英NGO(非政府組織)アースサイトは「ファッションクライム」リポートを公表し、綿花輸出世界一を目指すブラジルで違法開拓地で栽培された綿がベターコットン(BC)の認証を得て、主にインディテックスやH&Mのデニムに使用されていると報告した。同NGOは認証取得基準の欠陥と、企業によるトレーサビリティー(履歴管理)の監督不足を指摘。この調査結果が、綿花が記載されていないEU(欧州連合)の森林破壊規制の見直しにつながることを期待している。
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リポートは同国の豊かなバイオーム(生物群系)で知られるセラードにおけるサバンナ森林破壊を、12カ月間にわたる人工衛星からの撮影と農家への訪問調査をまとめたもの。アースサイトは大手のホリタグループとSLCアグリコラがバイーア州で違法に森林を伐採し綿畑に転換、BCの認証を得てアジアの工場に輸出していると指摘。土地収奪の手段として住民への暴力行為や贈収賄についても報告している。ブラジル当局はこれら2社の起訴を進めている。
同国の綿花生産者団体ABRAPAはBCを運営するBCイニシアチブ(スイス)と提携し、14年から同団体の規定により生産された綿はBCの取得が可能になったが、独立性と公正さに欠けると関係者から指摘されていた。
BCは「実行と効力を保証するために政府の支援が急務」とし、アースサイトの調書に対応する姿勢を見せた。H&Mは調査結果を「憂慮すべき事態」と受け止め、BCに対しコントロールと基準の向上を求めたと仏メディアが伝えた。またインディテックスは、BCへ認証取得プロセスの明確化を要求する文書を送った。
(パリ=松井孝予通信員)
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