2024年春夏シーズンのミラノ・ファッション・ウィーク(Milan Fashion Week)が9月20~25日(現地時間)に開催され、64ブランドがフィジカルなショーを発表した。ヴァルター・キアッポーニ(Walter Chiapponi)のラストショーとなった「トッズ(TOD'S)」をはじめ、「エトロ(ETRO)」「エムエム6 メゾン マルジェラ(MM6 Maison Margiela)」「ヴェルサーチェ(VERSACE)」など、注目を集めた新作発表を振り返る。
神秘的な異世界をファッションで表現した「エトロ」
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マルコ・デ・ヴィンチェンツォ(Marco De Vincenzo)が手掛ける「エトロ」のテーマは「ETRO NOWHERE(エトロノーウェア)」。想像力によって生み出された、現実には存在しない場所を服の中に投影した。会場には寺院の遺跡のような巨大な柱が設置され、色鮮やかなプリントをまとったモデルたちが登場。異なる信仰・文化などを自由に組み合わせた、生命力あふれるルックが目を引いた。
西洋のエッセンスが感じられるブロケードをベースに、デニムやテリークロス(タオル地)など様々なテキスタイルがミックスされ、首元やウエストには足元まで届く長さの三つ編みがあしらわれた。また、古代のミケーネのシンボルであるタコのモチーフや、目隠しをした女神の形をしたイヤリングなども登場し、神秘的なミックス&マッチを完成。ポインテッドトゥのフラットサンダルとソックスの組み合わせが強いインパクトを放っていた。
溶けたキャンドルをまとう「エムエム6 メゾン マルジェラ」
デザインチームが手掛ける「エムエム6 メゾン マルジェラ」は、「抽象化と率直さ」をテーマにコレクションを発表。「ひとつのアイデアを最も論理的な結果に導くことで、それを先鋭的なものにする」とコレクションノートに記されている。モノトーンのアイテムはいずれも一見シンプルだが、ベストやテーラードジャケットは長細いシルエットにアレンジ。トップスにあしらわれた文字も引き伸ばされ、判読できないものも見られた。
後半に登場したトップスは、溶けたキャンドルが滴り落ちるディテール。ランウェイショーの招待状をプリントしたタンクトップやTシャツ、網状のトップスなどユニークなアイテムも登場し、「エムエム6 メゾン マルジェラ」らしいコンセプチュアルなクリエイションを作り上げた。
イタリアの巧みな職人技をアピールした「トッズ」の工房
ウィメンズとメンズコレクションのクリエイティブディレクターとして約4年にわたって「トッズ」を牽引したヴァルター・キアッポーニが、最後のショー会場に選んだのは「ラボラトリー・スカラ・アンサルド(スカラ座アンサルド工房)」。今冬、スカラ座で初演を迎える「ドン・カルロス」の舞台装置の制作が行われている工房で、ブランドの基本的価値であるイタリアのクラフツマンシップをアピールした。
テーマは「ファブリカ(工房)」。カット、ボリューム、素材の品質に重点を置き、男性のワードローブや1990年代のミニマリズムを取り入れた。伝統的なテーラードウェアを柔らかく仕立て直し、ゆったりと流れるようなシルエットを構築。また、レザーグローブをナスカンで取り付けることができるマルチパーパスのベルトがアクセントに。ペブルソールに上質な革を使用したアイコンシューズの「ゴンミーニ」のほか、ミュールや編み込みサンダルも登場し、高いデザイン性とイタリアの職人技を改めて印象付けた。
「ヴェルサーチェ」の輝くチェッカーボードとパステルカラー
ドナテラ・ヴェルサーチェ(Donatella Versace)が手掛ける「ヴェルサーチェ」は、「若さ、自分への自信、都会のエネルギー」をコレクションに反映した。モチーフとして多用されたのはチェッカーボード。1982年春夏に発表されて以来、数多くのコレクションに使用されているグラフィックだが、今回はパステルカラーに彩られたドレスやトートバッグとなって登場した。ドレスはスクエアやトライアングルのシルエットで、マイクロショーツもフレッシュな印象。メタルメッシュを随所にインサートし、1960年代の活気とオプティミズムを彷彿とさせた。
ヘアアクセサリーやシューズのモチーフにあしらわれていたのは、ジャンニ・リボン。今シーズンを代表する「ジャンニ リボン バレリー ナフラット」は、ヴェルサーチェのショーのオープニングを飾った初のフラットシューズとなった。ショーの最後に登場したのはジジ・ハディッド(Gigi Hadid)、そしてクラウディア・シファー(Claudia Schiffer)。20代と50代という、世代の異なる2人のスーパーモデルの豪華共演に会場は驚きに包まれた。
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