今年のお買い物を振り返る「2024年ベストバイ」。9人目は、美容誌「美的.com」編集長の小林由佳さん。前職でのファッション誌や、美的での編集経験を経て、2年前に広告部から編集部へ異動し、美的.comの編集長に就任した。異動した当初は肩肘を張ってしまっていたという小林さんだが、今では自然体の魅力で美容誌トータルメディアNo.1のウェブ版をけん引する。そんな小林さんが今年買って良かったモノ7選。
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「コム デ ギャルソン・オム」のジャケット
FASHIONSNAP(以下、F):1点目は「コム デ ギャルソン・オム(COMME des GARÇONS HOMME)」のジャケットですが、メンズアイテムを愛用しているのですね。
小林由佳編集長(以下小林):2年前に編集部になり公式な行事も増えて、ジャケットを着用する場面が増えてきて…。いわゆるセットアップ的なウィメンズのジャケットではなく、でもデザイン性が高くてモード過ぎるのも、なんだか違うと思ってずっと探していたんです。そんな思いをしながら今年になって、たまたまコム デ ギャルソンのブティックでショップスタッフの方から「ジャケット探されているなら、メンズもオススメですよ」と言われて。
F:特にジャケットはサイズ感が気になるのでメンズアイテムが良いとは思いつかないですよね。実際、仕立ても違いますし。
小林:そうなんですよね。なので試着してみてしっくりはきたんですが、「着慣れていないメンズだし、微妙かもなあ」と思ってしまって、買わずに帰宅して…。でも家に帰ってから、なんだか忘れられず。後日お店に戻って購入しました。
F:実際にどういうところが気に入られたんですか?
小林:いわゆるメンズのダボっと感というか、タイト過ぎないカジュアル感が、私にフィットしました。メンズサイズのゆるさが、女性っぽい。だけどウィメンズの細身のラインではなく男性らしいラインがある。袖を通さないで羽織っても、大きめのサイズなのでとってもかっこいいんです。
F:30代半ばで編集長を任された当時、どんな思いでしたか?服装も気にしますよね?
小林:初めての経験で、ちゃんとしなければいけない、とすごく思っていましたね。外出の際は、きちんとした服装をした方がいいのかな、とか。最初は堅苦しく考えてしまって…。
F:編集者の前は営業職を経験されているので、ジャケットは着慣れているのかなと思ったのですが。
小林:実は当時は全然着ていなかったんですよ。着ろよって感じですよね(笑)。
F:人前に立つことが増えていくと、自然と肩書きとジャケットが合っていくようなこともあるのでしょうか。
小林:あるかもですね。今では編集長として、肩肘張らずに自然体でいいんだって思えています。
シャネル「ココ クラッシュ」のリング
F:この「シャネル(CHANEL)」のリング「ココ クラッシュ」もお仕事と関係があるとか。
小林:そうなんです。ずっと欲しいと思っていたんですが、何かきっかけがあれば買いたいと。それで編集長になった時に自分へのプレゼント&喝としてホワイトゴールドを購入しました。ホワイトゴールドのほかに、ベージュゴールド、イエローゴールドがあって、お金があったら3色全部欲しいぐらいだったんですけど(笑)。この2年、ずっと付けているのですが、広告ヴィジュアルなどで重ね付けしているのを見るたびに、可愛いなあ〜、欲しいなあって。それで今年、特に何か特別なことがあった訳ではないのですが、度重なる値上がりのニュースを聞いて、「今しかない」と思ってイエローゴールドを買い足しました。
F:シャネルだけじゃなく、ラグジュアリーブランドの価格の高騰はびっくりしますよね。
小林:本当ですよね…。それもあって、いつかはと思っていたら購入できなくなると思ったんです。
F:2つになったことで、重ね付けをしてるのですか?
小林:今は、一緒に付けるのは特別な日だけですね。ホワイトゴールドはカジュアルなシーンでも付けますが、ゴールドは会食やパーティなどきちんとした格好をする時に使っています。
F:このココ クラッシュもそうですが、そういう意味ではジュエリーは何か特別な思いを抱かせますよね。
小林:そうですね。歳を重ねるごとに、本当に気に入ったものしか付けたくない。だから思い入れがあって購入したものは、高くても良い投資だと思えるようになってきました。さらに何かの節目で購入したら、モチベーションにもつながりますし、パワーを与えてくれる存在になってくれます。
F:そういう思いで購入したアイテムはありますか?
