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ファッション業界に新たな未来を 新たな人材教育サービスが登場

ファッション業界に新たな未来を 新たな人材教育サービスが登場

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ファッション・ビューティー業界において様々な領域のサービスを提供するグループ、ワールド・モード・ホールディングスが、新たな教育サービス「 WORLD MODE ACADEMY(ワールド・モード・アカデミー)」を本格始動させた。ファッション業界全体の発展を見据えた教育サービスは、課題に合わせたプログラム構築や店頭スタッフの基礎力向上など、企業やブランドにとって本当に有効な教育を提供する。業界の未来を担う人材育成に向けた、同社の熱い想いとは。リサーチ&エデュケーション事業部のディレクターである綿引祐敏さんに、サービス誕生の背景や目指す未来像について伺う。

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綿引 祐敏さん/ワールド・モード・ホールディングス株式会社 リサーチ&エデュケーション事業部 ディレクター
広告会社、リサーチ会社、ジュエリー・アクセサリーブランドにてマーケティング部長、新規事業室室長としてマネジメント職を歴任する。ラグジュアリーに特化した外資系リサーチ会社などの経験を活かし、ワールド・モード・ホールディングスのリサーチ&エデュケーション事業部を統括。店舗のCSを調査するソリューションのSEEPおよび教育コンテンツの提供を行うWORLD MODE ACADEMYを主管。

教育のDNAを受け継ぎ、新たな挑戦へ

― 6月から本格始動させた「WORLD MODE ACADEMY」について、誕生の背景を教えてください。

当社の祖業である人材会社のiDA(アイ・ディ・エー)を創業した頃から、教育はDNAとして根づいていました。iDAの支店をオープンするとそこで必ず販売職の派遣スタッフの教育を浸透させてきました。

また、当社は多岐に渡る事業展開をしていますが、基幹となる人材事業はファッション領域に特化したサービスにより、業界における地位を確立しています。さらに昨年、双葉通信社がグループに加わり、AIADと合わせて業界のマーケティング領域でサービスの拡充を図りました。人材、マーケティングというふたつの大きな柱ができた今、次に必要なグループの使命は人的資本経営の根幹をなす人材の育成、キャリア形成を支える業界貢献であると考え、「WORLD MODE ACADEMY」が始動しました。

― 「WORLD MODE ACADEMY」が提供する教育サービスの特長はどのような点になりますか。

「WORLD MODE ACADEMY」は、クライアントの状況に応じた最適な教育ソリューションの提供を目指しています。

例えば、グループで教育事業を担う、トップセールスを走り続けた秋山恵倭子が率いるBRUSH(ブラッシュ)では、高度な知識や技術を求めるクライアントに対して、現場に深く入り込んだクオリティの高い人材育成と店舗コンサルティングを強みとしています。一方で、販売や接客の土台となる基礎教育を求めているクライアントも多く存在しているのも事実です。ファッションに関わるすべてのクライアントが同じ教育を求めているわけではありません。

そこで、「WORLD MODE ACADEMY」は教育の窓口的な役割から担い、お問い合わせいただいたクライアントの状況をしっかり見極めながら、包括的なソリューションを提供していきます。

「WORLD MODE ACADEMY」はこれまでワールド・モード・ホールディングスグループが培ってきた教育ノウハウや知見を結集したサービスである

個性を重視した独自の教育アプローチ

― ファッション業界の教育を担っていく上で、綿引さんが重要視している点は何でしょうか。

私たちが特に重視しているのは、個性に合わせたアプローチです。人それぞれ特性があり、得手不得手が異なります。だからこそ、単にコンテンツを提供して受講してもらうだけでなく、スキルがきちんと身につくようなフォローが必要です。その上、人によって目指すべき目標の姿も変わってきます。受講される方にとっては自分の特性を理解してスキルを学べる環境を用意し、私たちは受講される方の特性を活かしながら学びをフォローアップしていくことがベストな形です。今後サービスを展開していく上で、このようなフォローについてメソッド化していきたいと考えています。

― 現在はeラーニングを中心に、サービス提供されていますね。

実はeラーニングの導入は、あるラグジュアリーブランドからのご相談がきっかけでした。店頭人材が不足する中で従来のように新人教育の実施やフォローをすることは難しく、さらにベテラン社員と若手社員の間で、常識に対する感覚など世代間の基本的な考え方のギャップが存在するなど、ブランド教育以前のスタート地点に立っていただくための教育が必要という課題が浮き彫りになったのです。そこで、スタッフの足並みを揃えるため、学習コンテンツをeラーニングで提供させていただきました。

クライアントの状況に合わせることが教育の方向を決める前提にはなりますが、学習のひとつの方法としてeラーニングはかなり効果的です。そのため、基本を学べるプラットフォームを立ち上げ、そしてクライアントの要望に応えていきました。

― eラーニングの具体的な内容について教えていただけますか。

ファッションに関わる方々が身につけるべきスキルや店舗管理・運営に必要な知識、マネジメント関連のコンテンツを用意しています。それらにプラスして最近では、接客英会話のプログラムも提供しています。「海外のお客様とコミュニケーションをとれるようになりたい」という声を多くいただいているためです。内容としては、日本人にとっての英語への苦手意識を軽減することを軸としています。

具体的には、文法的に完璧な英語を話すことより、声の大きさや自信を持って話すこと、単語やフレーズでも伝えようとする姿勢の大切さとノウハウを学んでいただけるコンテンツとなっています。教材で使用する例文の内容も販売に特化することで、実際の店頭で役立つスキルとして提供しています。販売職の方々の自信を高め、より良い顧客体験につなげられるようサポートしています。

接客英会話の提供プログラムイメージ

重要な評価軸は、数字では測れない一人ひとりの力

― クライアントの状況に合わせたサービスを提供される中で、課題と感じていることはありますか?

