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繊研plusアパレル業界は物の価値をちゃんと伝えなくてはならない。カシミヤ紡績を手がける東洋紡糸工業の取材で、改めてそう思った。
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糸値はベビーカシミヤで1キログラム当たり5万円、一級カシミヤを使った定番糸で3万円ほど。高価だが、原料の希少性と品質の高さを裏付けるための見極め、良質な糸を安定供給するために多大な労力・コストをかけていることを知った。欧州のラグジュアリーブランドなどはその価値を認め、取引が続いている。
「カシミヤはもっと高くてもいいと思う」。原料担当者の言葉が印象に残った。過酷な環境でカシミヤヤギの健康に気を配りながら育てている人たちや、中国・モンゴル自治区とモンゴルに点在する産地へ時には千数百キロも車を走らせて買い付けに行く人たちがいること、身の危険が伴うこともあると知っているからだ。
カシミヤは極端な例かもしれない。とはいえ、どんな物作りだって様々な人が関わる。その長いプロセスで大変な苦労や創意工夫が積み重なってできあがった物は少なくないはず。
手が届きやすい価格で売る努力も必要かもしれないが、物の適正な価値をちゃんと伝え、理解させ、なるべく高く売る工夫ももっと考えていいと思う。
(嗣)
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