今年のお買い物を振り返る「2023年ベストバイ」。8人目は資生堂トップヘアメイクアップアーティストの進藤郁子さん。トレンドを取り入れた感度の高いヘアメイクは、ファッション誌や美容誌、ルックブックの撮影や、ニューヨーク、パリ、東京でのコレクションのヘアメイクなどにも引っ張りだこ。今年は約7年ぶりにパリコレクションにも参加し、挑戦を続けています。2児の母としても奮闘する進藤さんに、今年買ってよかったモノ6点を聞きました。
目次
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Eu e eles スマホストラップ
FASHIONSNAP(以下、F):まず1点目は「エウ エ エリス(Eu e eles)」のスマホストラップ。以前、撮影現場で使っているのを拝見して、存在感あるなと思っていました。
進藤郁子(以下、進藤):ヘアメイクの現場ですぐに仕上がりを撮りたいのに、スマホが行方不明になりがちで、ずっとスマホストラップを探していました。そんなときにセミナーに来てくれた美容師さんが使っているのを見て、どこで売っているか聞いて購入しました。
F:たしかに長さも太さもインパクトがあって、ついどこのものか聞きたくなっちゃいますね。
進藤:使い始めてから、撮影現場などで質問されることが多いです。だからベストバイに入れてみました。あとはいじられます。「綱引きできそうだね」って(笑)。
F:丈夫そうですね(笑)。
進藤:毎日使うモノだから、それも大切。海外ではスマホ泥棒が増えているらしいので、ちょっとやそっとじゃ盗られなさそうだなと。
Image by: FASHIONSNAP
F:ちなみに色展開が豊富な中でも、この色を選んだ理由は?
進藤:デザインは個性的でインパクトがあるけれど、色みは落ち着いているので洋服にも合わせやすいかなと思って。洋服やその日の気分で選べるように、色違いもいくつか購入しようかと思ったのですが、まずは使い心地を試すために1番使いやすそうな色をセレクトしました。近々、色違いも購入してしまう予感がしています。
mature ha. 帽子
F:2点目は「マチュアーハ(mature ha.)」の帽子。色違いでの購入ですね。
進藤:悩んだ末の2色買いです!実は20年ほど金髪だったのですが、昨年黒髪にしました。最初は新鮮だったけれど、持っている洋服も基本的に金髪に合うものを選んでいたから、合わせるのが難しくて…。それまでも帽子をよくかぶっていましたが、さらに必需品になりました。
F:髪の色って、洋服選びにも大きく関わりますよね。
進藤:そうなんですよね。金髪だとシンプルな洋服でもトータルでエッジが効いて見えたのに、黒髪だとコンサバに見えてしまう…。それはなんだか、私らしくないと思って。帽子をプラスして、全体の印象を調整しています。金髪でもなく帽子も被っていないと、現場で何回もお会いしている人にさえ気付かれないこともあります(笑)。
F:ご自宅には帽子がたくさん?
進藤:気に入ったものは、今回のように色違いも購入しちゃうので、気がつけば増えましたね。キャップから、ベレー帽、変形しているモノ、つばひろのモノ、つるつるやふわふわといった素材違いなど、たくさん持っているのですが、今は黒髪に合うものを探しているところです。昔の物も合わせて全部で50個以上はあると思います。
F:それで見つけたのが、この帽子だったんですね。
進藤:はい。シンプルで服に合わせやすいけれど、つるっとしていて形はちょっと個性的。私は面長で頭も大きめなのでなかなか買いたいと思う帽子に巡り会えていなかったのですが、久々にしっくりくる物を見つけて。しかも持っていないフォルムだったので、色違いで購入しちゃいました。紐がついているのも可愛いでしょう?
petite robe noir イヤリング
F:お次は「プティローブ ノアー(petite robe noir)」のイヤリングですね。
進藤:実は私ピアスホールを開けていないのですよ。なので、イヤリングやイヤーカフで大ぶりなものを見つけたら収集してしまいます。「フミエ タナカ(FUMIE TANAK)」や「トーガ(TOGA)」のアクセサリーも存在感があって重宝しているのですが、プティローブ ノアールはカジュアルで個性的だけど、頑張りすぎていない感じが好きで。洋服の主張が強いときでも合わせやすいです。
F:重ね付けがお気に入りですか?