小林:この時計ですね。30歳の記念に購入しました。その時もかなり奮発して買ったのですが、10年間ずっと着けているので振り返ってみると全然悪くない投資だと思います。自分の中で何か歴史を刻んでいるようで心地よさもありますし。来年は40歳。今からは何を買おうかと考えているところです。
F:何か目星は付けているのですか?
小林:うーん、「マックスマーラ(Max Mara)」のコートに昔からずっと憧れていて。今か?! と一人悩んで何回も試着しています(笑)。コートもきちんとケアをすれば10年は着られると思いますし。ショップスタッフの人は、「皆さん、おばあちゃんになっても着られていますよ」とおっしゃっていて。年齢を重ねても素敵に着こなせるっていいですよね。
F:今付けられている、パールのネックレスも素敵ですね。
小林:いつもお仕事をご一緒しているおしゃれなライターさんがしていて。めちゃくちゃ可愛い!と思って、「真似してもいいですか?」と確認してから購入しました。「ララガン(R.ALAGAN)」のモノなんですが、淡水パールの不揃い感が絶妙ですよね。
Tシャツといったカジュアルな装いでも、胸元が開いたブラウスなど少しきちんとした格好でも、どんなスタイルでもマッチします。顔周りに白があると、顔がパッと明るくなりますよね。歳を重ねてパールの威力を感じています。そのライターさんに、感謝の気持ちでいっぱいです(笑)。
「サンローラン」のドットブラウス
F:次はこのブラウスを紹介していただけますか?
小林:「サンローラン(SAINT LAURENT)」ですが、実はこれもメンズなんです。サンローランのメンズは基本、細身ですし、これはSサイズで男性がピタッと着るとかっこいいですよね。先ほどのコム デ ギャルソン オムでの成功体験があるから、「ああ私、メンズのSが好きなんだな」(笑)と。シルエットもドットも可愛いくて購入しました。
F:これメンズなんですね!?
小林:着るとやっぱりウィメンズのラインではなく、ストーンとしたシルエットで、女性が着た時のブラウスの動きが独特で素敵。シルクの雰囲気もとってもいいんです。
F:どういう時に着られますか?
小林:大事な会食やパーティなどここぞ、という日に着ています。美的では毎年末、読者と美容賢者の投票による“その年、最も良かった”ベストコスメを発表し表彰式を行なっているのですが、今年の表彰式には、このブラウスにドレスパンツを合わせて出席したいと考えています。
「ガニー」のリュック、キャップ、トップス
F:これはデンマーク発ファッションブランド「ガニー(GANNI)」ですが、とっても人気があるブランドですね。
小林:ガニーは数年前にシャツを購入したことがありましたが、最近さらに目にすることが多くなってきた印象ですね。
昨年サステナビリティイベントの取材に行き、ガニー本国のブランドディレクターの方がエシカルな考え方を発表されていて。それを聞いて本当に素敵なブランドだと思いました。アップサイクルの素材使いのほか、生産工程で出る排水量やCO2(二酸化炭素)排出量の削減などを進めながらも、当たり前のこととして「NOT A SUSTAINABLE BRAND」を掲げている。それでいてカラフルなコレクションや手に取りやすい価格帯が、海外のインフルエンサーから感心を集めているようですね。そこからさらにこのブランドのことが気になり、デザインも好きなので、今年に入ってから少しずつ買い足しています。
F:若年層をターゲットとしているからか、エッジの効いたデザインが、いいなと思いつつも年齢を重ねた大人には手が出せない印象なのですが…。
小林:分かります(笑)。なので私は大人が着てもかっこいいデザインを選びます。だからかブラックが多くなってしまうのですが。リュックやキャップは普段使いしていますが、このトップスは一見ちょっと難しいかなと思いつつ、でも着ると体のラインもきれいに出て素敵に着こなせます。
F:デザイン性はもちろんですが、そのサステナブルな取り組みを含めた、ブランド価値に共感を覚えます。
小林:そうなんですよね。今回、ディレクターの方のお話を聞いて、サステナブルが自分ごと化でき、買うことで応援になる、環境問題に自分自身も“貢献”できているという気持ちになれる。こういうことがこれからのブランディングに大事なんだと、改めて気付かされたブランドです。
