MLB唯一の公式選手用キャップサプライヤーである「ニューエラ」。ヘッドウェアブランドとして広く認知される一方、最近ではファッションブランドやキャラクターとのコラボなどでも話題を集めており、そのユニークな取り組みの大半は国内で企画されたものだという。サービスを主軸に進化を続ける「ニューエラ」のリテールビジネスについて、そのロジカルな分析に基づいた戦略と求める人材について聞いた。
ADVERTISING
全店舗が2桁成長するカギ「ニューエラスタンダード」
ー まずは現在の「ニューエラ」のリテールビジネスの状況について教えてください。
現在、「ニューエラ」は、全国に13店舗の直営店があり、売り上げは右肩上がりで成長を続けています。定番のヘッドウェアに加え、バックやアパレル、アクセサリーなどのカテゴリーも大きく成長しています。多くの方から認知されるようになったという調査結果も出ています。
ー すばらしい成長ですね。要因はどのようにお考えですか。
最も大きな要因は「ニューエラ」が店舗運営におけるさまざまな課題に対して「科学的・ロジカルな」アプローチを行っていることです。専門家によるデータの分析を元に、具体的な戦術を立てて目標に向かって行動していきます。スタッフの評価やトレーニングなども「ニューエラスタンダード」という基準があり、その基準と一貫性を持つ形で制度設計されています。
具体例として売上でご説明しますと、単に数字を達成したかどうかだけで判断することはせず、その理由がどこにあるのかを分析します。インバウンド増加が理由であれば外部要因ですし、店舗の売り場づくりやサービスなど店舗内の行動に起因するものであれば内部要因です。「ニューエラ」はこの内部要因を重要視し貢献度を測っています。
目指すのはハイトラフィック・ハイサービスの両立
ー 他にも評価のためにしていることはありますか。
先日導入したのは、店舗内の設置カメラ数を増やして事実に基づいた指導を行う取り組みです。ポジションごとにスタッフの動きを決めていても、実際にどう動いたかをきちんと確認している企業は少ないですよね。カメラを設置すれば実際のスタッフの動きを客観的に見ることができ、感覚ではなく客観的なデータや数値に基づいてフィードバックをすることができます。
ー 指導する側も、される側もスキルが向上しそうです。
また「ニューエラ」はアウトレットストアを除いて、一切ディスカウントを行いません。あくまで、ブランドが設定した金額にふさわしい価値を提供できていると考えているからです。しかし、それで在庫が積みあがってしまってはビジネスになりませんので、評価の1つに「フルプライス消化率」を挙げています。売上を達成しても、フルプライス消化率が悪かったら良い評価はされません。これは売上だけではなく、店舗体験も同レベルの評価指標としていることも同様です。様々な視点から本質的な評価を追求することは大事だと思いますね。
ー 「ニューエラ」が目指す文化についても教えてください。
「ニューエラ」はハイトラフィック・ハイサービスが両立するブランドを目指しています。利益を上げていくことだけでなく「サービスで想起されるブランドになる」という目標も掲げているのです。「スターバックス」が人気なのはコーヒーがおいしいからだけではなく、居心地や接客の良さも含めたブランドのイメージを確立しているからですよね。「ニューエラ」も同様に、そのサービスに価値を感じていただける店舗になるべく日々改善を続けています。
そのために重要なことの1つが、直営店でのお客様との接点です。これを強化するために、店舗やハイパフォーマーの頑張りがきちんと評価されて給与や役職にも反映され、さらに活躍できるような制度にしています。
人材とブランドが高め合うことで相互成長していきたい
ー 「ニューエラ」はどのような人材を求めていますか。
「ニューエラ」はヘッドウェアにおいて世界一の企業で、各エリアのマーケットに合わせてビジネスをつくっていく会社です。もちろん成果は求められますが、率直に言うと物事を決める自由度はかなりあります。それは逆に言えば、本当にイチからすべて自分たちでやらなくてはいけないということです。
ですので、自分から能動的に行動する人、成果を出すための工夫や努力を楽しめる人は「ニューエラ」で活躍しやすいでしょう。また会社のサイズも日々変化しておりますので、変化に柔軟に対応できるかどうかも大きなポイントだと思います。
