「シャネル(CHANEL)」が、ブランドを象徴する「色」と出合うイベント「COLOR ANIMA」を、韓国の聖水(ソンス)で開催しました。新クリエイターチーム「コメット コレクティヴ」の若手メイクアップアーティスト3人もお披露目。トークセッションでは彼女たちのインスピレーション源や色について、さらにはコメット コレクティヴがクリエイションする新作のヒントまで語られました。黒・白・ベージュ・ゴールド、そして赤で飾られたイマーシヴルームも体験し、シャネルの「色」に没入!。
ついにお披露目された「コメット コレクティヴ」
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先立ってヨーロッパで開催されたCOLOR ANIMA。アジアは韓国で行われ、日本だけでなく香港などからもプレスやインフルエンサーが集結しました。
カラフルに彩られた会場に到着。会場に入ると、新クリエイターチーム「コメット コレクティヴ」のメンバー、セシル・パラヴィナ(Cecilie Paravina)、ヴァレンティナ・リー(Valentina Li)、アミィ・ドラマ(Ammy Drammeh)の3人のインスピレーション源である絵や映像、音、テキスタイル、日本の古い書物などが飾られていました。まずは彼女たちの感性を五感で受け取ることに。
次の部屋に進むと舞台が用意されていて、まずはクリエイターチームがメゾンの「色」への想いを語ります。
私たちが色をどのように認識し、どのように関わっていくかは、文化や歴史、人との交流から個人的な経験まで、あらゆるものから影響を受けています。しかしどうすれば本当に自分の色を見つけることができるのでしょうか?言い換えれば、どうしたら自分の創造性と自己表現のためのツールとしての色の力を発見することができるのでしょうか? その答えは「カラーはアイデア」 というシャネルの理念を探求することで見つけることができます。シャネルではすべてがアイデアから始まります。ガブリエル・シャネルは、当時、喪服の色だった黒をモダンに進化させました。彼女は黒をエレガンス、ひいては女性の魅力を引き立てる色としてドレスに採用したのです。黒、白、ベージュ、ゴールド、そして赤。シャネルの色は唯一無二の存在です。
そしてついに3人の登場です。2022年10月に発表されて以来、ベールに包まれていたコメット コレクティヴが、ここで明らかに。彼女たちの口から、コメット コレクティヴへの参画への想いや、チームとしてのシナジー、それぞれのインスピレーション源と色、さらには初コレクションのヒントが語られるなど、熱いトークセッションが繰り広げられました。
ーコメット コレクティヴへの参加してどうですか?
セシル・パラヴィナ(以下、セシル):感謝しています。興味深いやり方で仕事をしていますが、複数の人との協業は面白いですね。
ヴァレンティナ・リー(以下、ヴァレンティナ):最初は同じメイクアップアーティスト3人で大丈夫なのかと心配でしたが、実際はとてもうまくいっています。1人では孤独で迷うこともある中で、「メイクアップの情熱」という共通項のもと、3人で話し合い学び合うことですばらしい発想が生まれていますね。目指す目的を共有して新しいカラーを生み出していけるのではないでしょうか。
アミィ・ドラマ(以下、アミィ):バッググラウンドを含め、テクニックも経験も違う中で、シナジーが生まれています。もちろん最初はどうなるか検討もつきませんでしたが(笑)、これまでうまくいってますし、2人とのクリエーションはとてもスムーズでインプレッションを受けていますね。
ーインスピレーション源はどこから?
