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ビニールケースを財布代わりに
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「100均財布界隈(かいわい)」をご存じでしょうか。お財布の代わりに100円均一ショップで購入したビニールケースを利用する界隈で、1月にSNSで話題になりました。
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この界隈には若者が多く見られ、2月にSHIBUYA109渋谷店で実施した若者を対象にした館内ヒアリングでも、サンリオやチェゴシムなど、人気キャラクターがデザインされているビニールケースや「ジップロック」、封筒をお財布代わりに使っている若者が観測されました。
キャッシュレス化が進み現金を持ち歩くことが減ったことや、トレンドのバッグのサイズの縮小化で荷物をなるべく減らしたいという意識が背景にあると考えられます。
ブランド財布離れ?
しかし、これまで使われていた長財布や二つ折り財布が全く使われなくなっているわけではありません。実際に館内ヒアリングでも、ミドルからハイブランドの財布を持っている若者の割合が最も多く、「若者のブランド財布離れ」とは言い切れない印象です。
一方で「100均財布界隈」の若者たちに話を聞いてみると、「学校に行く時だけ100均財布を使っている」「推し活の時にお金を出しやすいようにジップロックに入れていく」という声があり、カジュアルなシーンや、利便性を優先したい時などでの使用が多く、シーンに合わせて使い分けている様子でした。
財布にも可変性あり
共通する若者の傾向として、若者はファッションテイストを2、3個持ち、行く場所や遊ぶ相手に合わせて使い分けるという特徴があります。
これは、ファッションを介してそのコミュニティーのムードを共有し合いたい気持ちから来る行動であると我々は分析しています。これまで、財布はハイブランドなど比較的高価格帯のものが大多数で、服やアクセサリーほどの可変性はありませんでした。
しかし今後は、ファッションアイテムのようにTPOに合わせて使い分け、そのコミュニティーのムードを共有するツールとしての役割が強まっていくかもしれません。
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長田麻衣(おさだ・まい) シブヤ109ラボ所長。総合マーケティング会社で、主に化粧品・食品・玩具メーカーの商品開発・ブランディング・ターゲット設定のための調査やPRサポートを経て現職。毎月200人の若者と接する毎日を過ごしている。好きなものは、うどん、カラオケ、ドライブ。
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