日本国内の主要百貨店6社(三越伊勢丹HD、高島屋、大丸松坂屋百貨店、そごう・西武、松屋、阪急阪神百貨店)の月次既存店売上をレポート。各社の主要店舗で注目された商品もあわせて紹介する。
2022年6月度は前月に引き続き、新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴う一部店舗における休業の反動に加えて、外出機会の増加などを背景に各社で売上が伸長した。
※売上増減率は各社いずれも速報値を参照
※売上は収益認識基準ではなく従来の総売上高で開示
目次
ADVERTISING
三越伊勢丹HD
首都圏三越伊勢丹が中心となって売上を牽引し、国内百貨店全店の合計売上高は13.3%増加。伊勢丹新宿本店と三越日本橋本店はコロナ前の2019年実績を上回った。両基幹店ではラグジュアリーブランドなどの商材が好調に推移し、宝飾・時計・ハンドバッグ・財布は先月に引き続き2019年比でも2桁増となった。免税売上は首都圏三越伊勢丹計、国内百貨店計ともに前年実績を上回った。
伊勢丹新宿本店では、ラグジュアリーブランドの限定イベントなどを開催。限定品や先行品、アイコンアイテムなどが人気を集めた。また、外出機会の増加や月後半からの気温上昇に伴い、夏物衣料や服飾雑貨の売上も伸長したという。
■伊勢丹新宿本店で注目されたアイテム:晴雨兼用傘
6月下旬に例年より3週間程度早く梅雨明けとなり、あわせて最高気温が30度を超える日が続いた中で、UVケアへの関心と需要が一気に高まりました。シーズンアイテムを扱う伊勢丹新宿店 本館1階 雑貨/イセタンリーフでは帽子・サングラスなどと共に、晴雨兼用傘の反応が特に好調でした。雨の日だけでなく、晴れの日の日傘としても使える晴雨兼用傘は、シーズン問わず使える汎用性があり◎。バッグのなかに収められる三つ折り軽量タイプや、手元が寒竹の高級感のあるデザインが人気でした。7月1日(金)からクリアランスセールがスタートした中で、傘についてはプロパー販売を継続しましたが、連日情報番組等で強い日差しへの対策として日傘が特集されたこともあり、実需アイテムとして目的をもってご来店される方で賑わいました。(伊勢丹新宿店 本館1階 雑貨/イセタンリーフ バイヤー 新島隆一朗)
伊勢丹新宿店の日傘売り場
高島屋
高島屋の国内百貨店売上高は前年同月比12.3%増。新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴う一部店舗における生活必需品売場を除いた休業の反動や、外出機会の増加による消費行動の活性化に加え、高額品が引き続き好調に推移したという。新宿店では大口計上があり、前年比51.0%増となった。
※前年度の店舗別休業日数(生活必需品売場を除く):大阪店、堺店、京都店、泉北店、日本橋店、新宿店、玉川店、立川店 各6日間
■高島屋新宿店で注目されたアイテム:紳士向けポロシャツ サイコバニーはゴルフウェア需要も
紳士服・紳士雑貨は前年同月比で約20%増となり、中でも紳士服のポロシャツの売れ行きが良いです。紳士服売場では、毎年父の日需要で最も人気のあるポロシャツの品揃えを強化し、およそ50のブランドで約200種類のポロシャツを展開しました。
8階「サイコバニー」では今年3月に売場を拡大した効果もあって、ポロシャツが父の日のギフトだけではなく、テレワークやゴルフウェアとしても需要があり、引き続き人気アイテムとなっています。(販売第2部紳士服・紳士雑貨担当副部長・洞内浩)
大丸松坂屋百貨店
6月度の売上高は、前年は20日までの土曜日・日曜日に一部売場を除き臨時休業した大丸松坂屋百貨店でも反動増や入店客数増加が見られ、前年比20.2%増となった。ラグジュアリーブランドや宝飾品が引き続き好調で、前年およびコロナ前の2019年度実績を上回った。免税売上高は前年同月から約2倍、客数は約2.7倍と回復基調にある。
※免税売上高の実績に大丸心斎橋店の定期賃貸借テナントの免税売上は含まない
■大丸心斎橋店で注目されたアイテム:adidas x Gucci コレクション
