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スイスとドイツの国境に位置 ミュージアムの最高峰「バイエラー財団」をレポート

スイスとドイツの国境に位置 ミュージアムの最高峰「バイエラー財団」をレポート

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少し前のことになるが、世界で一番行きたかったスイス・バーゼル郊外にある美術館「Fondation Beyeler(バイエラー財団)」を訪れた。旅の直前に、予約していたホテルからバスルームのお湯が出なくなったと連絡が入ったが、グループ経営している別のホテルに変更してもらうことができただけでなく、「バイエラー財団」まで徒歩圏内という好立地に変わったため、自分にとってはラッキーだった。

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滞在したのは、ドイツとスイスの国境にあるレラハという街。スイスに入った途端、当たり前だが通貨はスイスフランになり、物価が一気に上がる。そのため、ドイツ側に滞在することを選択したが、これも正解だった。スイスへのイミグレーションまで徒歩5分、最寄駅まで4分、バス停もトラムもすぐ近くという好立地で、山と自然に囲まれたのどかで閑静な街並みもとても気に入った。特に、迫りくるような巨大な朝日を見た時は、その神々しさに思わず手を合わせて拝むほどだった。

高層ビルもなく、空気も澄んでいるせいか、ため息が出るほど美しいピンクの夕焼けも拝むことができ、3泊4日という短い滞在だったが、幸福度と満足度がとても高い旅となった。

常に騒々しく、何かしらハプニングが起きているベルリンから逃れるには最適の場所であり、何もしないままボーッと景色を眺めたり、ゆっくり読書がしたくなるような環境だ。ホテルへ向かう途中、見知らぬ男性から「Frohes Neues Jahr!(ドイツ語であけましておめでとうの意)」と声をかけられ、田舎ならではの温かさを感じて嬉しくなった。横断歩道で待っていると、交通量が少ないにも関わらず、100%の確率で車が停まってくれることにも驚いた。

レラハの物価はベルリンとさほど変わらないが、バイエラー財団のあるリーヘンは、ランチに食べたカルボナーラが17スイスフラン(約3000円!!)しかし、これでもまだ庶民的な値段なのだとバーゼル市内に行った時に思い知る。リーヘンには、美術館やギャラリーが点在しており、街全体がかわいらしい。スーパーやカフェはドイツより少し高めだが許容範囲。初めて見るスイスメーカーの食品がいっぱいあって楽しいし、やはり乳製品が美味しい。

一番の目的だった「バイエラー財団」は、1月26日まで開催していたMatisse(アンリ・マティス)展が非常に人気で連日長蛇の列を成し、事前に可能なオンライン予約もすぐに埋まってしまうほどだった。真冬の寒空の下で待つしかないのだが、年齢層が高く、ハイブランドを嫌味なくさらっと身に纏っている富裕層が多いことにも驚く。全てにおいてベルリンと違う。

館内は、真ん中にミュージアムショップを挟んで、手前が常設展、奥に企画展のスペースがあり、それぞれ10、11つのルームがある。作品をひとつずつじっくり観るには3時間は必要になるだろう。広大な敷地面積を誇る同館は、世界の著名作家の名作が並ぶだけでなく、空間、展示方法、額装、光の入り方、休憩スペース、インテリア、植物に至るまで、見るもの全てが芸術的で、1日中いても飽きない居心地の良い最高の空間だった。

ピカソとフランシス・ベーコンが対峙してる贅沢な空間には何度も訪れ、じっくり時間をかけて鑑賞。お目当てだったアルベルト・ジャコメッティの部屋には、ウォーキングマンとスタンディングウーマンが絶妙な位置に鎮座し、ガラス窓からの美しい光を浴び、神秘的だった。他にも、ワシリ・カンディンスキー、ピート・モンドリアン、マーク・ロスコ、クロード・モネ、ルイーズ・ブルジョアなどの名作が並び、歓喜に満ちながら鑑賞するだけで、インプット疲れしてしまうほど。

時間に余裕を持って入館し、途中で休憩を挟みながら、全フロアーをじっくり観ることをおすすめする。全面ガラス張りの広々したラウンジが心地よく、自然に囲まれた外の景色を眺めることができる。設計は、パリのポンピドゥー・センターも手掛けた現代建築の巨匠レンゾ・ピアノ。石材とガラス材が多く、ミニマルでシンプルだけど無骨さはなく、エレガントに感じるのはガーデンや近隣の田園風景の美しさからか?やはり光の入り方は計算されて設計されているとのこと。

「バイエラー財団」が好きな理由は他にもある。不定期で開催されている音楽イベントのセンスまで自分好みな点だ。過去には、ドイツ拠点の人気アーティスト、アシッド・パウリがライブ配信を行ったり、世界のトップDJやライブアクトを招き、エレクトロニックミュージック中心のイベントを開催している。今回の滞在中には残念ながら開催されなかったが、次回タイミングが合えば、是非イベントにも参加してみたい。

けっして、アクセスが良い場所にあるとは言えない。観光スポットと言えば、トラムや電車を乗り継いで行かないといけない「ヴィトラ・デザイン・ミュージアム」が有名だが、徒歩圏内には、数軒のギャラリーぐらいしかない。それでも毎日世界中から多くの人が訪れ、並んででも観たいと思わせる世界最高峰の美術館が「バイエラー財団」なのだ。

長野県生まれ。文化服装学院ファッションビジネス科卒業。

セレクトショップのプレス、ブランドディレクターなどを経たのち、フリーランスとしてPR事業をスタートさせる。ファッションと音楽の二本を柱に独自のスタイルで実績を積みながら、ライターとしても執筆活動を開始する。ヨーロッパのフェスやローカルカルチャーの取材を行うなど海外へと活動の幅を広げ、2014年には東京からベルリンへと拠点を移す。現在、多くの媒体にて連載を持ち、ベルリンをはじめとするヨーロッパ各地の現地情報を伝えている。主な媒体に、Qetic、VOGUE、men’sFUDGE、繊研新聞、WWD Beautyなどがある。

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