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繊研plus【パリ=松井孝予通信員】欧州で米国製品のボイコットが広がりつつある。発端は北欧で、米トランプ政権による対外発言や対欧関税措置などに対する反発が背景。デンマークでは、大手流通が欧州産製品を示すラベルを導入するなど「バイ・ヨーロピアン」(欧州製品を買う)を掲げた購買行動の可視化が進む。
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こうした動きはフランスにも波及。仏大手調査機関IFOPが3月に実施した調査によれば、現在、米国企業の製品・サービスをボイコットしていると回答したフランス人は全体の32%。飲料・外食分野ではコカ・コーラ(48%)、マクドナルド(44%)が多く、テスラ(19%)やX(10%)といった企業も対象に挙がっている。
理由は単なる経済的対立にとどまらず、米政権の内政外交方針への反発や、トランプ大統領に近い企業への批判的姿勢によるものと分析される。仏国内では、企業の社会的責任や価値観を購買の判断基準とする傾向が広がっており、DEI(多様性・公平性・包括性)政策に対する左派層の反感や、経済的ナショナリズムの高まりも指摘されている。
同調査では、今後数カ月以内に米国ブランドを意図的に回避すると答えたフランス人は57%にのぼり、価値観や政治的判断が消費行動に持続的な影響を及ぼす可能性を示唆した。
また、観光にも影響が広がりつつある。大手旅行会社によると欧州から米国への予約が前年比20~30%減で、要因には政治的な敬遠や旅行費増が挙がった。
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