオープンになり、内面が表に出てくる」という今シーズンのテーマとも通ずる様子を加工技術やデザインを駆使し、退廃的な世界観を描き出した。
就任以来、ディーゼルというプラットフォームを最大限に活用し、唯一無二のスタイルを確立してきたグレン・マーティンス。ファッションの民主主義を掲げ、常に固定概念に捉われず挑戦し続けるその姿勢は、見るものの感情を揺さぶってきた。ショー後にはデザイナー本人にも面会を果たし、終わったばかりのコレクションの感想をやまと自らの言葉で伝えた。
撮影の合間やショーの前後でもYouTubeの撮影でカメラを回し、クリエイターとしてのストイックな一面を見せたやまと。今回初めて訪れたミラノの街や、ショーから得た刺激的な体験を「自分もYouTubeクリエイターの活動を通して"令和の革命児"と呼んでいただくこともあり、挑戦をし続けてきたことで今のコムドットや個人の活動ができています。分野は違いますが、業界の固定概念や常識に縛られないグレンのデザイナーとしての姿勢に共感しますし、自由に新しいものを創造することって純粋にかっこいいなと思います。それが服に現れていますし、今回ショーに出席させていただいて服のエネルギーや世界観を肌で感じられたのがよかったです」と締め括った。
コムドットやまと
1998年5月15日、東京都生まれのYouTubeクリエイター。YouTubeのチャンネル登録者380万人を超えるコムドットのリーダー。若者のカリスマ的存在として注目を集め、中学校時代の5人組で『地元ノリを全国へ』というコンセプトで活動している。フジテレビ系列レギュラー番組『コムドットって何?』への出演、自身の哲学を綴った『聖域』(KADOKAWA)、リーダー論やプロデュース論などを綴った『アイドル2.0』、コムドット写真集『TRACE』『JOURNEY』、個人写真集『LUCY』(いずれも講談社)を出版するなど、YouTubeの枠を超えた活躍を見せている。
model:Yamato(com.)
hair&make:Asuka Togashi
photographer:Hiroyuki Ozawa
videographer:Shunsuke Nakamura
text&edit:Yuui Imai(FASHIONSNAP)
DIESEL JAPAN/ 0120-55-1978
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