フェス好きの一人として、自分が欲しい機能を盛り込んだという伊藤翔太さん
老舗かばんメーカーの水野鞄店は、音楽フェスに特化したブランド「アンダーザサン」を21年に始めた。OEM(相手先ブランドによる生産)が主力の同社にとって自社ブランドは挑戦だが、今年6月に販売した新作は、初回生産数750個が2カ月で完売した。音楽フェスに特化した作り込みと、SNSを駆使したファンとの交流が魅力を作っている。
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ブランドの立ち上げは21年夏、コロナ下でした。世の中は音楽フェスが次々に中止になり、音楽好きの私には、その状況を見ているのが辛かった。かばんという側面から、音楽のためにできることはないかと考えたのが始まりです。「フェスが再開するときに向けて頑張っているかばん屋がいる」と希望を感じてもらえるよう、コロナ下にできることをすると決めました。
初回はフェス好きの自分が欲しいもの・機能を盛り込んだリュック(税抜き2万2000円)を、応援購入サイト「マクアケ」で販売しました。例えば、私は夏フェスの炎天下で飲むビールが大好きなので、リュックの側面に350ミリリットル飲料が3本入る特大ポケットを撥水(はっすい)生地で作り、保冷剤専用のポケットを付けました。汚れた物を収納する底ポケットや、リュックを前に抱えた時にスマホが出し入れしやすいガジェット用ポケットもあります。
機能が多く収納力にも優れる一方、荷物が少ない時にもスマートに見えるよう、ポケット自体の収納やベルト仕様などにこだわりました。結果、想定以上の反応があり「フェスが再開したら使います」の声のほか、「仕事で使います」と日常利用にもつながりました。
商品ができる前に始めたX(旧ツイッター)の発信は大きかったと思います。ブランドメッセージ、商品作りのプロセスに加え、私生活や好きな音楽のことも更新しています。共感したフォロワーさんが購入後、宣伝もしてくれました。
ユーザーの方とのコミュニケーションも大事にしていて、期間限定店やフェスで今まで約50人と交流しました。欲しい機能を直接聞き、新作に反映しています。現在自社ECと期間限定店での販売が中心ですが、今後セレクトショップへの卸にも広げていきたいです。
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