学生の多くは授業で環境問題を学んでおり、サステイナブルに対する意識が高い。授業がきっかけで環境・人権面に問題意識を持ち、ファッション系サークルや学生団体で課題解決に向けて活動する学生もいる。学生たちは、大量生産・大量廃棄を減らし、信頼できる商品情報を得られる仕組みを望んでいる。
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解決されず悔しい
アンケートの「ファッション業界も環境に配慮すべきだと思うか」の設問に「強くそう思う」「どちらかと言えばそう思う」と答えた学生は約86%いた。
「ファッション業界で問題だと思うこと」は「大量生産・大量廃棄」が最も多く33件だった。次いで「労働環境などの人権問題」(27件)、「トレンドの短サイクル化による廃棄衣料の増加」(19件)だった。
立教大学の斉藤いおりさんは「何年も前からファッション業界の環境問題は注目されていたにもかかわらず、いまだに解決されていないのが本当に悔しい」とし、「格安ECサイトを利用する人が多く、服が消耗品のような扱いになっている」点を指摘し、「今一度、現在のファッション業界が抱える環境問題について考え直す必要がある」と強調する。
国際基督教大学の坂本亮さんは「フランスなど欧州では法規制も強化され企業の意識も高いが、日本はまだまだ進んでおらず、企業の自主的な取り組みにとどまっており、さらなる進展とグリーンウォッシュへの対策が必要」と考える。
「リサイクルを盛んにすべき」「企業内で完結できる循環システムが必要」「大量生産をやめる」「廃棄する梱包(こんぽう)材やハンガーなどを減らす」といった具体的な対策案も出た。
選ぶ権利と使う責任
「環境問題の責任は消費する側にもある」と考え、商品を選ぶ際の透明性や信用性を求める学生も多かった。「ファッションブランドが環境に貢献していると主張していても実際それが本当なのか分からないし、信頼性のある情報の見分け方も理解できていない」「グリーンウォッシュのように、最近は少しやってるだけで大胆に取り上げられており、消費者は本当のことが分からないまま購入している」など、情報の信用性に懐疑的だ。
企業は判断材料の提供や正確な情報発信が求められていることが分かる。生産背景を分かりやすく伝えるほか、国際認証の取得やトレーサビリティー(履歴管理)の整備など、透明性の裏付けがますます必要となる。
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