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職人とデジタルの橋渡しとなる存在に、日本工芸の代表に聞く工芸品とDXの未来

職人とデジタルの橋渡しとなる存在に、日本工芸の代表に聞く工芸品とDXの未来

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近年、エシカルな消費やサステナビリティへの関心が高まる中、注目を集めているのが日本の工芸品だ。大量生産・大量消費とは異なる、本当に良いものを長く愛用したいという価値観が広がりつつある。一方で工芸品の業界は、職人の高齢化や後継者不足、販路の縮小といった課題を抱えている。また、デジタル化の波に乗り遅れているという声も聞く。こうした現状を打破し、工芸品の魅力を世界に発信しようと挑戦を続けるのが、日本工芸株式会社だ。同社は、単なるECサイトの運営にとどまらず、職人との信頼関係を重視し、商品の販売を中心に、商品企画や販促支援までサポートする体制を築いている。今回は、代表取締役の松澤斉之さんに、工芸品とDXの未来について伺った。

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松澤 斉之さん/日本工芸株式会社・代表取締役
大学卒業後、ヤオハンジャパンを経て、株式会社ビジネス・ブレークスルーの起業家育成事業の立ち上げに参画、企業内アントレプレナー育成事業を立ち上げる。その後、新規事業開発支援のコンサルティング会社を設立し、NECや東京電力などの新規事業支援を行う。2012年、アマゾンジャパン合同会社に入社。ホームカテゴリーのシニアバイイングマネージャーとして、工芸品を含む400万点以上の商品調達を担当。2016年、日本工芸株式会社を設立。

値段のみで価値が決まる世界に疑問を抱き、工芸の世界へ

ー はじめに、事業内容について教えてください。

工芸品のEC販売がメイン事業です。日本各地の職人さんの元へおもむき、可能な限り直接話を伺って仕入れをしています。他にも、法人向けに周年記念品・オリジナル製品のプロデュース事業、Amazonでの販売やSNS販売などの販促支援事業を行っています。

ー 松澤さんが工芸品の世界に足を踏み入れたきっかけは何だったのでしょうか。

私はアマゾンジャパンで、ホームカテゴリー(家具や雑貨などの家の中にある電源を使わない商品)のバイヤーを担当していました。3年で担当する商品数を10万点から100万点に増やすという目標を掲げ、全国各地のメーカーを飛びまわる日々を送っていました。

その中で出会ったのが工芸品です。正直なところ、当初は工芸品に対して特別な思い入れはありませんでした。しかし、実際に産地を訪れて職人たちの話を聞くうちに、その奥深さに惹かれていったんです。江戸時代からある技法や実際に大名が使っていたという話を聞いておもしろいと思った記憶がありますね。

ー なぜ工芸品にフォーカスして事業をしようと考えたのでしょうか。

「工芸品の価値を、値段だけで判断されるのはおかしい」という問題意識が芽生えたからです。

ホームカテゴリーの市場は、リーズナブルな値段で購入できる輸入品や量産が可能な大手雑貨メーカーの商品が占めています。特にアマゾンでは価格で商品の順番を入れ替えることができるプラットフォームのため、お客様は商品の良し悪しを価格で想像してしまう。

しかし、商品の価値は値段だけではありません。例えば、3,000円のコップがあるとしましょう。値段だけみると高価かもしれませんが、そのコップができあがる背景には、昔ながらの素晴らしい技術や試行錯誤された工程があるわけです。そういった背景も含めて付加価値として語れるようなデジタルの場を実現したいと考えました。

全国の工芸品の良さをどのようお客様にお伝えするかを綿密に打ち合わせる

信頼関係づくりの第一歩は、商品を売ること

ー 日本の工芸品に長く携わってきた松澤さんからみて、工芸品における課題をどう考えていますか。

作り手の高齢化が進んでいること、それにもかかわらず事業継承が困難であることが課題として挙げられます。ただ、これらは局面的な課題であり、根本の課題は商品の売り上げが減少傾向にあることです。一例として伺ったお話しとして、上京して就職した子どもの方が自社の売上より多くの給与もらっているという状況です。これでは自社には呼び戻せないのも仕方ないと言われていました。

また、デジタル化への対応が遅れていることも否めません。新型コロナウイルスの影響でデジタルを活用する兆しはみえてきましたが、商品や職人さんの技術の価値を十分に伝えきれていない状況です。価値を伝え、しっかりと集客していくためにも、デジタル化をさらに進めていく必要があります。