ー 「ニューエラ」では「販売員」と呼ばず「ストアスタッフ」と呼んでいますね。
「ニューエラ」がスタッフを「販売員」と呼ばないのは、販売も含めた「店舗運営のプロ」であるべきと考えているからです。接客に限らず、売り場づくり、販促、集客施策、在庫管理などが高いレベルで実行できれば、自然とスキルも経験も上がってその人の市場価値が上がるでしょう。
そうなれば「ニューエラ」も市場価値の高い人材に選ばれる会社として必然的にレベルアップしていき、互いに成長が促されます。優秀な人材が「ニューエラ」を「選んで」働いていることに価値があると思います。
成功体験を積み重ねていけば日々は充実し、良いサイクルに入っていくと考えています。本当の意味でのチームマネジメントとは、例えると車の排気量を増やすようにスタッフのスキル・能力とエネルギーを上げていくことです。そのため制度設計をとても大切に考えています。
ー アパレル未経験でも応募はできるのでしょうか。
現在異業種で働かれている方も大歓迎です。お話したようにサービスにフォーカスしているブランドですので、そのマインドセットを持っている人に来てほしいと考えています。例えば「ディズニーランド」、「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」などエンターテイメント系の業種の経験者の方にはお客様を中心においたサービスマインドがあるでしょう。販売テクニックは後からいくらでも身に付けることができます。環境は能力以上に大事ですので、未経験でもいい環境にいれば輝く人はたくさんいます。
ー 商材そのものよりも、環境に魅力を感じる方に来ていただきたいのですね。
もちろん「アパレルが好き」はアドバンテージですし、「ニューエラが好き」と言ってもらうのは嬉しいことです。しかし例えば「NIKE」でも、好きなのはデザインなのか、機能性なのか、使用するフィーリングなのかは人によって違います。各スタッフは多種多様なお客様のもつ異なる価値観に合わせてさまざまな「ニューエラ」を提案できる柔軟性が必要になります。
実際に「ニューエラ」は、実はストリート系ど真ん中のようなユーザーの割合は大きく減っており、女性ユーザーの比率も近年急激に増えています。「ニューエラ=ストリート系」という先入観を外してチャレンジしてほしいです。
ー 待遇や研修について教えてください。
アパレルの中では年収水準も高い方です。2024年度もストアスタッフの給与水準を見直し、さらに報酬レベルが上がりました。福利厚生に関して特徴的なのは、着用アイテムについて1ヶ月目から無償貸与していることです。他にも給料以外に確定拠出年金の制度や、スポーツの会社なので健康を維持する目的で、スタッフのスポーツジムの費用を会社が負担しています。研修についてはトレーニングのスペシャリストが設計し、実際に使用するのと同じレジ端末を使ったレジトレーニングやランナートレーニングを徹底的に行います。現実の接客シーンを想定した複数接客のトレーニングプログラムもあります。
ー 今後、リテールビジネスをどのように展開されていきますか。
「ニューエラ」はトップブランドに匹敵するブランドアセットを持っており、もっと高みにいけると信じています。店舗でのキャップケアマシンやヒートシーラー(ワッペン)の取り組みなどは、「ニューエラ」だけの特別な顧客体験です。リテールビジネスはブランドビジネスの根幹だと考えていますので、リテールを素晴らしい顧客体験ができる場所にすることにこだわって設計、実行していきたいです。
ー 最後に、「ニューエラ」で働くことに興味を持つ方にメッセージをお願いします。
合う・合わないははっきりしているかもしれませんが、サービスレベルが毎年のように上がっていくので伸びる人はどんどん伸びていきます。成長すれば評価もきちんとされるので、報酬やポジションが上がっていくことを楽しいと感じているスタッフも多いです。自分で行動していく人、変えていく実務家のような人にとっては魅力的な職場だと思います。ぜひそういう方にチームに加わっていただきたいですね。
文:吉田櫻子
ADVERTISING
PAST ARTICLES
【NESTBOWL】の過去記事
RANKING TOP 10
アクセスランキング
銀行やメディアとのもたれ合いが元凶? 鹿児島「山形屋」再生計画が苦境