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繊研plusあるメンズ専門店で、30年近く店頭に立ち続けている販売員に取材した。大学卒業後、最初は銀行で働いた。就職氷河期に頑張って勝ち取った就職先だったが、働き始めると「なんだかしっくりこない」。やる気がないわけではないのに、仕事に身が入らない日々が続いた。
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気分転換は休日に好きな服を買うことだった。ある週末、買い物で訪れた専門店で、店員たちが「めちゃめちゃ楽しそうに働いていた」。その様子が頭に張り付いて離れなかった。レジ横にスタッフ募集の張り紙があったのを見つけると、両親にも相談せず、すぐに応募した。
面接で履歴書を見た店長に「ウチは給料安いけどそれでも良いか」と聞かれたが、構わなかった。数カ月で銀行を辞めて、その店に転職した。
勤務した店舗は地方にあったが、数年後には店長を任された。その後、本社のある東京の店舗に異動し、現在に至るまでずっとその店で販売員をやっている。銀行勤務が続かなかったのは「何をやりたいかではなく、就職することが目標になっていたから」と振り返る。
置かれた場所で咲きなさいという言い方が一時、はやった。どんな場所にいようと、そこで自分にできる努力をせよ、という意味だが、一生飽きずに精進できる仕事を見つけたいなら、咲きたい場所を探す努力もしたほうが良いかもしれない。
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