コム デ ギャルソン オム プリュス 2024年春夏コレクション
Image by: FASHIONSNAP(Koji Hirano)
"BEYOND REALITY" 新しい世界を見つけるためには、現実を超えなければならないーーこれは、「コム デ ギャルソン オム プリュス(COMME des GARÇONS HOMME PLUS)」がパリで発表した2024年春夏コレクションに掲げられたテーマだ。デザイナー川久保玲がコム デ ギャルソンを創立して以来、半世紀を経てなお求め続けている「新しさ」に、どのようにアプローチしたのか。特徴的なスタイルとアイテムから紐解いていく。
進化するテーラリング
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廃墟のように荒廃した一室に設けられた、飾り気のないランウェイ。ひしめき合う招待客の視線が集中し、熱気とともに独特な緊張感が漂う。ショーのBGMは、サウンドスタジオMONOMのクリエイティブディレクター ウィリアム・ラッセル(William Russell)が手掛けるサウンドシステム4DSOUND。実験的な音の重なりが異空間へと誘った。
前回のコレクションで「アバンギャルドなテーラリング(Tailoring of the Avant-Garde)」を打ち出したコム デ ギャルソン オム プリュスだが、今シーズンはその進化版と言えるだろう。テーラードのディテールや仕立てにフォーカスし、常識を疑うように新たな視点で再構築したことが受け取れる。
ディテールの反復、服作りの再考
ファーストルックは一見するとシックなモノトーンのテーラードスタイルだが、よく見るとボトムを逆さまに履いているよう。ショーツの裾に、ウエストベルトやジッパーといったディテールが施されている。
序盤で視線を集めたのはバックスタイルだ。肩にもう一着のテーラードジャケットが貼り付いている。単なる装飾ではなく、袖を通せばジャケットを2枚重ねて着ることができる。また、2着のジャケットが背中合わせで合体し、前後で異なるスタイルとなるものも。翌日から開催された展示会では、同様の仕様でTシャツやポロシャツを2着つなげたアイテムも展開されていた。
中盤のポップな総柄プリントのジャケットは、バックトゥフロント(後ろ前)の仕立て。2着もしくは3着のジャケットを上下や脇でつなげたコートも。見慣れたパーツを反復させ、または本来とは異なる位置に置き換える。トリッキーなアイデアが違和感を与えながらも、技術とバランスによってシルエットを保っている。ルールから逸脱した視点は、テーラードの真髄を知るコム デ ギャルソン オム プリュスならではだ。
ショーの中盤から後半にかけて、植物やカーテン、タータンチェックといった鮮やかな色とパターンが差し込まれ、鮮烈な印象を与えた。終盤は、クラシカルな椅子や建造物、そしてラックに掛かった衣服などの転写プリントが、トロンプルイユのようにシルエットを惑わせる。現実のメタファーともとれるモチーフが、アーティストのゲイリー・カード(Gary Card)による日用品やフィギュアを用いたヘッドピースと呼応していた。
シュルレアリスム的な靴とナイキコラボ
「現実を超える」というテーマは、足元にも反映されている。山本真太郎が手掛けるシューズブランド「キッズ ラブ ゲイト(KIDS LOVE GAITE)」とのコラボレーションでは、プレーントゥシューズをベースにつま先が二股に分かれたり、上下で2足が重なったようなフォルムがユニーク。シュルレアリスム的なデザインアプローチが、捻りの効いたスタイリングを仕上げていた。
スニーカーでは、「ナイキ(NIKE)」のアウトドアカテゴリー「オール・コンディションズ・ギア(ACG)」とコラボレーション。「マウンテン フライ 2 LOW」をベースに、素材やデザインでアレンジが加えられた。また、「ジョージコックス(GEORGE COX)」とのコラボシューズも登場した。
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