進藤:両耳セットで購入していますが、何種類も持っているので、左右でモチーフを変えて付けたり、重ね付けを楽しんでいます。ホームページやインスタグラムの提案も素敵で、重ね付けの妙を味わえますよ。
F:一見すると、ピアスみたいに見えますね。
進藤:耳たぶ以外にも付けられるようなデザインも多いです。シンプルなものを多めに持っておくとコーディネートの幅が広がって便利ですね。帽子もそうですけど、黒髪にしてから、アクセサリーの重要度が増したように思います。
F:小物で個性を出している感じ?
進藤:そうですね。帽子、アクセサリー、あとはメガネ!欠かせません。
FUMIE TANAKA セットアップ
F:次は、先ほどのイヤリングでもちらっと名前が上がりましたが、フミエ タナカのセットアップですね。
進藤:フミエ タナカはショーやルックブックで、ヘアメイクをやらせていただいています。2018年からのお付き合いなのですが、本当に真似したいと思うくらいおしゃれで素敵な方です。フミエさんのデザインは私のテイストよりも、女性らしさやエレガントさがあると思っていて、ワードローブのバリエーションが広がります。実際に着ていると「どこの服ですか?かわいい!」とよく聞かれますね。
F:購入の決め手は?
進藤:柄物セットアップってこれまで挑戦してこなかったのですが、黒髪には合うかなと思って選びました。グレーの色みや、透け感も気に入っています。まだセットアップでは着ていなくて、いつ着るか考え中です(笑)。
Image by: FASHIONSNAP
F:今日着ていらっしゃるのもフミエ タナカですか?
進藤:そうです。こちらは一転してかなりシンプルなオールインワン。ヘアサロン業界のコンテストやイベントで登壇するときにも、かっちりと見えるので活躍してくれています。どちらをベストバイにしようか、悩んだのですが、柄が印象的なセットアップにしました。
F:洋服は展示会で購入することが多い?
進藤:今年はふらっとウィンドウショッピング的なことをする時間があまりなかったので、展示会でまとめてオーダーしたり、ヘアメイクの現場で気になる洋服をチェックしたりすることが多かったです。あとは撮影でご一緒させていただいたスタイリストのフクシマアヤさんに、ご自身が代官山のアートギャラリーで行っていたフリーマーケットにお誘いいただいて、アシスタントと一緒にお買い物しました。フクシマさんが置いてある服や小物を愛情込めて説明してくれるので全てが魅力的に見え、「これ進藤さんに似合うと思うよ」と贅沢に選んでくださるのでたくさん買ってしまいました。
BOTTEGA VENETTA 長財布
F:そして「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」の長財布。
進藤:数年ぶりにお財布を買い替えました。ミニ財布ブームに逆行して、長財布派です(笑)。
F:その心は?
進藤:カードや領収書をたっぷりとしまえるから(笑)。大容量であることが1番のポイントです!あとは、中身が飛び出ないジップであることも大切。緑のパイピングも効いていて、デザインもお気に入りです。
Image by: FASHIONSNAP
F:けっこう大きめのような...。
進藤:実はメンズなんですよ。なので、ウィメンズよりもちょっと大きいのかも。
F:ボッテガ・ヴェネタを選んだ理由はあるんですか?
進藤:長女が小学校に入学したので、フォーマルにも使えるハンドバッグを探していたんです。いくつになっても使えるような王道のバッグといえば、やっぱりラグジュアリーブランドかなと思って、いろんなブランドをチェックしました。その中で1番気に入ったのが、ボッテガ・ヴェネタでした。それで、ついお財布も(笑)。
F:バッグも見てみたかったです!
進藤:バッグは私のイメージとは全く違うと思うので、今回はスキップで(笑)。
BAUM スキンケア
F:最後は「バウム(BAUM)」のスキンケアですね。
進藤:仕事柄いろいろなコスメに触れる機会が多いのですが、バウムのアイテムは、現場でもプライベートでも活躍してくれました。香りやデザインは女優さんからも好評です。私自身、甘い香りがあまり得意ではなくて、バウムのゆずやヒノキなど、和テイストのさっぱりとした香りが特にお気に入りです。
F:香りは大切ですよね。
進藤:アロマが好きで、炊くこともあったのですが、できるだけ手軽にリフレッシュしたいときに、スプレーするだけの使い勝手の良さも重宝しています。
F:ボトルのデザインも秀逸です。
進藤:カリモク家具とのコラボレーションで、インテリアともなじみます。自宅の雰囲気をモノトーン調でまとめているので、温かみのある木を使った小物を増やしていたところで、それにもマッチしました。
Image by: FASHIONSNAP
今年を振り返って
F:今年の購入品を振り返って、どんな1年でしたか?
