(左より)アンリアレイジ、CFCL、ドリス ヴァン ノッテン、アクネ ストゥディオズ
2023年春夏コレクションを発表するパリ・ファッションウィーク(以下、パリコレ)が、9月26日から10月4日まで開催され、計105ブランドがファッションショーやプレゼンテーション、およびデジタルで新作を発表した。
日本から参加しているブランドを含め2年半ぶりにフィジカルショーを開催するというブランドも多く、花柄や明るい色彩などアフターコロナを見据えたポジティブなムードが印象的だ。パリコレ特集vol.1では、「シーエフシーエル(CFCL)」、「アンリアレイジ(ANREALAGE)」、「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」、「アクネ ストゥディオズ(Acne Studios)」の新作発表を振り返る。
CFCL
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高橋悠介が手掛ける「CFCL」はパリコレ初日、フィジカルのプレゼンテーションを初開催。「Knit-ware: Blueprint」をテーマに、資源に覆われた⻘い銀河系"PLAnet"への旅をセノグラフィー(舞台美術)で表現し、再生プラスチック製のブルーのカーペットの上に、ペットボトル型のロケットなど化石に見立てたオブジェを配置した。
陶器から着想したアイコニックな「POTTERY」シリーズからは、半透明ナイロン糸を取り入れてシアーなドレスを新提案。また、強いストレッチ加工を施した再生ポリエステルのセットアップは、コンピュータープログラミングニットならではの立体的なフォルムと、一枚仕立ての軽やかさを両立させている。高橋は1960年代のイヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)を代表するスモーキングやシースルールックのエレガンスを、現代的なニットウェアに取り入れたという。
足元の注目は「アシックス(asics)」とのコラボレーションシューズ。温室効果ガス排出量が世界最小のスニーカーを初披露した。ホワイト、ピンク、ブラックの3色展開で、来夏の発売が予定されている。
ANREALAGE
2年半ぶりにパリでランウェイショーを開催した「アンリアレイジ」。7月に東京で開催した創立20周年のショーでラストシーンに登場したパッチワークの新作コレクションを新たな形式で発表した。
ショーの前半では、ブランドの初期から20年にわたり作り続けてきたパッチワークのみで作られた15体を披露。それらを後半で全て裏返しにしてモデルに着せることで、数千パーツを繋ぎ合わせて制作されるパッチワークの手仕事を可視化した。
テーマの「A&Z」には、対極の世界をつなぐというアンリアレイジならではの概念が込められている。観客は、NTTソノリティ(NTT研究所で培われてきた音響信号処理技術を活用した音響関連事業を行うベンチャー企業)が開発した耳を塞がないイヤホンを装着し、会場のスピーカーとイヤホンから流れる二つの音が融合する新感覚のショーを体験。また後日公開した映像では、実際のショーとは異なる構成に仕上げることで、現実と非現実の異なる世界観を作り上げた。
DRIES VAN NOTEN
「ドリス ヴァン ノッテン」による2年半ぶりとなるウィメンズコレクションのランウェイショーは、3つの構成で闇に光が差すようなストーリーが展開された。序盤の着想源となったのは、カジミール・マレーヴィチ(Kazimir Malevich)の作品「黒の正方形」。無垢な印象のブラック一色のルックが、ジャケットやドレスの構築的なフォルムを引き立たせている。
中盤は落ちついた色味のパステルカラーをミックス。フリルやプリーツ、マクラメ編み、そして手吹きガラスのアクセサリーがディテールを強調する。終盤はあらゆるフラワープリントが咲き乱れ、喜びを表現。ブランドの代名詞のひとつでもあるフラワーをアーカイヴから再考し用いたという。オプティミズムの祝祭といえる、圧巻のフィナーレとなった。
ショーのフィナーレ
Acne Studios
スウェーデン発の「アクネ ストゥディオズ」は、パリでの発表10周年を記念して、ショー会場でウエディングパーティーを表現。ひねりを効かせ、ピンクのサテンシーツが敷かれたベッドが客席となった。
コレクションルックにもウエディングの要素が落とし込まれ、ヴェールやレース、ハートモチーフやリボンがフェミニンなウィメンズウェアを飾る。一方でバラの棘を想起させる鋲がバッグやシューズに施され、シュールなスパイスに。
クリエイティブディレクターのジョニー・ヨハンソン(Jonny Johansson)は「結婚式は常に人種のるつぼであり、美意識の選択のきっかけになるので、とても魅力的。かわいらしさやキッチュさ、甘さがある一方で、真剣さや緊張感、弱々しさもある。あらゆるものを参考にして、クラシックでキッチュなウエディングをアレンジした」とコメントしている。
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