Image by: 香港貿易発展局
今年でブランド創立から10周年を迎える香港出身デザイナー ロバート・ウン(Robert Wun)が手掛ける「ロバート ウン(Robert Wun)」が、ランウェイショーを故郷である香港で開催した。ショーの会場に選んだのは、香港故宮文化博物館。ブランド初の香港でのショーには、香港市内外から、多くの関係者やセレブリティが駆けつけた。
ロバート・ウンは、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、フリーランスとしての活動を経て2014年に「ロバート ウン」をスタート。2023年春夏のパリファッションウィークでは、香港人デザイナーとして初のオートクチュールコレクションに参加。自身初のランウェイショーを行った。2022年には、アンダム ファッション アワード(ANDAM fashion award)の特別賞を受賞。自身のコレクションに加え、映画「ハンガーゲーム(Hunger Games)」シリーズの衣装や、映画監督のウォン・カーウァイ(Wong Kar Wai)とのタッグによるキャンペーンムービーの制作、ビヨンセ(Beyoncé)やレディ・ガガ(Lady Gaga)、カーディ・B(Cardi B)といった著名アーティストの着用でも注目を集めている。
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今回のコレクションのテーマは「帰郷(Home Coming)」。香港では、共働きの文化から両親ではなく両祖父母が孫を育てることが慣習となっていること、またロバート自身も祖母に育てられたことを懐古し、自身の祖母をはじめ、香港で活躍する女性に焦点を当てて製作した。赤子を抱える母のようなスタイルは、幼少期の祖母の姿を重ね合わせたほか、複数のルックに採用したプリーツスカートは、同氏の母が着用していたサテン生地のベージュのスカートから着想を得たという。また、アーカイヴアイテムも多数登場。焼け焦げて破れたようなディテールのドレスや、血飛沫を思わせる赤をビーズであしらったドレス、傘の形を模したヘッドピースなど、同氏のアイコンとも言えるスタイルを多く取り入れた。
Image by: 香港貿易発展局
また、コレクションを照らした赤い照明にも、同氏の故郷に対する思いが込められた。香港の国旗にも用いられる赤は、そのまま街のイメージカラーにも及んでいる。時に危険信号としても作用する赤色だが、同氏にとっては「赤を見ると自分はここにいて良いんだ、という安心感が感じられる」と明かし、暗すぎず、また鮮明にもなりすぎない絶妙なバランスを意識したという。
ショーの後、ロバートは、故郷での初のランウェイショーについて、自身が初めてファッションに触れたきっかけである、幼少期に読んだファッション雑誌を例に挙げて説明。「母の美容室の待ち時間、暇つぶしのために手に取ったランウェイ雑誌に載っていたアレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)のルックに心を打たれました。当時10歳にも満たない私は、マックイーンの名がブランド名なのか、モデルの名前なのか、それともコレクション名なのか見当もつかなかった。それでも、今までずっと頭に残っているのは彼のクリエイションで、その記憶が原動力となっています」と話し、「今回のショーも、未来の誰かのクリエイションのきっかけとなっていれば、嬉しく思います」と締めくくった。
Image by: 香港貿易発展局
同コレクションは、香港のファッションイベント「センターステージ(CENTRESTAGE)」の一環として開催。会期中、ロバートはトークイベントにも参加し、ファッションデザイナーを志す若者やファッション関係者と交流した。
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