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異常気象と共に生きる私たちに必要なのはテクノロジーか、ファンタジーか【ハイドサイン/シンヤコヅカ】

IMAGE by: 左:HIDESIGN/右:FASHIONSNAP

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異常気象と共に生きる私たちに必要なのはテクノロジーか、ファンタジーか【ハイドサイン/シンヤコヅカ】

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ジャーナリスト
徳永啓太

 私は子どもの頃、夏が好きだった。しかし熱中症を経験してからというもの、危険な季節となってしまった。今年は7月5日から最高気温が35℃を超えて以降、猛暑日が約2ヶ月続いている。10年も付き合いのあるデザイナー山下陽光さんは「空調服手に入れたら、ファッションの興味0%まで落ちました」とポストするほど、暑さで殺されかけた好奇心が復活するという言葉には納得がいく。暑さは命の危険性だけでなく、私たちの営みを豊かにする好奇心さえ奪ってしまう。

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 「ファッションは我慢」というセンスはもう時代遅れで、私たちは地球の気候変動に随時適応しながら生きていかなければならない。人間が住みやすい環境に作り上げた文明に頼るのはもう限界で、これからは変化する環境に「人間」が適応することがファッションに必須要素。現在はその価値観の分岐路に立っているのかもしれない。

 まだまだ残暑が残るファッションウィーク初日。「ハイドサイン(HIDESIGN)」では、2100年までに現在よりも5℃以上気温が上がることと異常気象をもとに「快適」をどうデザインするかのプレゼンテーションが行われた。本ブランドが以前から提案している空調服はより低消費電力で効率よく空気を循環させるかパターンを進化させ、またギャザーを入れることで膨らむ箇所を設計し形状をデザインに落とし込んだ。

Imaged by HIDESIGN

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 四季折々がある日本だからこそ、寒暖、災害とあらゆる環境の変化に適応し、身体をプロテクトする服の技術が備わっているのだろう。これまでは企業の技術力をプレゼンしていたが、25年春夏から本格的に発売をスタートするそうだ。毎日の猛暑とゲリラ豪雨を体感した私たちとって、これからのラグジュアリーとは何か。ファッションが探求する美しさだけではもう限界である。

 ハイドサインが提案する機能性やデザインは、新しいプラットフォームである。軍服のMA-1は戦闘に必要な機能性に特化しているが、現在はファッションとして落とし込まれているように、ファッションアイテムの一つとして組み込まれ様々なデザイナーが同じ機能を駆使しながら新しい形状の提案ができる環境こそ、未来の在り方である。

HIDESIGN 2025年春夏

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 ハイドサインのプレゼンに感銘を受け、着飾るという意味での敗北を感じてしまったのだが、最後に拝見した「シンヤコヅカ(SHINYAKOZUKA)」は真逆のショーであった。

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 今シーズンで10年という節目に、これまで発表したコレクションの要素を至る所に散らしているようだった。メンズでは珍しいシースルーのオールインワンやスカート、シャネルルックを彷彿させるノーカラージャケットが男性の中の女性的な側面や弱さや繊細さを肯定してくれるよう。手描きのネコニット、絵の具を散らばせた無邪気なイラストや、カラフルな風船やクラフト感のある王冠、杖と男の子の好奇心をそそられる装飾。まるで絵本の中から出てきたような世界観。幼い頃に思い描いた混ざりけのない純粋な希望が詰まった夢をコレクションに投影しているように私は感じた。ファッションには夢があり希望がある。シンヤコヅカのショーは私が純粋な子供だった時間を思い出させてくれる。選曲はMr.Childrenの「1999年、夏、沖縄」. 過去に出会った夏の思い出を語りながら、平和や自由、国家や戦争などの言葉が耳を掠める。紛争に対して何もできない葛藤を抱きながら夏の終わりの悲哀を噛みしめているような歌詞は、紛争状態でありながら安全な国にいる現状とシンクロする。それでもファッションには希望があってほしいというデザイナーの希望を感じる。私はショー後すぐに去ってしまったのだが、同じライターの友人が花火が上がった写真をポストしており、偶然隣の球場でアイドルのライブが行われておりその演出だったというやりとりをした。ショーの終わりに花火が上がるという偶然さえも味方につける彼の魔法は観客の心を奪っていく。大人になっていつの間にか夏が苦手になって外を出ない私に、まだ夏が好きだった子供の頃を思い出させてくれた。大人になってもひと夏の思い出をそっと残してくれるシンヤコズカ。ファッションにはファンタジーが宿っていることを再認識。これでまた来年もこの季節でしか味わえない魔法に期待し猛暑を乗り切れそうだ。

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SHINYAKOZUKA2025年春夏

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