(左から)「コーシェ」「ボッター」「リック・オウエンス」「シャンシア」「ルドヴィック デ サン サーナン」
2023年春夏コレクションを発表するパリ・ファッションウィーク(以下、パリコレ)が、9月26日から10月4日まで開催された。注目されたのは、各ブランドの個性あふれるスタイリング。本物の氷を使ったバッグなど、既成概念にとらわれないアイデアが多く見られた。また、意外なコラボレーションも話題に。
パリコレ特集vol.3では、「ボッター(BOTTER)」、「コーシェ(KOCHÉ)」、「シャンシア(SHANG XIA)」、「ルドヴィック デ サン サーナン(LUDOVIC DE SAINT SERNIN)」、「リック・オウエンス(Rick Owens)」の新作発表を振り返る。
BOTTER
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カリブ海にルーツを持つ「ボッター」。水に浮かんでいるようなスニーカーや氷のバッグ、水風船(実際には避妊具を使用)を手にはめたモデルなど、ユニークな形で海中を表現した。
随所に差し込まれた鮮やかなターコイズブルーは、カリブ海からインスパイアされたブランドのシグニチャーカラー。セットアップはジャケットをパンツにインしたスタイリングや、中央がハートにくり抜かれたデザインなどが登場。自然との共存をブランドのミッションとして掲げており、海藻から作られた新素材を使用したドレスなども披露された。
KOCHÉ
「コーシェ」は「グーグル(Google)」と協業し、先端技術開発部門 ATAPが開発した技術をアイテムに搭載。触れる動作や光にセンサーが反応してプリントと色が変化するギミックで、グーグルお馴染みの検索窓に液晶が取り付けられたパーカなど4点を披露した。
コレクションでは、ブランドのアイコニックなスポーティ×ストリートミックスのスタイルから一転、終盤のフューシャピンクやスカイブルーを除いて、ブラウンやベージュを基調とした落ち着いたムード。緩やかな曲線や直線的なデザインを、シアー素材や織り、異素材で表現した。3Dカッティングを施したようなシャツやビスチェ、ニットの複雑な構造や模様も、特別な編機で編まれたような仕上がりに。高度な技術を印象付けた。
SHANG XIA
ヤン・リー(YANG LI)が手掛ける「シャンシア」は、白を基調としたショー会場に溶け込む淡いカラーパレットが印象的。これは中国王朝の水彩画からヒントを得たカラー構成で、ピンクやラベンダー、ブルー、ミントグリーンを組み合わせ、足元はウェアに呼応したカラーのプラットフォームブーツを合わせた。
ウェア自体はリアルクローズに近いミニマルなアイテムがラインナップし、巾着バックパックや来年の干支であるうさぎがデザインされたピースなどが登場した。
LUDOVIC DE SAINT SERNIN
「ルドヴィック デ サン サーナン」はブランドならではのセクシー路線と、ノンバイナリーの提案を2023年春夏シーズンでも継続。ウェットヘアに半裸に近い姿のメンズモデルが冒頭で披露したのは、ローライズのレザーパンツのほか、プリーツミニスカート、ハーフパンツ、レザーブリーフ。ウエストや手首につけられた赤いアンスリムの一輪がワンポイントとして映える。
レザーライクなタンクトップはバイカーショーツやスカートに合わせ、伸縮するプリーツのセットアップなども目を引いた。また、煌びやかなメタルのメッシュのブラレットとスカートはパーティルック風の仕上げに。Y2Kを感じさせる捻りを随所に効かせたコレクションとなった。
RICK OWENS
ブランドの"ホーム"と言えるパレ・ド・トーキョーで発表された「リック・オウエンス」の2023年春夏ウィメンズコレクション。6月のメンズコレクションと同様、ナイル川西岸にあるエジプト寺院にちなんで「エドフ(EDFU)」と名付けられた。中央の噴水には巨大な水柱が空高く突き上がり、時折ランウェイや客席に水しぶきを浴びせながらショーがスタート。
オーガンザのドレーピングドレスや、レザーの半透明の"ジェリーフィッシュ"ジャケットなど透け感のあるルックが登場。また、足元のニーハイ厚底ブーツや、アイコニックな吊り上げた肩の形状、目元を覆うビッグサイズのサングラスが、ブランド特有のエッジの効いたスタイリングを完成させる。中盤の生地をふんだんに使ったチュールドレスは、ドラマティックに風になびいていた。ドレープを膨らませたり、ねじりを加えた造形的なドレスなども強さを放った。
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