教育サービスを提供する上で、私たちが最終的に目指しているのは、ブランド運営を支える販売職の地位向上です。ファッション業界において、販売職は非常に重要な役割を果たしているにもかかわらず、その評価が十分でない場合が多いのが現状です。では、なぜ評価が適正でないのか。その理由のひとつとして、評価側の現場やスタッフへの認識が十分でないことが挙げられます。

例えば、評価の仕方としてわかりやすいのは「数字として表れる」ことです。しかし、店頭でのパフォーマンスが高いスタッフのすべてを数値化することはできません。評価する側に数値以外の観点・知見がないと、スタッフを適切に評価することは難しいでしょう。評価を受ける側だけでなく、評価する側の知識やマインドの変化が大事なポイントになります。教育の領域を担う上で、今後、このような評価課題への対応も必要だと考えています。

― 評価にはさまざまな要素が含まれますが、綿引さんが評価をする上で大事だと思う要素はなんでしょうか。

一人ひとりの能力をしっかり見ていけるかどうかだと思います。売上だけが評価の対象だと立地など外部要因も大きく影響します。数字だけでなく、現場にいる一人ひとりと向き合ってプロセスから観察し、その上で結果を出したら成績に反映する。数字だけでは拾えない、普段のコミュニケーションが重要だと思います。

販売職はハードな職業ですが、多くの方が、お客様との一期一会や特別な顧客体験を提供できることを魅力に感じ、販売の仕事をされています。このように販売員の一人ひとりが、お客様の感動するサービスを提供することで、結果としてブランドのビジネス向上につながっていくのだと考えています。

リサーチ&エデュケーション事業部に所属するメンバーは、店長職を含めた豊富な店舗経験者であり、接客販売の現場を熟知している。

― CS改善クラウドサービスである「SEEP(シープ)」による顧客満足度調査も提供されていますが、クライアントに合わせた教育サービスを提供する上でも活用できそうですね。

ファッション・コスメやライフスタイルなどのリアル店舗を対象とした顧客満足度調査は、ブランド力向上のために活用していただくサービスです。そのため、調査結果の報告会には本部の方だけではなく可能な限り店長やCS担当スタッフにも参加してもらい、第三者と意見を交換して調査結果を自分ごととして捉えていただきます。そして調査をもとに、店舗の状況や課題を把握・抽出することで、スタッフの育成につなげることも可能です。

この考えはアカデミーにも通じています。ただ教育コンテンツを提供するのではなく、教育を軸にしつつ、ファッションビジネスを支えることが目的であり、そのための包括的なサービスを提供していきたいと考えています。

ファッション業界の教育のハブとなり、業界に貢献

― 今後の「WORLD MODE ACADEMY」の展望についてお聞かせください。

現在、日本にはファッションをつくる技術やデザイン・マーケティングに関する教育機関はありますが、ビジネスとしてファッションを包括的に学べる場所が不足しています。

​​例えば、ファッションブランドの大型店舗の店長は、年間何百億という売上を管理し、100人以上もの従業員を束ねる重要な立場にあります。これは一般の中小企業の社長と同じくらいの大きな責任を負っているとも言えます。そのため、相応のビジネススキルが必要になると思います。

将来的な大きな目標として、不足している分野にまで視野を広げて、日本初のファッションビジネスに関する専門機関として、コンテンツを提供していきたいと考えています。

― 最後に、「WORLD MODE ACADEMY」に込めた想いをお伺いできますか。

ファッション業界で働く方々が、スキルを磨くための場にしていきたいと考えています。特に販売員の皆様は、お客様との出会いを通じて、素晴らしい体験を提供しています。その魅力や奥深さをもっと多くの人に知ってもらいたい。そして、その仕事の価値をもっと高めていきたい。それが私たちの原動力です。

また、ファッション業界には専門的な知識やスキルを持つ方々がたくさんいます。「WORLD MODE ACADEMY」がハブとなって、その知識やスキルを繋いでゆくような役割を果たしていきたいと思っています。

ファッションビジネスを行っている企業にとって、教育はすぐには利益に結びつかないかもしれません。しかし長期的に見れば、業界全体の発展につながる重要な投資だと信じています。「WORLD MODE ACADEMY」を通じて、ファッション業界の未来を担う人材を育成し、業界全体の発展に貢献していきたいと考えています。

文:金井 みほ
撮影:船場 拓真

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