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ヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)が、サプライヤーであるバングラデシュの縫製工場に対する支払い単価の引き上げを決定したと、複数の海外メディアが報じた。この動きは、11月7日にバングラデシュ政府が発表した衣料品工場労働者の最低賃金引き上げの決定に伴うもので、同社は商品価格に上乗せすることで、サプライヤーへの支払い価格上昇に対応するとしている。
バングラデシュでは、今年10月に衣料品工場労働者たちによる1週間に及ぶ賃上げ要求の抗議デモが発生。警察との衝突で2人の死亡者や数十人の負傷者が出るなど深刻化した状況を受けて、政府は工場経営者や労働組合幹部、政府担当者からなる委員会を設置し、12月1日付で労働者の最低賃金を従来の56.25%増の月額1万2500タカ(約1万6800円)に引き上げることを発表した。しかし、労働者たちは元々3倍近い賃上げを要求しており、複数の労働者権利団体やアメリカ政府は、最低賃金の再検討を求めているという。
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バングラデシュでは、1990年代から500万人以上がアパレル産業に従事しており、低賃金で欧米諸国から仕事を請け負うことで、産業発展や経済成長を推し進めてきた。現在、バングラデシュは中国に次いで世界第2位の衣料品輸出国であり、アパレルは輸出額の80%を占める産業に成長。一方で、同国の衣料産業従事者の劣悪な労働環境や条件は以前から問題視されており、2013年にダッカ郊外で起きた縫製工場が多数入居するビルの崩壊事故を機に改善が図られ始め、当時状況改善のために結ばれた協定には、H&Mや「ザラ(ZARA)」を展開するインディテックス(Inditex)なども参加していた。
今回の件で、H&Mは同国で事業を展開する小売企業の中で値上げに踏み切った初めての例となり、今後は他の小売企業の動きが注目されている。
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