新所沢パルコが2月29日、営業最終日を迎えた。20時の閉店時にはセレモニーが開催され、1983年6月の開業から40年にわたり親しまれてきた同施設の閉店を見届けようと、雨降る中で地元住民をはじめ大勢の人々が駆けつけた。
新所沢パルコは新所沢駅に近接し、店舗面積は約3万9000平方メートル。パルコ館とレッツ館の2館構成で、白いアーチ型のガレリアが象徴だった。パルコとしては初の郊外立地の出店となったこともあり、当初は広域からも集客できていたが、その後の人口減少に加えて、所沢駅周辺および郊外で競合店の開業・増床リニューアルが進行し、競争が激化。2020年には所沢駅直結の商業施設「グランエミオ所沢」が全面開業し、今秋には西武リアルティソリューションズと住友商事が「所沢駅西口開発計画」で新たな商業施設の開業を予定されている。パルコは取り巻く商業環境の変化や、開業後40年が経過する施設の老朽化に伴う設備関連の投資負担などを中長期的視点から勘案した結果、営業終了を決断した。新所沢パルコの2022年度(2022年3月〜2023年2月)の取扱高は75億7000万円(前年比6.9%減)。
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閉店に伴い、新所沢パルコでは閉店セールのほか、「新所沢PARCO さよならフェス」を開催。経済アナリストの森永卓郎の10万点ものB級コレクションが集められた新所沢にあるモリタクB宝館の一部を展示したミニミュージアムや、ずん・飯尾和樹の「師匠! いらしたんですか」のサイン本お渡し会、パルコが製作した約200枚のB全ポスター展示のほか、ぎょうざの満洲とコラボレーションしたアイテムを販売するポップアップショップやマルシェといった企画を展開した。
閉店キーヴィジュアルは新所沢出身で、幼いころから新所沢パルコに通っていたという写真家の山本佳代子が制作。デザインとコピーも自身が所属するクリエイティブ集団「チーム未完成」のメンバーが考案した。また、シンガーソングライターのCUTIEPAI・まゆちゃんが新所沢パルコ公認のフィナーレソング「PA PA PA しんとこ PARCO」を手掛けるなど、閉店を前にクリエイターがフィナーレを盛り上げている。
閉店セレモニー前に報道陣の囲み取材に応じた山本仁也店長は、同店の閉店が決まってから店長に就き、2年にわたり“恩返し”として任務にあたってきた。40年という歴史を持つことから地域との結びつきの強さを同店ならではの魅力とし、「(お客様にとって)生活の一部になっていたのではないか」と振り返った。閉店後の跡地およびビルの活用に関しては、パルコが引き続き保有するかを含めて現状未定となっている。
20時の閉店にあわせてガレリアで開かれたセレモニーには大勢の来店客が集い、閉店の瞬間を見守った。山本店長は3階に掲出していたメッセージボードに多くのメッセージが寄せられたことへの感謝を述べつつ、「こんな言葉が多かったです。寂しい、悲しい、でも楽しかった。ありがとう。忘れない。大好き。我々も同じ気持ちです。またテナントの皆さんも同じ気持ちかと思います」と紹介した。シャッター代わりの垂れ幕が下りると、来店客から「絶対に忘れないよ」といった愛情あふれる声が相次いだ。開業当初に映画館「新所沢レッツシネパーク」でバイトしていたという50代の女性は閉店に寂しさを示しつつ、「食品を買えるスーパーが減ってしまうのは不便。新しい施設ができるなら、高層の施設にはなってほしくない」と語った。
なお、パルコでは津田沼パルコが2023年2月末に閉店。2025年2月末には松本パルコが営業を終了する予定で、地方・郊外店舗の閉店が続いている。
閉店セレモニーの様子
Image by: FASHIONSNAP
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