11月に発表した「SHIBUYA109lab.メンズトレンド大賞2024」では、ランキングの発表と並行して、若年層男性の美容や身だしなみ動向に詳しいマンダムのギャッツビーチームと、コーディネートに悩む男性に向けたサービスを行うコーディメイト(東京)の皆さんとともに、ワークショップと5人の若年層男性にデプスインタビューを行い、24年の若年層男子の消費ムードを分析しました。
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心を整える
今年は男女問わず、若者にとって「ウェルビーイングを模索した年」。若年層男子は「精神的」「社会的」「身体的」の三つの観点でウェルビーイングを模索しており、これまで観測してきた意識実態から変化の兆しもみられます。
特に精神面では、今年は〝ととのう〟ルーティーンや〝オンオフ切り替え〟のための行動が特徴的でした。「睡眠の質を意識して睡眠記録をしたり、ルームフレグランスを購入した」「リフレッシュしたくて自然を浴びに行った」など、疲れを癒やしたり、自分の精神状態を整えるために行動しています。「オンオフの切り替えのために、(男磨きなどの自己啓発系動画を配信する)インフルエンサーのジョージさんの投稿を見ていた」という声もあり、リフレッシュして精神を整えつつ、パワフルなマインドを取り入れたいという意識も見て取れます。
一方、昨年公開した『男子白書2023』では、「令和のカッコイイ」には「男らしさは含まれない?」という結果を発表しています。ここ2~3年の若年層男性が捉えていた「カッコイイ」は比較的中性的な印象のものが多く、「落ち着いていること」が重視されていて、「男らしさ」などパワフルなワードへの優先度は低い様子が見られていました。
それが今年のインタビューでは「内面的な憧れる要素」として「芯がある」「リードする」「頼れる」などの力強いワードが頻発しており、精神的なパワフルさに意識が向いてきている傾向で、彼らの価値観に変化が見られます。
バランス感覚醸成
身だしなみ・美容行動におけるキーワードとしても、インタビューでは「自然」「肩ひじ張らない」といった言葉が頻出しており、周囲からも複雑に見えず、「無理していないように見えること」が若年層男子にとっての身体的ウェルビーイングであることがわかります。
若者にとって、「周りからどう見えるか」は引き続き重要な基準ですが、従来の調査では、興味はあっても恥ずかしくてメンズメイクに挑戦できないという男性が大半でしたが、今年は「女性の友人にメイクのやり方を相談している」「日常的にメイクをして投稿している」という声も聞かれるようになったことに驚きとうれしさを感じました。
以前よりも周りの目との付き合い方がうまくなり、周りの目と自分らしさを両立するバランス感覚が醸成され始めているのかもしれません。
彼らなりのウェルビーイングは、まだまだ模索期が続きそうですが、トレンドを通して消費とコミュニケーションを楽しみながら、少しずつ変化している彼らのマインドに今後も注目です。
長田麻衣(おさだ・まい) シブヤ109ラボ所長。総合マーケティング会社で、主に化粧品・食品・玩具メーカーの商品開発・ブランディング・ターゲット設定のための調査やPRサポートを経て現職。毎月200人の若者と接する毎日を過ごしている。好きなものは、うどん、カラオケ、ドライブ。
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