― そうした課題を解決するために、どのような取り組みを行っているのでしょうか。

私たちはECサイト運営だけでなく販促支援も請け負っていますが、前提としてメーカーとの厚い信頼関係を重視しています。職人さんたちは、自分の作品に強いこだわりと愛情を持っています。だからこそ彼らの想いに寄り添い、共に歩むパートナーでありたい。そして、信頼を築く第一歩は彼らが愛情を持って作った商品をしっかりと流通させること、”売る”ことです。

信頼してもらうためには、創業から少なくとも5年は必要だと思っていました。職人さんやメーカーから「この会社は本当に自分たちの商品を売ってくれるな」と信頼をいただくことがとても大切だと考えています。。だからこそ、流通に関してはしっかりと時間をかけて注力しました。

あとは、デジタルとリアルの濃淡が大事ですね。事務的な連絡はチャットやメールなどのITツールを活用しますが、ご挨拶や商談は可能な限り現地へ赴きます。そして、一緒にお酒を飲む。そういった小さな積み重ねを、みなさんよく覚えていらっしゃるんですよね。結果的に、アマゾンや楽天のECサイトやインスタ運用といったデジタルな商品販売にも意欲的に取り組んでいただけるようになります。

大分県別府市の竹細工職人と松澤さん

デジタル活用に向けて、橋渡しとなる存在に

― デジタル化への対応が必要とはいえ、人間の感情部分を無視しては成立しえないと感じました。一気にシフトするのではなく、順序立てて変えていくものかもしれないですね。

そうですね、工芸の職人の中には、デジタル技術に対して抵抗感を持つ方も少なくありません。だからこそ、その橋渡しを行う会社が必要だと思います。デジタルの世界に精通している人は「なぜこんな便利なものを使わないのか分からない」となりますし、工芸の世界の人は、「よく分からないツールなんか使いたくない」となってしまいますから。

重要なのは、デジタル化が目的ではなく、伝統工芸の魅力をより効果的に伝えるために、デジタル技術をどのように活用していくかを職人たちと共に考えていくことです。

ー 2016年からスタートして8期が経ちましたが、メーカーさんからはどんなお声が届いていますか。

ありがたいことに、私たちの活動を評価してくださるお声が多いです。先日お取引のあるメーカーさん、職人さんに、当社のポリシーや事業、スタッフの活動などを記載したメルマガを配信しました。

すると、当社のECサイトの売り上げの1%を産地振興や職人の育成のために寄付する「1% for 日本の工芸育成」プロジェクトについて大変ご好評をいただきました。「こんなすごいプロジェクトを行っていること知らなかったです」「応援しています、一緒に頑張っていきましょう」といったお声が届きました。少しずつではありますが、成果は出ていると思います。

世界中にファンをつくり、 日本の工芸品を未来へ繋げる

― 今後の展望についてお聞かせください。

日本の工芸品の魅力をより多くの人に知ってもらい、その価値を未来へと繋いでいきたいと考えています。そのためには、新しいファンをつくる仕組みが大切です。私も最初は工芸のことを何も知りませんでした。例えば、「お酒を飲む」という行為はその機能面以外の意味はないとさえ思っていました。しかし今なら、丹精込めて作られた器に変えるとお酒を飲む時間をさらに豊かなものにできると知っています。私のように、日本の工芸品に関心を持つ人が増えることで、工芸品の流通も盛んになるのではないでしょうか。だから新しいファンづくりこそが、当社の存在意義ではないかと考えています。「工芸体験の新しい接点をつくる」というのが当社ビジョンです。

今後は、工芸品について理解を深めるための学びの場を増やしていきたいですね。使うだけでなく、触ったり、職人と交流できる機会をつくり、工芸品との接点を増やすんです。接点が増えると使う喜びも増し、工芸品に関心をもつお客様が増えます。そういうお客様を増やしていくことは私たちの役割のひとつだと思います。

そして、最終的には海外のお客様のファンを増やしていきたいです。とある職人は世界中からオーダーが入っていて、1年待ちになっています。工芸品に興味をもつファンを世界に広げ、日本の工芸品が予約でいっぱいになっている状態をつくっていきたいですね。

― 最後に、松澤さんご自身のビジョンについてお聞かせください。

私の夢は、「全国の工芸産地を巡り、そこで出会った仲間たちと、美味しいお酒を飲む」ことです(笑) 。冗談のように聞こえるかもしれませんが、本気でそう思っています。美味しいお酒と、素晴らしい工芸品、そして気の合う仲間がいれば、それだけで人生は豊かになります。私はこれからも伝統工芸の世界に関わる人々と、共に喜びを分かち合いながら、この業界を盛り上げていきたいと思っています。

文:金井 みほ

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