セシル:私は本からたくさんのアイデアをもらいますね。中でもインスピレーション源になったのが、和田三造氏の「配色図鑑」(初版)。画家の和田氏が、他の画家の人たちに色の解説を情報提供しようとまとめたものが配色図鑑なんです。本の物理的な重みや色褪せたりする経年変化が好きですね。
アミィ:まずプレゼントされたメイクアップアーティストのケヴィン・オークイン(Kevyn Aucoin)の本に衝撃を受け、メイクを真似ていたのですが、いつの間にかそれがキャリアになっていたという感じでしょうか。私自身はスペイン・バルセロナで育ち、周りと肌の色が異なることも多かった子どもの頃は、1990年代のミュージックビデオやR&Bを毎日テレビなどで見て、そこに映っている力強い女性たちにインスパイアされていました。またアフリカのガンビア出身の父が、織物の貿易の仕事をしていたので、ファブリックに囲まれて過ごしていたことも影響していると思います。
ヴァレンティナ:私は中国の南部出身なんですが、森に囲まれた町で育ちました。そこには遊園地や図書館、美術館など何もなかったのですが、美しい自然だけはあった。だから子どもの頃は木登りしたり水に飛び込んだり、花を積んだりして時間を過ごしていました。摘んだ花や草木で絵を描いたり…。育った街には絵画を教える教育機関がなかったので、この色とこの色は混ぜてはいけない、この色にこの色は使っていけないということは学ぶこともなく、自由に絵画のスキルを培いました。今は手芸や工芸も好きなんですが、メイクアップも含め指先を使うことが共通項ですよね。子ども時代の経験が結びついていると思います。私のインスピレーション源は水です。水は虹色に見えると思うのですが、好奇心旺盛だった私は、「なぜ水は虹色なの」と母に聞いて困らせていました。なぜ川は緑で海は青なのか、晴れの日の雨はダイヤモンドのように輝いているのか不思議に思っていました。そんなある時、水と光は色のマジックメーカーだと気づいたんです。例えば、海は水深で色が異なります。光の届く距離によって淡い水色からブルー、赤、真っ黒と色が変化していくのです。このような水と光のロマンチックな関係性に惹かれたんです。2024年春は水に関したコスメを何かしら発表するので、楽しにしていてほしいですね。
ーシャネルがこだわる「色」について考えを教えてください。
セシル:シャネルで働くことになってから色素の重要性に改めて気づきました。色彩研究のために、髪を染めるときもさまざまな顔料を使い、色の世界を楽しんでいます。このイベントのために、イエローオレンジを織り込んだウィッグも作りました。女性の絵は、デジタル上の映像を使って紙にプリントして洗って溶液につけて作り出したのですが、予期せぬものが生まれて面白いと感じました。また今いるこの部屋は黒の世界で作られていて、黒というカラーは無限に可能性が広がっているように感じますよね。
アミィ:(シャネルにとって赤はアイコニックなカラーですが)私にとって赤はスペシャルで強い色です。多くのアーティストが、ストーリーや感情を伝えるために赤という色を使っていますが、私自身はブルージュレッドが好きですね。クールな赤は、私のような肌の色に合いますし。赤は気分によっても違った受け取り方もしますよね。赤は1つではなく、白を足せばピンク、黄色を足せば温かみのあるオレンジなどさまざまな色に変化します。また黒ですが、もし私のメイクアップキットからひとつずつ削ぎ落としていくと、黒のアイライナーしか残らないのではないでしょうか。黒という色を加えればエレガントにもシックにもなれます。
ヴァレンティナ:例えば赤という色について、100人いれば100人が違う赤を思い出すと思います。私が今好きなのは、テクスチャーのあるものですね。また黒色のアイテムだけを使用したメイクアップのコンテストがあったとしたら、アイライナーが黒という色だけでいくつもの形やグラフィックを作れることが実感できると思います。宇宙(ユニバース)みたいにね。今「ユニバースみたい」と言ったけれどそれはあながち間違っていなくて、例えば夜に空を見上げれば真っ黒な世界が広がっていると思います。だけど、それぞれの星をよく見れば実際はさまざまな色であふれているんですよね。
「COLOR IS AN IDEA」シャネルの色に没入
トークセッションが終わると、シャネルの「色」を体験できるイマーシヴルームへ。「黒、白、ベージュ、ゴールド、赤」といった、シャネルのアイコン カラーに遊び心が加わったルームが続きます。
ガブリエル・シャネルは、喪服の色だった黒をエレガントなカラーに昇華させたように、特定の色や装いの概念に革命をもたらしてきました。また「ルージュをまとって挑みなさい」(悲しいときは、ルージュをまとって挑みなさい)というシャネルの有名な言葉があります。赤いルージュをまとうことで、「大胆に世界に足を踏み入れ、課題に立ち向かってほしい」という想いが込められいると言います。シャネルにとって「COLOR IS AN IDEA」ーー。色というツールが、美の未来までも想像した時間を叶え、イベントは終了しました。
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