進藤:ここではファッション性を重視してベストバイをピックアップしましたが、実はキャンプグッズやスキーグッズを買い揃えた1年でもありました。娘が小学校へ、息子が幼稚園にそれぞれ入学して、環境が変わったこともあって、家族との時間を豊かにするような買い物が多かったです。自分の洋服については、仕事の中で気に入ったものを購入することが多く、子どもたちがもう少し大きくなったらふらっとショップでお買い物が楽しめるようになるかなと期待しています。来年は狙い続けている「サロモン(SALOMON)」のスニーカーをゲットしたいですね。あとはおしゃれなローファーも探しています。
F:仕事の変化も大きかったとか?
進藤:今年は資生堂が運営するヘアメイクスクール「SABFA」のテクニカルディレクターを任せていただくことになりました。ヘアメイクとしての仕事に加えて、これからヘアメイクを目指す人たちに教える時間が増えました。そして、子どもが幼いうちは海外出張を控えていたのですが、2月と10〜11月のパリコレにも参加しました。
F:ヘアサロン業界では、“女性の働き方”というようなテーマのセミナーに登壇することも多いと思います。
進藤:今年は仕事も家庭も環境の変化が大きくて、とにかく忙しい日々でした。両立って本当にあるんだろうかと、葛藤しましたね。女性のキャリアをテーマに呼んでいただけることもありますが、内心はひっちゃかめっちゃかだったりもします。“手に職”な仕事だからこそ、両立の難しさはあります。それぞれに100%の力を注ぎたくても、状況によって8:2になったり、配分は変わるし、どこかで決めなければいけません。その配分にとにかく悩んだ数年ではありました。
F:端から見たら、“スーパーお母さん”だなと思っていました。
進藤:全然そんなことないです。キャンプに行ったり、畑を耕してみたり、ヨレヨレになりながらも、なんとか子どもと過ごす時間を取っています。仕事に関しては、人と比べていいことはないし、家族といるよりも長い時間を費やしてやってきたことで、満足感や楽しさがあるから、そういう場所に身を置いていたいという思いがあります。来年は今年の大きな変化を安定させて、悩んだり、迷ったりしながら、進んでいけたらいいかな。
■進藤郁子
1980年、東京生まれ。横浜理容美容専門学校通信科、立教大学卒業。都内サロン1店舗を経て、SABFA卒業後の2007年資生堂入社。2023年SABFAテクニカルディレクターに就任。ファッション誌や美容誌、ルックブックの撮影や、ニューヨーク、パリ、東京でのコレクションのヘアメイクのほか、美容師向けのセミナーなど幅広く活躍。資生堂のブランドでは「マジョリカ マジョルカ」ビューティーディレクターとして、宣伝広告のヘアメイクや商品開発に携わる。
インスタグラム:@ikuko_shindo_official
■2023年ベストバイ
・ファッションエディター 大平かりんが今年買って良かったモノ
・「ロンハーマン」ウィメンズディレクター根岸由香里が今年買って良かったモノ
・コギソマナが今年買って良かったモノ
・映像ディレクター 上出遼平が今年買って良かったモノ
・「シスター」オーナーの長尾悠美が今年買って良かったモノ
・義足モデル KawaK(川原渓青)が今年買って良かったモノ
・スタイリスト 梶雄太が今年買って良かったモノ
・ダンサー RIEHATAが今年買って良かったモノ
・VCM 十倍直昭が今年買って良かったモノ
・GEZAN マヒトゥ・ザ・ピーポーが買って良かったモノ
・川谷絵音が今年買って良かったモノ
・グラフィックアーティスト VERDYが今年買って良かったモノ
・芸人・俳優・芸術家 片岡鶴太郎が今年買って良かったモノ
・美容室「アルバム」創業者 槙野光昭が今年買って良かったモノ
・スタイリスト TEPPEIが今年買って良かったモノ
・音楽家 渋谷慶一郎が今年買って良かったモノ
・ [Alexandros] 川上洋平が今年買って良かったモノ
・繊研新聞 小笠原拓郎が今年買って良かったモノ
・FASHIONSNAP社長 光山玲央奈が今年買って良かったモノ
・サカナクション山口一郎が今年買って良かったモノ
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