廃棄予定のきものをバッグにアップサイクルする名城大学の「トップリーフ」
ファッション関連の学生団体の動きが活発だ。各団体に共通するのは「ファッションが好きだからこそ、次世代により良い未来を残したい」という思いだ。最近では環境・人権面の課題解決に向け、サステイナブルと結び付けて活動する団体も多い。新たなクリエイティビティーに挑むファッションサークルを含め、学生団体の取り組みを追う。
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変えたい
近年活発なのは、サステイナブルな取り組みだ。関東圏が中心のインターカレッジサークル「カルテナ」は、不用になった衣類を回収し、小物へアップサイクルして販売する。出前授業で、アパレル産業の大量生産・大量廃棄の現状や、途上国での労働搾取の実態なども伝えている。
一方、中学生から大学生までのメンバーで運営する「やさしいせいふく」は、環境・人権面に配慮したコットンのTシャツを販売するほか、講演会でサプライチェーンにおける課題を提起する。代表の福代美乃里さんは「教えてくれる人が周囲にいないから、教える側になろうと思った。より多くの人に伝えたい」と話す。
学生団体が見つめる先は次の世代だ。地球温暖化や海洋汚染の影響を受けるのは次世代の若者たち。環境・人権問題を自分ごととして捉えている。
ただ、意識が高いからといって「環境に優しい」などのうたい文句をうのみにしているわけではない。グリーンウォッシュや情報の信憑(しんぴょう)性には敏感だ。本紙が実施した学生団体を対象にしたアンケートの設問「アパレル業界における環境問題について、思うことや感じること」では、「ブランドが環境に貢献していると主張していても実際それが本当なのかわからないし、信頼性のある情報の見分け方も理解できていない」といった不透明性に不安を感じる声は多かった。
例えばカルテナ代表の塩谷菜歩さんは、23年夏にバングラデシュに行き、縫製工場などを見学した。学生は〝真実を知りたい〟という知的欲求と行動する力を持っている。
小さな兆し
業界の仕組みや人の意識を変える難しさも知っている。ただ、アンケートでは、「発信し続けることに意味がある」との声も多い。「家族や友人が質の良い長く着られる服を購入するようになった」など彼らの行動が周囲に影響を与え、変化が生まれているケースもあった。
名城大学の「トップリーフ」は「ビジネスとして服を作り続けなければならないのもわかる。全てを変えることは難しいが、一人ひとりの行動で少しは良くなるのではないか」と考え、廃棄予定の衣服を価値ある物へアップサイクルしている。
テキスタイルエクスチェンジのアンバサダーで、甲南大学マネジメント創造学部の講師を務める稲垣貢哉氏によると、学生は「想像以上に環境・人権意識が高い」としたうえで、「買い物は投票、という言葉がある。彼らは消費者だ。彼らの意識が停滞感のある日本の繊維産業の変化を促すことは可能だ」と話す。
(小坂麻里子)
《学生のいま》
学生が投げかける小さなインパクトは、大きなうねりへと変化するだろうか。
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