ー今回の「トップに聞く 2023」のテーマはイノベーションです。イノベーションといえば、2022年に新たな企業理念「+1の発想で、美しさを塗り替え毎日を彩る。」を策定しました。
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当社は「面白い商品を作る」「常にチャレンジする」というマインドは持ち続けていましたが、コロナ禍で化粧品市場がダメージを受ける中で、改めて社員が一丸となって同じ方向を見据えないといけないと感じていました。しかし企業理念をトップが発信するだけでは社員に浸透しづらい。社員一人ひとりが自ら考え行動することで、会社全体の流れを作る。そこで、新たに企業理念を策定することを決め、公募により年齢や性別もさまざまであらゆる部門から集まった7人が中心となり作りました。
ー新しい試みだと思いますが、どうやって作り上げたのでしょうか?
7人には全10回のミーティングを通し、「BCLの強みは何か?」を考えてもらいました。新企業理念には、「個に寄り添う」「リード&チャレンジ」「『もっと』感動を」「愛される品質」という4つキーワード(行動指針)が込められています。
これまで“高品質”というキーワードはありましたが、高品質は当たり前で、そこから長く必要とされる“愛される品質”というキーワードが、7人から出てきたのはとても有益でしたね。化粧品で美しくなるのはある意味当然ですが、それだけでは他社と差別化できませんから。
“愛される品質”という差別化
ーBCLが考える差別化とは?
例えばですが、サボリーノの画期的な“朝用マスク”は、それまでの夜のスペシャルケアだったシートマスクを、毎日の朝の忙しい時間に時短でありながら、普段の生活を少し豊かにする、「+1」の発想があります。それが差別化であり、当社ならではの付加価値です。この企業理念はこの先の10年を戦うためのスローガンとして掲げていく予定です。
ーサボリーノからは、+1の新たなエッセンスとして福祉実験ユニット「ヘラルボニー」とのコラボ商品が発売されます。
当社としては以前から、商品を含め社内外活動でも積極的にSDGsを推進してきました。もっと深めたいと考えていたときにヘラルボニーに出合いました。ヘラルボニーは、「異彩を、 放て。」をミッションに掲げ、知的障害のあるアーティストの作品を“異彩”と表現しています。そのキーワードのおもしろさや個性に寄り添う姿勢に共感したと同時に、“朝マスク”という王道とは異なる異彩を放つサボリーノがマッチすると感じました。このコラボ商品は、1~2月の発売を予定しています。またサボリーノですが、来年2024年に大規模なイノベーションを起こしていきます。
ーSDGsでは、「SDGsのジレンマを解消」することを目的としたスキンケア「タヴィア(Taviea)」が2021年にデビューしました。
クリーンビューティとして誕生しましたが、コンセプトとして突出した訴求ポイントが伝え切れておらず、一旦見直しを行っています。ただ、当社の工場では散ってしまった桜の花びらや葉を原料にしたり、本来廃棄してしまう原料や果物を活用するアップサイクルなどモノを無駄にしない活動に取り組んでいます。「タヴィア」でもそういった点を今後の訴求ポイントとして、消費者に広く発信していこうと考えています。これまでもSDGsの活動は当然のようにやってきていましたが、当然になりすぎて伝えきれていなかった。会社としてどのブランドにもSDGsの要素は取り入れているということを、今後は積極的にアピールしていきます。
美容機器や健康食品など事業領域を広げる
ー2023年の戦略について教えてください。
われわれは化粧品企業だけではなくライフスタイル企業として、会社の方向性を膨らませていきます。美しさを塗り替えるには化粧品だけでは限界を感じており、新しいジャンルに飛び込みます。美容機器や健康食品、食品などへと領域を広げ、まずは異業種と協業してスタートし、2024年には自社でも運用できる体制を整えていきます。現段階ではサプリとプロテイン、美容機器は決定していて、食品ではお茶やおにぎりなども検討中で、基本的にはNGはありません。
顧客に寄り添っているか、愛される品質なのか…、企業理念に沿っているかを判断基準に、美しさにこだわりの幅を広げていきます。BCLは“Beauty Creative Lab”(美を創造する研究室)から、“Beauty Creative Life”(美を創造する毎日)に再定義し、顧客の生活に寄り添う規模を1段階アップさせます。
(文:ライター 中出若菜、聞き手:福崎明子)
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