F:本当の意味でのサステナブルを意識すると、これだけモノがあふれている社会ではモノを作らない、買わないことが1番のような気もしますが、でも生きていく上での楽しみ、高揚感も大事で、それはモノから得られることも多いですよね。
小林:高価、高価じゃないは関係なく、心が踊るアイテムを購入して長く愛用する。そういったバランスも大事なのではないでしょうか。
韓国発の靴下ブランド「MSMR」
F:そういう意味でも、この靴下は心踊るアイテムですね。
小林:今年、どハマりした靴下です。「MSMR」という韓国ブランドで、まだ韓国でしか購入できないらしいです。おしゃれな友人が、「次に韓国に行ったら絶対に訪ねたい!」と言っていたブランドで、私が先に行っちゃいました(笑)。めちゃくちゃ可愛くて、たくさん買ってきました。1足ごとにボックスに個包装されているので、ギフトにも最適です。
カラーバリエーションが豊富で、その色味が絶妙なんです。100種類ぐらいがお店にズラッと並んでいて心が踊りますよ。刺しゅうの付き方も可愛くないですか?ボックスもそうですが、1足につきステッカーも選べて、それも楽しいです。
F:確かにワンポイントのつき方がありそうでないですね。ショップはどこにあるのですか?
小林:梨泰院です。路面店ではなくビルの3階にあるので分かりにくいですが、ぜひ行ってみてほしいです。
F:靴下はよく履かれますか?
小林:はい、スニーカーが増えてから靴下をよく履きますし、靴下がなぜかとても好きです(笑)。そういえばまたルーズソックスが流行っていますよね。私もプチルーズな靴下を購入しちゃいました。厚手だからスニーカーに合わせやすくてお気に入りです。
F:韓国はプライベートだったのですか?ほかに何かお買い物しましたか?
小林:「ミニットミュート(minitmute)」のバッグを購入しました。ワンハンドルは初めてだったんですが、とっても使いやすくて。1年前に久しぶりに仕事で韓国に行ったら楽しくて。今回、プライベートでやっと行けて嬉しかったです。靴下やバッグの他には、やっぱり「オリーブヤング(OLIVE YOUNG)」(韓国初のヘルス&ビューティストア)で、パックやレチノール配合のビタミンCサプリなどなど、日本ではまだ販売されていないモノをたくさん購入しました。
「キュメック」と「ビー マイ フローラ」のサプリメント
F:サプリといえば、今回ベストバイで「キュメック(CUMEC)」を挙げていますね。
小林:今年はキュメックにハマりました。腸活をしようと思って行き着いたのではなく、キュメックを飲んだことで、腸活ってすごい!と思ったんです。生菌製剤のパイオニア企業である日東薬品工業HDグループの会社 Nosterが運営する、HYA™配合の機能性表示食品です。1日3回、食前に3粒ずつ飲みます。
HYA™-50は化学合成ではなく、天然の植物オイルから乳酸菌の発酵でつくられる「ナチュラル製法のサプリメント(植物由来の天然原料を微生物の発酵を用いてつくられる、ひと・環境にやさしい製品)」
元々便秘ではなくしっかり便が出る方なんですが、これを飲むと便が出るのはもちろん、なんだか体がスッキリするような気がします。実は1度、数ヶ月飲むのをやめたことがあったんですが、そうしたら少し太ったかも?と思って、慌てて再度購入して飲み続けています。
F:サプリではこの「ビー マイ フローラ(be my flora)」も挙げています。
小林:これは朝の空腹時に飲むのですが、お通じが良くなり、体がスッキリするんです。今年は本当に腸活にハマりました。
世界遺産にも登録されている、豊かなブラジルの土地で育った野生&有機の野菜や果物88種類をじっくり10年熟成させ、白砂糖や添加物を一切使用せずに完成させた酵素ペースト
F:食前に飲むの、忘れませんか?私は忘れちゃって、それで挫折することが多くて…。
小林:あまり無理せず、忘れたら忘れたで仕方ないと思っていて。でも、お通じが良くなり体がスッキリするという“実体験”から、ちゃんと飲もうと思って忘れることも少なくなるので、実感って大事ですよね。
F:その他、今年購入した化粧品でヒットアイテムはありますか?
