2023年、ラグジュアリーブランドは中国の経済停滞や消費低迷の影響や、ブランドを保持する企業の株価が下がったことなどから、海外市場においては苦戦を強いられる年となりました。一方、日本国内ではインバウンド消費が回復したため、全体的に好調でした。今回は業界の採用事情に精通するエーバルーンコンサルティングが各ブランドから聞いた現場の声を紹介し、昨年の動向を振り返ると共に最新の採用トレンドを総括します。
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データ提供元:エーバルーンコンサルティング株式会社
東京と大阪に拠点を持つ、ファッション業界に特化したスペシャリストが集う人材紹介サービス会社。販売スタッフからディレクター、エグゼクティブクラスまで、ファッション業界のほぼすべての職種への転職活動をサポートしている。他にはないトップマネジメント層のリテーナーやエクスクルーシブ案件の紹介や、外資系企業の日本法人立ち上げのための採用プロジェクトなどの実績も多い。
公式HP:https://www.aballoon.co.jp/
LinkedIn:@A Balloon Consulting
ラグジュアリーブランド5社、2023年それぞれの現場の声
全体的にブランドアイテムの価格は高騰し続けています。年に2回以上、価格改定を行っているブランドも。世界的に見ると売上は低迷していますが、日本国内においては海外からの旅行者が増えたことからインバウンドの売上が回復し、マーケットは活況を見せています。ラグジュアリーブランド5社の現場の声と動向を紹介しましょう。
A社:価格改定を5回以上実施。商品価格はコロナ前に比べ約1.5倍になったが、インバウンドがコロナ前の状況に戻ったため、売上は大きく伸びている。商品によって違いはあるが、円安により日本では安く買える商品があり、訪日客にとっては日本で買う事に大きな魅力がある。
B社:価格改定を2回実施。インバウンドの戻りはあるものの、それが売上につながっているのは首都圏の一部エリアの店舗に絞られる。2023年に行ったセールにより、売上アップに繋がった。しかし、セールをしたことにより、今後は標準価格での販売の売上に良くない影響が出ることが懸念されている。
C社:インバウンドによる影響はあまりないと感じている。インフルエンサーが着用したことで若年層年層の購入が増え、2023年の売上は好調だった。首都圏の店舗の反応は良いが、地方の店舗の売上が伸び悩んでいる。
D社:2023年は成長期から安定期に入ったと感じられた一年。ひと桁台の成長率となったが、他の好調なブランドと比べると十分ではない。ヒット商品をつくる重要性を感じている。
E社:価格改定を2回実施。ローカルカスタマー向けのイベントを実施し、インバウンドには頼らない戦略で顧客を育てたことで売上アップにつながった。そしてインバウンド需要により、さらにプラスの売上を構築することができ、絶好調。
ブランドの求人件数は全体として増加傾向に
2023年の最も大きかった変化として、店舗への客足が戻ったことが挙げられます。2022年から引き続き、ウェブやECに関連する職種の求人も増加していますが、コロナ禍の影響で採用案件が少なかったポジションについても採用が復活しています。
販売スタッフの需要が増加
年間の採用計画が数百名規模というブランドも複数ありました。転職を希望する販売経験者への案件紹介件数は、かつてないほど多くなっています。優秀なスタッフの獲得が難しくなっていることから、企業は転職エージェントに通常より多くの報酬率でスカウトを依頼することが増えています。
また今後もインバウンドによる売上の増加が見込まれることから、空港におけるトラベルリテールの採用は例年に比べ依頼が激増しています。
求人が増加しているオフィスポジション
トレーナー:店舗に客足お客様が戻ったことにより、人員販売員の新規採用が増えたことから、コロナ禍では採用の少なかった接客指導をするトレーナー職の求人が増加しています。
VMD:トレーナーと同じく、店舗にお客様が戻り、さらに新店舗を増やすブランドも増えていることから、新規ポジション求人が出ています。
CRM:セールスプロモーション、イベントに力を入れたい企業にとって、お客様のデータ分析を行うCRM職は優秀なスタッフの獲得が必須です。多くの企業が求人募集をしており、採用競争率が高く、引く手あまたの状態です。
2023年の採用トレンドを総括
年収のインフレ
「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングが、社員の年収を大幅に引き上げたことがも話題になりました。販売職だけではなく、業界全体として年収が上がってきています。
ファストファッションの販売職の動きに変化あり
ファストファッションは店舗販売からECへと、販売経路を切り替える動きが出ています。ヨーロッパでは特にこの傾向が目立ちます。国内でも、地方の店舗の閉店が続いた影響から店舗販売職の転職相談が増えています。
販売職の転職求人倍率が過去最高値を記録
転職希望者の数に対して求人の数が上回る状況が続いています。企業は、求人を出すだけではなく、求職者に選んでもらうために自社の魅力をアピールするエンプロイヤーブランディングを意識することが重要です。めまぐるしく状況が変化している昨今においては、常に採用トレンドを注視し、的確な戦略を立てる必要があります。
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