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「On」快進撃のカギはリテール戦略にあり、実店舗展開がもたらす次の一手とは?

「On」快進撃のカギはリテール戦略にあり、実店舗展開がもたらす次の一手とは?

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スイス発のスポーツブランド「On」。中でも人気のランニングシューズは、スポーツ業界だけでなくファッション業界からも高い支持を集め、タウンユースとして日常生活に取り入れる人も多く見かけるようになった。2022年4月、原宿・キャットストリートにオープンし、成長のカギを握るAPAC初の旗艦店「On Flagship Store Tokyo Cat Street」は、連日大盛況だ。BtoBを中心にビジネス展開を行ってきた「On」だが、なぜこのタイミングでリテールを強化するのか。オン・ジャパン株式会社にてリテールシニアリード・APACを務める水口延広さんにお話を伺った。

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水口延広さん/オン・ジャパン株式会社 リテールシニアリード・APAC
バックパッカーとして世界中を巡り歩き、帰国後は米国発シューズ販売チェーン店の日本第一号店で店舗運営に携わる。その後、フランスに本社を構えるメゾンの日本支社でビスポークシューズのリテールを担当。業界トップのグローバルスポーツブランドでの事業開発やグローバルファッション企業でのリテールマネジメント経験を重ね、2024年9月にオン・ジャパン株式会社へ入社。リテールシニアリード・APACとしてオン・ジャパンのリテールビジネスを率いている。

靴を知り尽くした水口さんを虜にした、「On」の魅力

― これまでのキャリア経歴について教えていただけますか。

就職する前は、バックパッカーとして海外をまわっていました。長らく滞在していたオーストラリアから帰国して、どのような仕事に就くか考えていた時、ある商社がスポーツブランドを多く取り扱うアメリカのシューズ販売チェーン店を東京で展開することを知ったんです。

海外生活で培った英語力を活かせることや新規店舗の立ち上げや運営に携われること、そして学生の頃から大のスニーカー好きだったこともあって入社を決めました。当時はグローバルとのやり取りを担いながら、店舗マネジメントの仕事をしていました。

― それ以来、スニーカーやスポーツブランドの商品を取り扱う企業でキャリアを積まれてきたのでしょうか。

いいえ。その当時は世の中の消費動向がハイエンドとリーズナブルの二極化が進んでいくと言われていたんです。それを耳にした時、高級紳士靴という世界に興味を持ちまして。思い立ったらじっとしていられない性分ですから、思い切ってフランスのメゾンに飛び込み、ビスポークシューズ、いわゆるメイドトゥメジャーの紳士靴のリテールを担当したんです。そこで学んだシューズメイキングやクラフトマンシップが、私をより靴の世界へと引き込みました。

その後、業界トップのグローバルスポーツブランドでは、リテールビジネスをはじめ新規事業開発などを7-8年程担当していました。途中コロナがありましたが、新規事業が軌道に乗ったタイミングで、後任にバトンタッチをして会社を去りました。ここでの仕事はとても貴重な経験でした。

その後、スポーツからは離れてファッションやF&B(Food&Beverage)などいくつかのグローバルブランドでキャリアを積みました。でも何か物足りない感じがありました。様々なレースや試合を観戦することや体を動かすことを通して、アスリートの情熱やスポーツの力に改めて気づき、やはり自分はスポーツに関わる仕事がしたいのだなと気持ちが定まり、この業界に戻ってくることを決意したんです。

― そういった中で出会ったのが、オン・ジャパンだったということですね。

「On」のランニングシューズは5年ほど前から愛用していました。その「On」の日本法人が、自分が担えるかもしれないポジションをたまたま募集していたので、思い切って応募してみたんです。

仕事において、給料やネームバリューよりも“ときめき”が大切であることは、過去の転職経験から身をもって理解していただけに行動を起こすまでは早かったです。どんなに忙しくても“ときめき”さえあれば踏ん張れるし、原動力として作用する瞬間が多いんですよ。

― オン・ジャパンのどういった点に“ときめき”を感じましたか。

シンプルなデザインに加え、独自のイノベーションがつまっている点です。これまでたくさんのシューズを履いてきましたが、クッショニングやコンフォートの良さが私を含めて多くのお客様、そしてランナーの方々を虜にしているのだと思います。

企業カルチャーの観点からはHR担当者との面談で感じた正直さ、何より社員間でスポーツやアウトドアアクティビティの話題が頻繁に上がることも、とてもフィットする感覚がありました。

仕事において“ときめき”を感じることがない方は、何が好きで何が嫌いかを紙に書き出してみることから始めるのをおすすめします。頭の中で整理しきれなかった物事を“見える化”することで、自ずと選択肢が広がるでしょう。

さまざまなブランドで経験を積む中で、仕事に「ときめき」を感じることが大切と語る水口さん

いま、リテールビジネスに重きを置く理由

― オン・ジャパンにおける水口さんの役割やミッションを教えてください。

リテールシニアリードとして、APACのリテールビジネス全体をマネジメントする立場になります。グレーターチャイナ(中国、香港、台湾)を除いて、日本を中心としながらもオーストラリアや韓国におけるリテールビジネスを成長させることがミッションです。

