スーツ専門店のAOKIでは顧客体験の向上を目的としたOMO施策を推進する中で、実店舗とウェブの連携強化を図っている。とりわけ、顧客の買い物支援の一つとして展開している「ウェブチャットスタイリングサービス」は、社内のリソースを効率的に活用した人の手によるリアルな接客サービスとして機能。昨年からは試験的な取り組みも始まっている。
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同サービスは2021年11月に始まったもので、顧客の買い物中のちょっとした悩みに、AOKIの販売員がチャットで回答するという。
商品に関する質問や、用途や体型・好みに合わせたスタイリング提案・手持ちのアイテムとのコーディネート相談などに対応。商品情報やコーディネートなどを事前にチャットで相談して、実店舗で購入する際に、改めて販売員に相談することでより納得して購入できるセカンドオピニオンとしての要素もあるという。
利用に当たっては、個人情報の登録が不要なため気軽に利用でき、基本的には一問一答形式でのコミュニケーションで必要な情報を簡単に得ることができる。特にフレッシャーズなど初めてのスーツ購入前に利用されることが多いとする。
チャット対応には販売員が当たっているが、実店舗での接客とは違った難しさがあり、そのひとつが対面しながらの会話ではないため、体型やサイズの目星がつけられないことや、普段の好みのスタイリングを直接ヒアリングできないことなどがあるという。
しかしながら、AIによる自動応答ではなく、有人だからこそできるきめ細やかな悩み相談対応として、支持を得ているようだ。
この施策に関しては、昨年から新たなテストが始まっている。同社によると、チャットは午前11時~午後22時まで稼働しているが、基本的には多くの実店舗の営業が終わる午後20時前後からの時間帯で利用が多くなるという。
そこで、かねてから進めている「女性の活躍推進施策」も交えた内容として、日中にフルタイムでは働けない女性社員が担当する取り組みを試験的に開始した。
本来であれば、フルタイム勤務は8時間の勤務時間が必要となるが、産休・育休などから復帰した女性社員の場合、子供の送り迎えなどで夕方までの6時間程度しか働けないケースも少なくない。
そのため、不足となる残りの2時間分については、帰宅後に子供の送迎が終わって隙間時間ができるであろう午後20時~同22時までに、自宅のPCを使って同サービスでのチャット対応勤務に切り替えてもらうというもの。「夜に(対応できる)人が足りなくて、どうしたらよいかとなった時に、そこで活躍ができれば(産休・育休明けの女性社員が)フルタイムで働くことができる」(同社)としている。
現状、数名の女性社員で試験的に導入しており、基本的に日中は店長や副店長などマネジメント職に就いているキャリアを持ったメンバーで構成されている。「チャット業務だけではなく、日中は店舗で商品を触っているので、今の商品のトレンドであったり素材感など最新情報を踏まえた説明ができる」(同社)とした。
チャットで商品を紹介する際にはECでの商品ページのURLを添付して回答するため、応対後にECから購入される場合も少なくないという。
「ネットでも実店舗でも買いやすい方で購入してもらえれば」(同)とし、リアルとネットの双方に送客効果がある仕組みと見ている。
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