本社側の“思い込み”は時にお客のニーズとずれる
小売業の本社にとって大切な業務の一つが、売り場のサポートです。それに応えてくれる本社スタッフは多いものです。
ADVERTISING
しかし、具体的にアクションは、以前から決まっているオペレーション業務を淡々とこなすことにとどまっていないでしょうか。もしくは、売り上げを増やそうと、手当たり次第に良さそうな策に手をつけていないでしょうか。
積極性よりアドバイス
あるブランドは、売り上げの低迷に悩んでいました。「一番の要因は、接客への積極性がないことだ」と判断した本社は、ファーストアプローチをした人数を各店でカウントし、提出するように指示しました。しかし、施策を行ったのにもかかわらず、売り上げは増えるどころか、下がってしまいました。
なぜかと言うと、このブランドを利用するお客様たちは積極的な接客を求めていなかったからです。それよりも、フィッティングの際にサイズ選びに自信がなく、アドバイスを求めているお客様が多いのがわかりました。
もし、売り上げを増やすなら、お客様へ適切にアドバイスできるような研修や、店舗で勉強してもらうための資料の送付など、やるべきことがあったのです。
このブランドは、試着室の接客で求められるスキルを見直すことで、セット率や成約率を高めることができました。
売り手の〝正解〟より顧客視点
このように、本社側の〝思い込み〟で施策を行おうとすると、お客様のニーズとずれてしまうことがあります。本社スタッフはややもすると、「これをすれば売り上げ増が達成できる」と、業界に根付く〝売り手側の正解〟で対策を考えがちです。
しかし、顧客視点で考えられていない施策は、売り上げではなく、販売員たちの無駄な作業を増やし疲弊させてしまう危険性があります。
売り場で効率的かつ、結果を残してもらうために、本社スタッフこそお客様に興味を持ち、どのようなニーズがあるか日々意識を向けながら、顧客戦略を立てる必要があります。思いつきで接客強化の指示を出したり、2点買うと20%オフなど値引きをするフェアを打ち出すのではなく、顧客戦略に則って施策を進め、検証していくべきです。
お客様が何をしてもらいたいと思っているのか、もしくはお客様ですら気がついていない潜在ニーズはどのようなものがあるのかに敏感になることで、初めて売り場へのサポートは始まります。
仮説を立て、定期的に売り場を見たり、客層と近いお客様たちのSNS投稿を検索してみたり、本社スタッフもお客様との接点を作っていく必要があるのです。
ADVERTISING
PAST ARTICLES
【繊研plus】の過去記事
RANKING TOP 10
アクセスランキング
銀行やメディアとのもたれ合いが元凶? 鹿児島「山形屋」再生計画が苦境