10日間の日程が終了したウィメンズ2024年秋冬シーズンのパリ・ファッションウィーク。これまでとは異なるコードを探究した「アン・ドゥムルメステール(ANN DEMEULEMEESTER)」、世界的シンガーが登場したことも話題になった「アンドレアス・クロンターラー フォー ヴィヴィアン・ウエストウッド(Andreas for Vivienne Westwood)」、女性の遊び心と挑発的な側面を捉えた「ジバンシィ(GIVENCHY)」の3ブランドのコレクションをダイジェストで振り返る。
リアルなエッセンスを注入したアン・ドゥムルメステール
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ステファノ・ガリーチ(Stefano Gallici)による2シーズン目の「アン・ドゥムルメステール(ANN DEMEULEMEESTER)」で同氏は、「これまでとは違うコードを探求」した。アン・ドゥムルメステールというとモノクロの世界観、特にダークでロマンチックな黒の印象が強いが、今シーズンはコレクションを「マインドスケープ(心象風景)」として捉え、パーソナル(=自由)に表現したという。
Image by: ANN DEMEULEMEESTER
アーカイヴを探索しデザインされたグレートコートをベースにしたビッグシルエットはショルダーにシアリングをあしらい、鎧のような存在感。一方でインナーは、ネグリジェにインスパイアされたシルキーなショートパンツのルームウェアやロングドレスといった相反する組み合わせ。レザーなど硬質な黒を中心に、カーキやオックスブラッドレッドといった深いカラーで構成されたコレクションは、ほつれやダメージ加工などブランドを象徴する退廃的なムードは漂う。そこに重厚感やリアルといった"自身の生き方をそのまま表現した"というガリーチのエッセンスが反映されていた。
ヴィヴィアン・ウエストウッド、中世のムードとスポーティの融合
Image by: Andreas for Vivienne Westwood
「アンドレアス・クロンターラー フォー ヴィヴィアン・ウエストウッド(Andreas for Vivienne Westwood)」の2024年秋冬コレクションは、アンドレアス・クロンターラーがヴィヴィアン・ウェストウッドと出会った当時に互いに情熱を注いでいた歴史にフォーカスした。ミラノで見た展覧会にインスパイアされたルネサンス後期の衣装と、時を同じくして偶然友人から貰い受けたスポーツ用プロテクターに繋がりを見出し、1600年代に男性が股間を保護するために身につけたコッドピースをスポーティに現代的に表現。また、女性の胸の形に沿ったパテッド、ショルダーのパテッドなど身体を防護するための装飾や、チェックやストライプ同士の掛け合わせがキャッチーなアクセントとして唯一無二の世界観を作り上げた。ランウェイの中央部で繰り広げられた3人組の体を張ったパフォーマンスと、シンガーのサム・スミス(Sam Smith)がランウェイにモデルとして登場したことも話題となった。
不朽のパリジェンヌたちを現在の姿に投影したジバンシィ
マシュー・ウィリアムズ(Mathew Williams)退任後、スタジオ・プレタポルテ・ファム(ウィメンズのプレタポルテ部門のデザインチーム)により、フロアショー形式で発表された今シーズンの「ジバンシィ(GIVENCHY)」。メゾンの核をなす「女性らしさの遊び心と挑発的な側面」を捉え、 ユベール・ド・ジバンシィのミューズであった不朽のパリジェンヌたちを現在の姿に投影している。ネックラインやドレープ、カッティングなど、イブニングウェアの要素をデイウェアのシルエットに落とし込み、重力を感じさせず浮遊しているかのような構築的なシルエット、アシンメトリックなコート丈やスカート丈でエレガンスの中に、捻りやサプライズの要素が取り入れられた。
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