ラグジュアリーブランドのコングロマット企業であるLVMH(モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン)のグループ傘下になるというのは、こういうことなのだというのを見せつけるニュースが続いている。
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まず「ティファニー(Tiffany & Co.)」。LVMHがティファニー社の買収を表明したのはコロナ禍が始まる直前の2019年11月。その時の買収額は160億ドル(1ドル=148円換算で約2兆3680億円)。その後2020年9月にはLVMHが買収撤回を突如表明するなど、両社は互いを提訴するなど争いが激化したが、結局買収価格を158億ドルに引き下げることで2020年10月に再び合意し、2021年に買収完了していた。ティファニーの新CEO(最高経営責任者)には「ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)」幹部のアンソニー・ルドリュ(Anthony Ledru)が就任していた。
コロナ禍が収束した2023年、いよいよ新生「ティファニー」が本格的に動き始めた。まずニューヨーク本店が4月28日にリニューアルオープンした。名称も「ザ・ランドマーク(The Landmark)」となって、マンハッタンで最大規模店舗として、世界に向けて「ティファニー」の魅力を伝える発信地になった。1940年にニューヨーク本店が五番街に移転して以来、初の全面改装だった。改装自体はLVMHに買収される以前の2019年に着手されてはいた。しかしその店舗の豪華絢爛たる出来上がりは、LVMH傘下でなければできなかったのではないかと思わせるに十分だった。
その余勢を駆ってということなのか、日本における旗艦店である「ティファニー 銀座本店」が7月7日にリニューアルオープンした。同店は1996年に現在の銀座2丁目にオープンしたが、2008年および2020年にリニューアルして以来のリニューアルになった。
さらに、LVMH傘下になったことを強烈に感じさせるのが、9月13日にオープンした「ティファニー 表参道」だ。ニューヨーク本店と銀座本店に続く、ブランドの最新コンセプトを反映した新店舗だ。銀座と並ぶファッションエリアである表参道に店舗をオープンするのは「ティファニー」の悲願でもあった。以前から表参道で物件を探していたのだろうが、実現したのはLVMH傘下になってから。さすがにLVMHだという声しきりである。
そして、「LVMH傘下になるということはこういうことだ」のもうひとつの好例が「ブルガリ(BVLGARI)」だ。LVMHは2011年3月に「ブルガリ」を買収すると発表。買収価格は約37億ユーロ(1ユーロ=158円換算で約5846億円)だった。
「ブルガリ」も「ティファニー」同様、表参道に店舗を持つことは悲願で、2007年11月にファッションビル「ジャイル(GYRE)」のテナントとして、1階ブティック、2階カフェの2層で出店した。しかし、LVMH傘下になって経営の見直しで2013年には閉店していた。しかしその後も表参道での店舗展開の意志を「ブルガリ」は持ち続けていたようだ。
その強い意志が、8月10日、オーク表参道1階(旧ハナエモリビル)にオープンした「コンセプトストア」で実現している。この場所は「コーチ(COACH)表参道店」が今年の1月9日まで営業していた場所である。ブルガリジャパンによると、「コンセプトストアとして具体的な期限は決まっていない。このままショップになる可能性もないわけではない」という。恐らくこのまま「ブルガリ 表参道店」になる可能性が高いようだ。
LVMHが保有する2大ジュエリーブランドが表参道の入り口を占拠するのを見て、LVMHのベルナール・アルノー(Bernard Arnault)総帥はさぞや御満悦なのではないだろうかか。LVMHの傘下になるとこんなにいいことがある、ということだろうか。とにかく、攻める時には徹底的に攻めて、要所をおさえるというのがLVMHのやり方だ。
買収される前の、ティファニーやブルガリにはできない芸当である。
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