小林:クリーナーですが、「江原道」のブラシクリーナーが秀逸でした。スポンジのクリーナーはいろいろあると思うのですが、ブラシ用のクリーナーはあまり見たことがなく。簡単にキレイに落ちるので、お気に入りのブラシを長く愛用できるようになりました。ブラシを洗うのが面倒な全人類にプレゼントしたい(笑)。
「サロモン」のスニーカー
F:最後は「サロモン(SALOMON)」のスニーカーです。先ほど、今年はスニーカーが増えて靴下を良く履いたとおっしゃってましたね。
小林:そうなんです。スニーカーも今年大活躍でした。このサロモンはシンプルでデザイン性は強くないですが、本当に歩きやすい。忙しくて運動する時間がなくても、スニーカーだったら会食の帰りに30分ぐらいは歩いて帰ったりもします。
オーセンティックなスニーカーも素敵なんですが、このサロモンは意外と人と被らないんですよ。本当に履きやすくて、なのでこの白いタイプを買い足しました。
F:会食でもスニーカーを履きますか?
小林:履くこともあります。やっぱり楽なのがいいですよね。
F:余談になりますが、20代の頃は5〜10センチヒールを平気で履いてませんでしたか?
小林:履いてました、しかも素足で。働く女性はみんな7センチ。そう言う風潮はありましたよね。
今はスニーカーが大好きなので、どうしても靴下にも目が行きます。先ほどの韓国ブランド MSMRも然り、今靴下マニアみたいな時期で、すごい数になってます(笑)。
F:小林さんのお買い物は、「健康」に向かっていますね。靴下で足元を温め、スニーカーで足に負担がなく、サプリで腸活をする。そしてゴルフにも夢中で。
小林:何気にプチ“運動部”(笑)。
今年を振り返って
F:今年もとてもお忙しい1年だったと思います。最後に、ベストバイを振り返り、今年はどんな1年だったと締め括れますか?
小林:こうやって振り返ってみると、今年は忙しい毎日であまりショッピングをしていないつもりでしたが、いろいろと買い物もしていたんだなと思いました(笑)。ただ好きなものが明確になり、失敗は無くなったかも、とこの取材のおかげで気づきました。
今年はメンズに向けた「美的HEN」や、小学館の漫画雑誌「ちゃお」と組んだ親子に美容を発信する「ちゃお美的」など、新たなターゲットに新しいプロジェクトを始動するなど、目まぐるしい毎日で本当にあっという間の1年でした。忙しさと、そして40代を目前に、体力的にも精神的にも気を遣うようになった1年で、それがお買い物にも反映されているのではないでしょうか。時間のない中でも、プチ運動したい、インナーケアもしたい、睡眠もしっかり取りたい、肌も労わりたい、リフレッシュでゴルフもしたい(笑)。全部を叶えたい。取材ではオンタイムの素敵アイテムをたくさん紹介しましたが、オフ時間を挙げるとするならば、リラックスできることに夢中で、ルルレモンを着てすっぴんで過ごすことが至福。2025年も自分自身が納得する、満たされるお買い物がしたい。そして緩急をつけ、好きなものに囲まれて心地よく過ごしていきたいですね。
◾️小林由佳
実用系出版社を経て、2015年に小学館に入社。広告局でデジタル担当として「美的」をはじめ、女性誌全般のデジタル広告セールスや、各媒体のウェブ戦略などのマネタイズに携わる。「美的.com」、「Precious.jp」などの媒体担当、2年間の美的編集部兼務を経て、2022年10月から現職。
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