「Sound Mind, Sound Body」をスローガンに掲げる「アシックス」は、間違いなく世界で最も有名な日本のスポーツ/アパレルブランドのひとつだ。近年は、世界各国のクリエイターとのコラボレーションや、海外でのイベントやポップアップの開催など、グローバル展開にもより力を入れている。そんな「アシックス」を、世界のショップはどう見ているのか。
今回、パリの「アシックス」ショールームに買い付けに訪れた、コペンハーゲンのスニーカーショップ「ネイキッド(Naked)」のバイヤー、クリスチャン・ピーター(Christian Peter)に話を聞いた。Nakedはウィメンズに特化したスニーカーショップで、2004年にデンマークのコペンハーゲンで開業。過去には、特別な「GEL-Kayano」をコラボレーションで制作するなど、長年に渡って関係を築いている。
ー「ネイキッド」の特徴にウィメンズに特化している点が挙げられます。これはなぜでしょう?
誰もやっていなかったからです。創業者のスティーン(Stine Lindholm Pedersen)は女性なのですが、スニーカー・カルチャー全体が男性主導の視点でばかり語られていることに疑問を持っていました。市場のギャップを認識した彼女は、女性消費者だけをターゲットにした店をオープンしたのです。
ー近年、日本ではスポーツの要素を取り入れたスタイルが勢いを増しているようです。デンマークではどうですか?
デンマークでも同じことを感じています。デンマークだけでなく北欧全体に、スポーツの大きな波が来ていると思いますね。運動時や普段使いだけでなく、ファッショナブルなスタイルにも取り入れられるスニーカーが増えたからでしょう。
ー「アシックス」でいうと、どのモデルが当てはまりますか? 「GT-2000」シリーズですね。このスニーカーの美しいシルエットは、不思議とどのような服装にも合います。70年代を彷彿とさせるトレンドが戻ってきているようにも感じていますが、「GT-2000」はこれからもずっと人気商品であり続けるはずです。そして「GEL-KAYANO 14」も忘れてはいけません。色の組み合わせ方も多様で、素材はスエードでもゴアテックスでもOK。カスタマイズの可能性が無限に広がるシューズです。
ー「アシックス」は他のスポーツメーカーと何が違うと思いますか?
先ほどと重なりますが、優れたランニングモデルのシルエットは、日常生活に取り入れやすく、ファッションにも馴染みやすいので、他のブランドとは一線を画しています。他にも、足裏中央に走る「ガイダンスライン」(走行中の重心移動のばらつきを抑え、安定した走行を可能にする)や、美しいカラーブロック、適切なパートナーとのコラボレーション、そして世界の主要都市にきちんとアクセスポイントがあることなども挙げられます。これらについては、まだまだ過小評価されていると思いますね。
ー今後のスポーツスタイルに期待していることは?
昨今はユニセックスのサイズ展開がスタンダートになってきましたが、女性モデルと男性モデルを分けることなく、ひとつのシルエットとして引き続き提案してほしいと思っています。Nakedでも、サイズ47まで買い求めていただける商品もあります。私たちは女性をターゲットにしてはいますが、できるだけ多くの人に来てもらえるように努力しているのです。
ー「アシックス」には何を期待していますか?
今やっていることを継続しつつ、製品を進化させ続けていくことでしょうか。「アシックス」のグローバル市場でのプレゼンスは高まっていると感じています。
(ライター:上岡 巧)
■アシックス:公式サイト
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