資生堂が、2024年12月期第2四半期(2024年1~6月)の連結業績を発表した。売上高が前年同期比2.9%増の5085億円、コア営業利益が同31.3%減の192億円、営業利益が27億円の赤字(前年同期は136億円の黒字)、親会社の所有者に帰属する中間利益(純利益)が同99.9%減の1500万円となり増収減益だった。日本事業は「SHISEIDO」「クレ・ド・ポー ボーテ(Clé de Peau Beauté)」などがけん引し好調だった一方で、中国、トラベルリテール、米州で苦戦。また、非計上項目として資生堂ジャパンでの早期退職プランに係る構造改革費を計上したことが影響した。今期の構造改革費は同プランの費用も含め、203億円(前年同期は51億円)を計上している。
事業別では日本事業がSHISEIDO、クレ・ド・ポー ボーテ、「エリクシール(ELIXIR)」がけん引。「ファンデ美容液」と題したブランド横断でのプロモーションも奏功した。Eコマースも上半期を通じて前年比20%台後半で成長するなど、コアブランドを中心に力強い成長を見せた。売上高は同13.1%増の1415億円(為替の影響を含め実質13.3%増)、コア営業利益は79億円の黒字に転換(前年同期は36億円の赤字)だった。インバウンド需要は好調に推移しているものの、売上を担う中国客の回復の遅れが目立った。
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中国事業は、売上高が同0.8%増(実質6.6%減)の1316億円を計上。EC商戦の「618」ではクレ・ド・ポー ボーテや「ナーズ(NARS)」で市場を超える成長を見せたものの、値引きの価格競争の激化が顕著となった。ハイプレステージは堅調継続だが、市場全体での節約志向や貯蓄性向の高まりが継続し、処理水放出問題の影響も残り、SHISEIDOが苦戦した。
アジアパシフィック事業では台湾を除く主要な国と地域で伸長。SHISEIDOや「アネッサ(ANESSA)」、店舗拡大とともに積極的なマーケティング投資を行う「ドランク エレファント(DRUNK ELEPHANT)」が力強く成長し、売上高は同12.3%増(実質5.9%増)の344億円となった。また、欧州事業はSHISEIDOが着実に伸長したほか、「ナルシソ ロドリゲス(narciso rodriguez)」がフレグランスの好調をけん引。売上高が同19.5%増(実質11.8%増)の628億円に成長した。
米州事業はSHISEIDOとナルシソ ロドリゲスが増収だったものの、ナーズやドランク エレファントで一時的な生産減により出荷が減少。売上高は同8.4%増(実質5.4%減)の572億円だった。また、トラベルリテール事業は訪日外国人旅行者数がコロナ禍前(2019年)を上回る水準まで回復したことを受け、日本において回復した一方で、中国海南島・韓国での消費の落ち込みの影響で振るわず、売上高は同13.7%減(実質22.7%減)の668億円にとどまった。
下期は足元の状況は厳しいとしながらも、通期予想は据え置き、売上高は前期比2.8%増の1兆円、コア営業利益は同38.%増の550億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同1.1%増の220億円を見込む。課題の中国事業では売上構成比が高いSHISEIDOで、日本で売上を支えた「エッセンス スキングロウ ファンデーション」を発売予定。エイジングスキンケアライン「バイタルパーフェクション」やブランド最高峰シリーズ「フューチャーソリューション LX」のリニューアルなど、ヒーロープロダクトへの積極投資およびマーケティング施策を強化する。日本市場ではコアブランド・ヒーロープロダクトへの投資強化を継続。「ファンデ美容液」はキャンペーンを継続し、市場の確立および規模拡大を狙う。好調なEコマースにも投資を強化し、ブランド展開を拡大する。インバウンドに対しては、7月にツーリストマーケティングチームを発足。旅行者を新たな生活者として捉え、特有の消費行動を分析し、体験価値の提供、ブランド・商品の認知度向上、インバウンド売上拡大を目指す。そのほか、戦略的M&Aやデジタル投資の強化、インド・中東といった新興市場への展開強化を視野に入れる。
11月には、新たな経営戦略を発表予定。中国事業において安定的な収益創出ができる構造および組織体制の構築を目指し、日本事業ではビジネストランスフォーメーションのさらなる進化、継続的な生産性の向上に着手するほか、全社を挙げてのブランドポートフォリオの再構築とブランドの選択と集中などに取り組み、事業構造改革を加速させる考えだ。
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