― このタイミングでリテールビジネスを強化するのはなぜですか。

「On」のブランドストーリーを正しく伝えるためです。靴がメインプロダクトとして注目されがちですが、アパレルラインにおいても素晴らしい商品が開発・販売されていることを、より多くのお客様に伝えていきたいのです。

だからこそ、全ラインナップ(head to toe)に触れることができる実店舗を強化する必要がある。ほかにも、店舗だからこそ提供できるサービスやランニングイベントを通して、お客様とのコミュニティ構築を図ることができるのも、大きなメリットになると考えています。

― 店舗展開するための戦略として意識していることはありますか。

リテールチームの使命は、お客様目線でベストロケーション、ベストタイミングを見極めて出店を行い、「On」の成長を促していくことです。そのためにリテールチームだけでなく、BtoBやデジタル、マーケティングといった各ファンクションと密に連携を取ることを意識しながら、マーケットに対して最適なアプローチをするためのアイデアを練っています。

そういった中で、日本に近く経済成長が著しい東南アジアは、GDP成長率が上がるとともに国民所得も上がってきているため、彼らの消費活動を注視しています。現在は嬉しいことに東南アジアからのお客様も含めて、海外から多くのお客様が原宿の店舗へ足を運んでくれています。ただ、現状は東京・原宿への一極集中となってしまっているので、日本のお客様も含めて、居住地を問わず「On」の魅力を知っていただけるよう、東京を中心としながらも国内の主要都市への展開も進めていく予定です。

― 水口さんは現在のスポーツブランドにおける国内市場動向をどのように見ていますか。

大手メジャーブランドから新興ブランドへ関心・消費が少しずつ移りはじめていると思います。いま、市場が求めているのは「単なるかっこよさ」だけではありません。大前提として良質な履き心地であるか、そして革新的なアイデアや技術が詰まっているかを重要視する傾向が強くあります。現に2万円前後のランニングシューズを普段履きとして愛用するお客様も増えており、消費活動における優先度に変化が現れていることは確かです。

― 市場が大きな動きを見せている今、「On」はどのような立ち位置にいるのでしょう。

スポーツブランドにおいて一、二を争うほど成長スピードが早いブランドで、時価総額は2.8兆円(NYSE :ONON, 2024年12月時点)を達成しています。昨年リリースしたシューズ製法の最新テクノロジー「LightSprayTM」が業界に衝撃を与えたように、今後もイノベーティブな商品を起点に成長の機会を多く見込んでいます。

「LightSprayTM」はランニングシューズ業界の常識を覆す、まったく新しい「On」のテクノロジーだ

事業成長のカギは「On」が好きという気持ち

― リテールビジネスにおいて大切にしていることを教えてください。

リテールとはリレーで言うアンカーの役割を担うポジション。最終工程に携わる責任感とプライドを持てる環境づくりを大切にしています。そのため、「On」の組織において重んじるべきはお客様、次にお客様に直接関わるストアスタッフ、続いてバックオフィスという逆三角形のレイヤーを理想としています。

商品のコンセプトや開発、ストーリーテリング、サプライチェーンなどの担当者が繋いだバトン(=商品)を受け取り、お客様へ提供するというゴールテープを切るために走るのはストアチームですから。

― リテールビジネスで成功をつかむためには、重要なことは何ですか。

ミッションやビジョン、バリューなどを含めて共感できる人、何より「On」が好きである人をどれだけ組織に迎え入れるかが重要ですね。もちろん、最初は「On」ヘの興味から入社され、次第に「好き」になられる方もたくさんいます。「好き」が溢れる接客は、やはりお客様を惹きつける力がありますよね。

加えて、お客様にハッピーを届けたいというパッション、失敗を含めてチャレンジを楽しめる人にとっては、活躍できる労働環境が整っていると思います。実際に働いているスタッフは「On」が掲げる「5スピリッツ」のもと、最高のサービスを提供するために尽力する素晴らしいスタッフばかりなので、良い刺激を受けながらスキルを磨いていけるでしょう。

― 「On」のこれからについて教えてください。

私達のビジョンは「On」を世界で最もプレミアムなスポーツブランドへと成長させることですが、ストアチームの活躍なくては達成できません。

重要な局面にある今、「On」が好きという気持ち、そして持ちうるスキルを最大限に発揮して働きたいと思っている方々の力を必要としています。国内、そして世界で活躍できる人材へと成長できる場所でもあると思うので、ぜひジョインしてくれたら嬉しいです。一緒に「Dream On」しませんか?

今後リテールビジネスを強化することで一層活躍の場が広がる「On」。急成長中のブランドで共にキャリアを築きたい方はぜひこの機会をお見逃しなく

キャリアイベントのお知らせ

この度、「On」はリテールチームの仲間を募集するキャリアイベントを3月13日(木)に開催します。イベントでは、「On」が大事にしているブランドの価値観やリテールチームの展望、採用ポジションのご紹介、そして、職場環境を知るためのストアツアーを開催します。「On」で活躍するストアチームメンバーや本記事に登場したAPACリテール担当の水口さんも参加して、カジュアルなセッションを展開する予定です。現役スタッフと直接交流する貴重な機会になりますので、「On」にご興味がある方はこちらから詳細をご覧ください!

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