深圳万象天地周辺路面。平日で当時は非常に景気が悪かった時期でもあるが、南油時装センターの方が入店客が多かった
IT産業で発展してきた深圳は、18年頃から「金融、ファッションの中心街」としての発展を公に掲げている。しかしコロナ禍でファッションの街として発展しているとはあまり見えず、平日の大型商業施設にも活気がない。逆に人が集まっているのが南油にあるアパレル卸市場。実際は卸ではなく客に直売する新進デザイナー・ブランドがひしめき合い、価格も割と高い。深圳のファッション販売と消費者意識の変化が垣間見られた。
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深圳中心市街の福田区がファッションアパレル基地として発展しつつあるという情報を元に、記者は23年11月に深圳を訪れた。向かう前に地元経済団体に関連取材を申し込んだが、断られた。
そこで現地で情報収集したところ、「コロナ禍で大手アパレル企業はリストラが行われ、市街の有力SCにも人は少ない」とのこと。一方でファッション関連で人が集まっているのは南山区の大型SCの万象天地、卸市場の南油時装オリジナルセンターとの情報から南山区へと向かった。
まず向かったのが、様々なデザイナーがオフィスを構える深圳デザインインダストリアルパークだったが、ビルは老朽化し、看板にはファッション関連企業は少なかった。
万象城も平日昼という時間帯で食事する人は多いが、ファッション関連の上層階に人はいなかった。一方、南油時装オリジナルセンターには多くの来店客が見られた。人気テナントには4人ぐらいの客が入っていて、試着を繰り返していた。あるテナントで聞くと上海の企業で、商品価格はアウターで4万~5万円。店員はレジや客対応で忙しくしていた。
中国は各都市で発展形態が異なるが、深圳では新しいデザイナーが自ら客を呼び、小売りを強めている模様。そして感度の高い客は人が着ていないデザインを求め、新進ブランドの発掘へと向かっているのかもしれない。
■深圳市
広東省南部の海湾都市で、1980年に経済特区となって以降、中国改革開放の窓口としてIT関連産業が大きく発展し、「中国のシリコンバレー」と呼ばれた。南に香港、北は東莞市と恵州、周辺に広州、マカオといった大都市と接し、物流、金融機能も備える。GDP(域内総生産)は約3239億元、1人当たり可処分所得は7万2718元、消費支出は4万4793元。21年時点で商業登録戸数は385万戸を超え、商業密度は全国で最も高い。また戦略的新興産業がGDP比率の39.6%を占めている。テンセント(勝訊)、ファーウェイ、BYD(比亜迪)、不動産の万科などの本社がある。
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