「ひなた工房双葉」は、シャツメーカーのフレックスジャパン(長野県千曲市)が福島県双葉町の復興産業拠点にオープンした縫製工房だ。昨年夏の立ち上げ以来、衣料品再生事業を中心に順調に滑り出している。現地で新規採用した未経験のスタッフも技術を習得、今後の事業の広がりが期待できる。
ADVERTISING
矢島隆生社長は「愛用した衣料品をリメイクすることで、その服に残る思い出を再生するという当社の新規事業を成功させるための発信拠点として、震災からの復興・街の再生を目指す双葉町が最適」と見て開設に踏み切った。工房は162平方メートル。同社のリメイクやオーダースーツの生産はSDGs(持続可能な開発目標)を強く意識しており、これから工房が果たす役割は大きい。
工房のスタッフ(6人)には、縫製未経験者もいたため、当初は本社から定期的に技術指導に訪れた。昨年10月以来、熊本県天草市の同社工場から転勤した田中洋平氏を責任者に現場での教育を担う。工程数が多く高い品質が求められるオーダーシャツを生産することで、縫製技術のレベル向上に努めている。服好きのスタッフも多く、自発的にリメイクのアイデアなども出してくれる。
併設するショップ(約50平方メートル)でもリメイクの受け付けやアップサイクル商品の販売を行っており、地元や周辺地域の人々が来店するなど少しずつ認知度が高まっている。
リメイク事業をきっかけに、葬具仏具の企業との遺品再生の協業が始まるなど新たな領域とのつながりが期待できる。国内生産回帰の流れが強まるなか、将来的には、同工房の生産能力を増強、本業のメンズアパレル事業でオーダーシャツ生産の拡大も見込む。敷地内(6300平方メートル)に工房の新設も可能という。
(大竹清臣)
ADVERTISING
PAST ARTICLES
【繊研plus】の過去記事
RANKING TOP 10
アクセスランキング
銀行やメディアとのもたれ合いが元凶? 鹿児島「山形屋」再生計画が苦境