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ボロボロ古着は“ファストファッションへのリベンジ”?「ディストレスト・フェスト」がブルックリンで開催

ボロボロ古着は“ファストファッションへのリベンジ”?「ディストレスト・フェスト」がブルックリンで開催

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 古着の人気が高まっているが、例えば「イーベイ」で売りに出してもシミやほつれがあるという理由で買い手がつかないとか、「ザ・リアル・リアル」で買うようなお客は見向きもしない感じの古着がある。しかし、それはそれでマーケットがあるのだ。3月29日にブルックリンで開催された「ディストレスト・フェスト」を覗いてみた。

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 会場の入り口でポーズをとってくれたのは、ディストレスト・フェストを主宰しているエイブ・ランジさん(右側)とコナー・グレシットさん。元々はランジさんが1人で去年3月、ニューヨークで出展社10のみで開催した。その日は最寄り駅が閉鎖になるほどの大雨だったそうだが、そのわりには人が来たので「天気がよければもっと人が来るはず」と思ったランジさん。その時サンディエゴから出展したグレシットさんが、「一緒にやろう」と提案。ランジさんは東海岸ベースでデザイナーやスタイリストのお客が多く、グレシットさんは西海岸ベースでバイヤーのお客が多く、お互い扱う服のタイプも違うことから、2人はタッグを組むことになった。昨秋ロサンゼルスで40社で開催し、今回は3回目。約560平方メートルの古い倉庫を借り、40社が参加した。

 グレシットさんのブースにあった、このぼろぼろのジーンズは200ドル。グレシットさんによると、第2次世界大戦時にアメリカの海軍によってはかれていたもので、コンディションがよければ600~800ドルが相場だそう。「でもこれを買う人はたぶん自分では着ないよ。デザインの参考や撮影用のスタイリングで使うんじゃないかな」とグレシットさん。

 マサチューセッツ州から出展したサイラス・アメリンさんのブース。アメリンさんは、過疎地にある空き家や古い家畜小屋に入って古着を集めることをフルタイムでやるようになって、6~7年になるという。その前は、高齢者が施設に入る時の引っ越しを請け負う引っ越し屋をしていたそうだ。置いていかれるさまざまな古着や古道具を何度も目にするうちに、それを売ってビジネスになると感じるようになったようだ。

 かっこいいコートを着ていた若い男性に声をかけたら、「今買ったばかり」という。60年代のコートで、「キャラクターがあって、直したところがたくさんあってかっこいい」との理由で買ったそうだ。ランジさんによると、打ち合わせに付けられているような留め金は今トレンド。悪魔柄とスカル柄、黒もよく売れるそうだ。

 来場者は男性が多いが、女性の姿もちらほら。ぼろぼろのTシャツもこんなふうに重ねて着ていた!

 彼女の背後にある「ファイン&ダンディー・ショップ」のブースでは、2枚、3枚と重ねた状態でハンガーにかけて、セット価格で販売。ちなみに、このバナナリパブリックのビンテージと下にTシャツをあわせたセットは79ドル。

 ファイン&ダンディー・ショップは、マンハッタンのヘルズキッチン地区に直営店をもつ古着屋さん。去年6月に大阪でポップアップショップをやり、東京の蚤の市にも参加したそうだ。日米のお客さんの違いを聞くと、「日本のお客さんの方が選り好みが激しく、買う人はこの手の古着のことを良く知っている。アメリカのお客は初めて見る服でも試しに買ってみる衝動買いが、日本人より多い」との答えが返ってきた。

 ランジさんのブースにあった40年代のツイードのジャケット(600ドル)。日本人はなかなかここまでのぼろ服は買わないのではないかと思ったが、バイヤーの75%が日本人というグレシットさんは、「日本人からも「ディストレストな服ある?」と聞かれ始めている。変わりつつある」と話していた。

 創業者のランジさんは現在27歳。大学を卒業した2019年から、故郷のノースキャロライナやフランスなどで本格的に古着収集している。口コミで知ったファッション業界で働いている友人たちから「買いたい」と言われ始め、デザイナーや店のオーナーからも買いたいと言われるようになり、ウェブサイトとインスタグラムを始めた。ブルックリンにあるランジさんのアパートには、在庫がいっぱい。イェ(カニエ・ウェスト)、キム・ジョーンズやコーチのデザインチーム、ラッパー、フォークアートディーラーなども買いに来るという。

 ランジさんは、ファストファッションの台頭と共に似たような服があふれるようになり、こうしたぼろぼろの古着は「ファストファッションへのリベンジ」と受け止めている。ランジさんはギターもヴィンテージの方がより良い音が出たり、より高い価値があったりすることを引き合いに出し、服にも同様の価値を期待できるとみている。ただし、全部ぼろぼろの古着ではホームレスのようになってしまうので、デザイナーブランドの服とぼろぼろの古着を合わせるのがかっこいいというスタンスだ。

89年秋以来、繊研新聞ニューヨーク通信員としてファッション、ファッションビジネス、小売ビジネスについて執筆してきました。2013 年春に始めたダイエットで20代の頃の体重に落とし、美容食の研究も開始。でも知的好奇心が邪魔をして(!?)つい夜更かししてしまい、美肌効果のほどはビミョウ。そんな私の食指が動いたネタを、ランダムに紹介していきます。また、美容食の研究も始めました

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