6月8日より心斎橋大丸 グッチ サテライトショップにて展開中のadidas x Gucci コレクションが好評です。(大丸松坂屋百貨店 大丸大阪心斎橋店 営業1部 マネジャー 志村武史)
そごう・西武
既存店の全店売上は7.2%増となった。前年実績を上回ったのは9ヶ月連続で、ほぼ全領域で前年超えを達成した。高級雑貨は前年比約20%増、プレステージブランドが同30%増と引き続き好調だ。衣料品も約10%増まで復調し、梅雨明け以降は日傘や帽子などの猛暑対策商品が動いた。コロナ前の2019年同月比では15.4%減となった。
■西武池袋本店で注目されたアイテム:カルティエなどの宝飾品 ヴァン クリーフ&アーペルは若年層支持も
気温の上昇もあり、プレステージブランドでもTシャツなどの盛夏アイテムが好調。また、羽織物や長袖シャツ、ダウンなど、徐々に入荷し始めている秋冬物が早くも動き始めました。
感染拡大以降好調の宝飾品などの高級雑貨については、「ヴァン クリーフ&アーペル」「カルティエ」などの宝飾品がSNSの影響もあり若年層に支持され伸長しました。ヴァン クリーフ&アーペルでは特にアルハンブラのデザインが若年層に人気でした。(西武池袋本店 担当者)
松屋
松屋銀座では前年実績から約4割伸長。主力の化粧品は前年比約44%増となった。ラグジュアリーブランドに関しては同約75%増となり、コロナ前の2019年対比でも約2割増と大幅に売上を伸ばすなど、銀座店の強みとなるカテゴリーが館全体を牽引した。
インバウンド売上についても上旬に海外からの入国が緩和され、シンガポールやインドネシアをはじめとする東南アジアなどから訪日観光客による買い上げにより、ラグジュアリーブランドや宝飾・時計等の一部に動きがあったという。
※前年6月は中旬まで緊急事態宣言が継続。それ以降は、まん延防止等重点措置に移行し、レストランシティ等の一部で時短営業
■松屋銀座で注目されたアイテム:口紅などのカラーメイク ピンクやオレンジが人気
松屋銀座では、化粧品が売上高前年比44%増と好調。行動制限がなくなり、外食など人と会いマスクを外す機会が増えたことで、口紅などカラーメイクの需要が高まっています。特にピンクやオレンジといった鮮やかな色や、つやの出るタイプが人気。メイクを楽しみたいという気持ちの変化も見られました。さらに、買い替え需要を促すために、コロナ禍で使っていなかった不要な化粧品を回収するキャンペーンを実施したところ、2000個以上のメイク製品が集まりました。(松屋銀座 化粧品バイヤー 三原薫子)
阪急阪神百貨店
前年は月後半まで緊急事態宣言に伴う営業制限をしていた反動もあり、全店の合計売上高は前年同月比2割増。インバウンドを除く国内売上高の2019年対比では3%増となり、コロナ前の水準を上回った。 阪神梅田本店の売上高では2019年対比は12%増、インバウンドを除いた国内売上高も16%増といずれも2桁増で推移。
阪急うめだ本店においても、100万円以上の高額品の売上高が前年比約1.6倍となったほか、 気温の上昇に伴いサンダルをはじめ夏のスタイリングに関連する商材が動くなどの要因から、同店の売上高は2019年対比で2%増、インバウンドを除く国内売上高も11%増と好調だ。
■阪急うめだ本店で注目されたアイテム:UV関連商品 日傘は男性からも需要増
早い梅雨明けと突然の猛暑の影響でUV関連アイテムが好調。中でも、暑さから身を守る為のパラソルは、一級遮光の機能性を重視して選ばれている傾向がありました。阪急メンズ大阪でも暑さ対策として、男性が持ってもスタイリッシュなデザインの日傘をビジネス需要として選ばれました。(阪急うめだ本店 担当者)
■百貨店ウォッチ バックナンバー
・2022年5月度:3年ぶりに行動制限のないGW商戦で売れたものは?
ADVERTISING
PAST ARTICLES
【百貨店ウォッチ】の過去記事
TAGS
記事のタグ
RELATED ARTICLE
関連記事
READ ALSO
あわせて読みたい
RANKING TOP 10
アクセスランキング
銀行やメディアとのもたれ合いが元凶? 鹿児島「山形屋」再生計画が苦境